幼い頃からヴァイオリンと学業を両立させ、京都大学への進学、プロのヴァイオリニストへの夢を叶えた松尾依里佳さん。現在は、音楽活動とタレント活動の双方でご活躍されている松尾さんに、複数のやりたいこととやるべきことを上手に続けて成果を出すコツを教えていただきます。
ヴァイオリンを始めたのは4歳の時。美しい音色に魅せられて、いつの間にかヴァイオリンが生活の中心になっていました。勉強を始めたのも同じ頃です。その後、大学卒業まで、私の学生生活はヴァイオリンと勉強の二本柱で成り立っていました。
幼い頃からプロの音楽家になる夢をもち続けていましたが、高校も大学も音楽系の学校には進学しませんでした。なぜなら、音楽だけではなく、様々な分野を学ぶことで、自分の可能性や意識を広げていけるのではないかと感じていたから。専門性を高めることも尊いですが、幅広い学びにふれ、さまざまな専門性をもつ人々に出会うことにもすごく興味があったんです。だから大好きな音楽と勉強、どちらも一生懸命やりたいと思っていました。
初めての受験は高校入試。中3の1年間はとにかく忙しかったです。受験間近の12月まで、放課後は音楽教室に通いながらヴァイオリンの練習、その中で勉強の時間をなんとか捻出する日々。とても大変でしたが、私はいつも「量より質が大切」と思い続けていました。
何かに取り組んでいる時に「あ~、これもやらなきゃいけないのに…」と別のことを考えてしまうと、その時間はまったく身につかない。それぞれに割ける時間が少ないからこそ、向き合っている間はそれに100%集中すること。私の場合は、ヴァイオリンの時間を確保したいから勉強に集中できたし、ヴァイオリンの練習が勉強の気分転換にもなり、相乗効果があったと感じています。
私はもともと数学が好きなんですが、高校入学当初は本当にチンプンカンプンで…。よく放課後に、数学が得意な友人に教えてもらっていました。「そういうことだったんだ!」と自分のつまずきが解消されていくと、勉強が楽しい、おもしろいなと感じました。そういう成功体験を積むことで、「もっとやりたい!」という意欲が湧いてくるんですよね。そこからさらに数学が好きになっていって、大学受験では数学を武器にすることもできました。
勉強をするうえで、得意・不得意、わからないことなど「自分を知ること」がすごく大切です。私は分野ごとに「自分に足りないもの」を把握し、それを解消する方法を戦略立てて実践していきました。たとえば、英語の長文読解を習得するためには、ある程度の単語を覚えておかないといけない。だから、夏までにここまでは覚えようとか、この参考書はいつまでに終わらせようとか、具体的な目標に落としこんでいくと、どんな勉強をすればいいのか明確になりますよね。
また、一冊の参考書を繰り返し勉強する方法もあると思いますが、私は複数を並行して使い分けていました。世界史なら、ある国の動向が年代で覚えられない時は、地図の移り変わりを見て視覚的に理解するとか。参考書によってアプローチの仕方がさまざまなので、自分の覚えやすい方法を見つけるのがおすすめ。複数の視点から学ぶことで、物事を全体的に把握することにも役立ちますよ。
ずっと机に向かっていると、どうしても集中力が切れてしまうことがあります。そんな時は、「後悔したくないなら今やろう!」と、自分を奮い立たせていました。私の場合は、京大の正門前で撮った写真を机に置き、「来年からはここでキャンパスライフをスタートさせるぞ!」と、モチベーションを高くもつように意識していました。
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