実は学生時代、国語や漢字が苦手だったという菊川怜さん。しかし、あるバラエティ番組の企画で漢検2級の取得に挑戦されたときに、漢字の面白さに気づいたといいます。菊川さんが考える日本語を学ぶことの大切さや言葉に対する思いをお話しいただきます。
もともと国語が苦手だった私が、ある番組で漢検2級に挑戦することになり、学生時代よりも一生懸命、漢字の勉強をしました。改めて漢字に向き合い、そこで自分なりのおもしろポイントを見つけられたのです。私の場合は「漢字の成り立ち」。漢字って、部首にも意味があるじゃないですか。私の名前にある「怜」のりっしんべんには、「心」という意味があるんですよね。くさかんむりだったら草花にまつわる漢字だったり、ごんべんは言葉や話す動作に関する漢字に用いられたり。そういう漢字が表す意味を一つひとつ理解していくことに面白さを感じて、暗記の苦手な私も楽しく取り組むことができました。
漢字学習に限らず、勉強って何か興味を持てるきっかけがあると途端にモチベーションが上がると思うんです。私が漢字の成り立ちに着目したように、自分なりにおもしろポイントを見つけだすことが大事。でも、それを自分一人で見つけるのは難しいと思うので、教科書や参考書など、いろいろなものを見て「このやり方が面白い」というものに出会えればいいんじゃないかな。そうやって自分が興味を持てる入り口から入っていければ、勉強がどんどん好きになっていくし、学んだことを忘れにくいと思います。例えば、同じ部首の漢字や意味が近い類義語など、似たようなものを並べて一緒に勉強することで、本来知りたかったことの周辺にある知識にも同時にふれられるような、立体的な勉強ができれば理想的ですね。
ドラマやバラエティ、情報番組などテレビの仕事は、基本的にはお話しをする仕事です。だからこそ、言葉というツールを用いてどのように組み合わせて発信していくかということを意識しています。
特に日本語は、行間を読んだり比喩を使ったり、間接的な表現をするというところに良さがあると思います。写真と違って、言葉は字面だけですべてを表しているわけではないじゃないですか。その中に表現したいことがつづら折りになっていることで深みが増して、より言葉に込められた思いや情景が頭の中に浮かび上がってくるんだと思います。そういう言葉の組み立て方にも知性が発揮されるから、コミュニケーションを良好に行うには、読み取る側にもそれなりの経験や知識が必要なんじゃないかと。今まで当たり前に日本語を使ってきましたが、発し方、受け取り方で、知性や個性を感じるツールなのだと思うと、日本語って面白いですね。
現在、社会のグローバル化にともない、企業での英語の公用化や小学校の早期英語教育が進められていますよね。国際社会において英語を話せることはもちろん大切ですが、それもまずは「自分」があってのこと。アイデンティティをもっている人は軸がしっかりしていて強いです。母語である日本語をより深く理解することもアイデンティティを強くする一因になると思うし、これからの時代を生きるために、日本語から得られるものはすごく大きいと感じています。
今、漢検を受検したり夢があったり、何か頑張れることがあるというのはすごく幸せなことだと思います。だって「やる気」があるんだから。努力したことは無駄にはならないし、目標があることで人生が充実するともいえます。とにかく今、前向きに頑張れているという状況が幸せなんだとかみしめてください。
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