宇宙飛行士になったこともあり、海外での生活も経験された向井千秋さん。その日々の中で、漢字や日本語の魅力に改めて気が付いたといいます。外国人も驚く漢字が持つ意味やおもしろさとは?そして、幼少時代のエピソードから、今なお新しいことに挑戦し続ける意欲、学びの大切さについてお話をお伺いしました。
海外に長く住んでいたこともあって、日本語は見ると意味がわかる“表意文字”であることはとりわけ意識していました。表意文字を海外のお友だちに自慢するために、「“木”は1本だと木。二本だと林、三本だと森になるんだよ。漢字ってとてもおもしろいでしょ?」って説明すると、すごく驚いてくれます。アルファベットやハングルは“表音文字”なので、とても新鮮に感じるんでしょうね。山と上下がひとつになり「峠」、水を表すサンズイを使った「河」「池」とかね。
そして私の、“千秋”という名前も、両親が初めての子どもだったから、“一日が非常に長く感じる、長く待ち焦がれる気持ち”という意味を持つ“一日千秋”の想いで付けてくれた、大好きな漢字です。でも海外の友人に名前の由来を話す時は、“千年、万年の非常に長い年月”の意味を持つ“千秋万歳”の意味を取り、“私の名声は千年・万年にも渡って届くような意味を持つ名前なんだよ”って説明するの。「千」にも「秋」にもそれぞれ意味を持つ私の名前をとても羨ましがっています。
学生時代、学校での成績は基本的によかったんですが、国語はともかく漢文はちんぷんかんぷんでした。以前NHKで放送していた漢文の番組の解説が興味深かったので、今ならとてもおもしろいんだろうと感じられます。漢字の組み合わせだけで雄大な景色が目に浮かびますもんね。
小学校の頃から、少年・少女文学全集、伝記や偉人ものなどの書物を片っ端から読む本好きでした。小さな頃から変わらないのは、好奇心旺盛で、常に“見てみたい、試してみたい、聴いてみたい!”って思っていること。年齢に関係なく夢を持ち続ける秘訣は好奇心だと思うし、人生でいろいろな経験をしてきたけど、まだまだおもしろいことがたくさんあるんだろうなって思っています。
それは小さい頃に自然と触れながら遊んできた経験も大きいかな。モノがないからビニール袋1枚で遊べた。透き通ったビニール袋に空気を入れたり、水を入れたり、花びらを浮かしたりね。お友だちといろんなもので切磋琢磨しながら楽しいことを見つけていました。あの頃の気持ちは忘れたくないですよね。
そして大切なことは、自分の力ではどうにもならない不公平な世界があるってことを認識すること。それは早い方がいいと思います。時の運やタイミングが合わない時がある。むしろその方が多いってことを知ることは本当に大切。そういうことがわかると他人にも共感できるし、思いやりの気持ちが自然と出てくるから。そこを認識した上で意欲を持ち続けられるかどうかですよね。だからいつも学生たちには学ぶことがどれだけ大切なことかを話します。自己実現のための武器やツールになるからね。
私はこれからもまた違う分野のこともやってみたいです。誰もが月や火星に行ける世界になるようにも尽力したいし、ピアノの練習もしたいな。
子どもの頃はいろいろな夢を持ちましたが、体が不自由な弟がいたこともあり、中学生の頃にはお医者さんになることを決めていました。父が中学校の理科の先生だったこともあり、授業で行う実験の下準備をするのを幼い頃からいつも見ていたんです。試験管が白濁したり、煙が出たり、電気分解で豆電球が点いたりね。本当に実験を見るのが楽しく、“私の父は魔法使いだ!”と尊敬していました。
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