2016年、リオデジャネイロオリンピックに出場し、15歳らしからぬ堂々たるプレーで見事、団体で銅メダルを獲得。その勇姿が日本中の注目を集めた伊藤美誠さん。卓球史上最年少の五輪メダリストである彼女は、現在高校2年生。約15年のプレー歴をもつ卓球の話や学校生活のエピソードなど、たくさんお話しいただきました。
2歳の頃、両親の影響を受けて卓球を始めました。とにかく試合が大好きで、大きな試合であればあるほど、やる気がみなぎります。昨年のリオデジャネイロオリンピックは、今までの試合の中で一番燃えました!今は、2020年開催の東京オリンピックで卓球女子日本代表としてシングルスと団体の両方に選出されることが目標。そのために、1試合ずついい成績を残して世界ランクを上げられるように練習に励んでいます。
小学校時代からさまざまな試合に出場してきましたが、ちょっとしたミスで負けてしまうなど、もったいない試合も多々ありました。もちろんその時はすごく落ち込みますが、10分後には「悔しいけれど、これで負けて卓球ができなくなるわけじゃない。次頑張ろう」と、前向きになれます。
そういう風に気持ちの切り替えができるようになったのは、リーグ戦という試合方式を経験してきたから。昔は、出場するほとんどの試合がリーグ戦で、負けても全員と当たるまで試合をし続けなければなりませんでした。最初はそれがつらいと感じていましたが、試合を重ねていくうちに「1回負けただけで、1位になれないわけじゃない」と思えるぐらい、心が鍛えられました。目の前の結果にとらわれるのではなく、その先を見据えた大きな目標をもつことでモチベーションを保てるのだと実感しています。
海外遠征や日本代表合宿も多く、授業を受けられる機会は少ないですが、試合と練習の合間に学校の課題に取り組んでいます。簡単な問題は「わかる」から、やっていて楽しいのは当たり前。難しい問題に直面した時、最初は理解できなくて嫌になってしまいますが、そこから考えて、考えて、考え抜いた結果、やっと「これだ!」という答えを導き出せた時に、ものすごく達成感を覚えます。それが嬉しくて、勉強は「やれば楽しいもの」だと感じています。
遠征先では、母がスマートフォンで撮影して送ってくれる教科書のページの写真を見て勉強します。学校に行けば、クラスメイトが勉強を教えてくれたり、授業ノートを見せてくれたりします。その度に「支えてくれている皆のためにも頑張ろう!」と、強く思います。世界卓球2017デュッセルドルフ大会後に登校した時、皆が教室のホワイトボード一面に、私の似顔絵と「おめでとう」のメッセージを描いてくれていて、改めて感謝の気持ちで胸がいっぱいになりました。
私はどんな時も、強い気持ちで「挑戦」することを心に決めています。自分より世界ランクが上でも下でも関係なく、思いっきりやってみる。それは卓球以外でも同じこと。知らない言葉は積極的に意味を調べて知識を得たり、自らSNSで情報を発信したり、空いた時間で漢字を勉強し直したりもしています。最近は卓球を通じて縁があって、初めてテレビドラマに出演させていただきました。そうやって卓球を主軸としながら、さまざまなことに挑戦し続けていきたいです。
私にとって学校とは、自分を卓球選手じゃなくしてくれる場所。制服を着ていると、周りの方から「普通の女子高生だね」とよく言われます。お休みの日は、大好きなショッピングで気分転換。仲の良い同世代のアスリートと一緒に遊びに行ったりもしています。
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