クイズ番組でのご活躍から「漢字が得意」というイメージのある松尾依里佳さん。しかし、学生時代は漢字が苦手だったといいます。いったい、どのようにして苦手を克服されたのでしょうか?社会人になった今だからこそわかる漢字の必要性や、松尾さんが日頃から大切にされている言葉への想いを伺いました。
小学生の時は、欠点をとって再テストをしなくちゃいけないぐらい、漢字が不得意だったんです。大人になって、改めて漢字を勉強して思ったことがあります。それは「漢字は、勉強したらした分だけ、知識が蓄積される」ということ。忘れることも含めて、すぐに効果が出なくても、やった分だけ知識が増えていくのは確かです。ヴァイオリンも同じで、1回練習しただけでうまくならないのは当然のこと。どれだけ練習できたかが、本番での演奏の出来を左右します。漢字は普段の生活で習得度がわかることも。読書で難しい漢字が出てきた時に「あ、この読み方わかる!」となったり、聞かれた時にパッと答えられたりすると、「漢字の勉強をしていてよかったなぁ」と、嬉しくなります。
もし、漢字を苦手のまま放っておいていたら、どうなっていたでしょう。言葉は、社会人にとって大切なもの。メールの文面一つにしても、誤字・脱字のないきちんとした文章を送れる人は「言葉に対して細やかな意識を持っているな」と、ポジティブな印象を与えられますよね。何かを書く時にも、「あれ?あの漢字何だっけ?」となるよりは、サッと書ける方がいいと思います。コミュニケーションツールとして言葉をイキイキ使えると、すごくカッコイイ!教養や知識を身につけられるという点でも、漢字や日本語の力は、社会に出て一番必要かもしれません。漢字が苦手だという学生さんは、そういう意識で勉強してみると、モチベーションになっていいんじゃないでしょうか。苦手はそのままにしていても治らないので、まずは「やってみること」ですね。
番組で視聴者の方からのお便りを読ませていただきますが、「言葉のもつ力って、すごく大きいんだな」と感じます。コミュニケーションにおいても、「こういう表現をされているから、こんな気持ちでいらっしゃるんだろうな」とか、言葉の綾も含めて“背景にある想い”に鈍感にならないように意識しています。
また私自身、言葉を丁寧に選び、想いや考えが伝わる表現でお話をするよう、心掛けています。さまざまな言語がある中で、日本語ってすごく表現豊かですよね。ひらがな、カタカナ、漢字で使い分けられて、言葉選び一つでいろんな想いを込められる。昔は少し考えすぎて、ブログを書く時にも「どなたかを傷つけるような表現はしていないかな…」と臆病になっていたんです。今は、「発信する」という経験を長く積ませていただき、柔軟に考えられるようになってきました。でも、日本語や言葉遣いに関する本を読んだりと、まだまだ修行中です。
日頃から、さまざまな映画や芸術作品を見て「心を動かす」ことも、表現力を上げるトレーニングの一つです。なぜなら、皆さんに“感じていただく音楽”を届けるには、私自身が無味乾燥ではなく、常に感受性の高い、みずみずしい状態でいることが大事だと思うから。感動した気持ちや「ああなりたいの!」という想いが、演奏や作曲に活かされています。「感」がつく言葉は、感謝、感動、感性…すべて「心の動き」を意味するもの。だから私は「感」という漢字が好きです。自分も含めて、人の心の動きを大切にしていきたいですね。
普段見慣れない難しい漢字も、構成部位を一つひとつ見ていけば、それぞれは簡単な漢字だったりします。例えば「余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)」の「綽」という字は、一見難しそうですが、分解すれば「糸」と「卓」。「“糸”で“卓球”をしても余裕で勝てる!」など、自分で意味をこじつけてみると、漢字がイメージしやすくなって覚えやすいですよ。
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