今、あなたに贈りたい漢字コンテスト
総評
5年前から「今、あなたに贈りたい漢字コンテスト」の審査をしていて、いつも思い浮かぶ言葉があります。それは「希望」です。2017年も嫌なニュースが随分ありました。でも、皆さんが選んだ漢字一字を見れば吹き飛びます。今回も多かったのは、「感謝」の「感」と「謝」であり、「笑顔」の「笑」であり、人に「優しく」ありたいという「優」でした。いつものことですが、順位をつけるのは至難のことであり、不遜ではないかと思われてなりません。なぜなら、皆さんが選ばれた一字の背後には言い尽くせぬ辛い日々があるかもしれないからです。どうか選に漏れた皆さんにお詫びするとともに、入選者とは僅差だったことをお伝えしたいと思います。
受賞者コメント
絆大賞
家族部門
鈴木 仁心 さん(東京都・10歳・町田市立小川小学校)
漢字コンテストの絆大賞を受賞することができて、まさか私が受賞するとは夢にも思わなかったので、とてもうれしいです。今回、絆大賞を頂いて、3度目の満点オムライスを作ってもらえました。ありがとうございます!大切な人との一文字を選ぶ時、まず満点オムライスの事が思い浮び、お母さんとの絆を「満」と言う字に込めました。満点オムライスは、みんなにとってはただのオムライスかもしれないけど、私にとってはめったに食べられないごちそうです。これからも満点オムライスを作ってもらえるように、がんばりたいです。
夫婦・恋人部門
岩﨑 達也 さん(福岡県・会社員)
この度は、第5回「今、あなたに贈りたい漢字コンテスト」の絆大賞(夫婦・恋人部門)に選出頂き、誠にありがとうございます。
今回「途(みち)」という作品に込めた想いが、思いもよらず、このような賞を頂戴することになり、大変驚きました。と同時に、何か私たち夫婦のことを励まして頂いているようで、とても温かい気持ちになれました。
時の流れの中で、自分の前を通り過ぎていった方々や出来事。そして、妻との出逢いがなければ、この作品は生まれませんでした。
この先も、様々な事柄に出くわすことでしょう。そんな時には、この「途(みち)」という漢字の持つ意味に立ち戻り、力をもらって、妻と共に、一歩ずつ歩みを続けたいと思います。
友人・恩人部門
青木 公香 さん(岐阜県・17歳・県立岐阜総合学園高等学校)
この度は、絆大賞という大きな賞をいただけて大変うれしく思います。このコンテストを通じて、友人であり恩人でもあるうっちゃんとの思い出に改めて感謝をすることができました。この思い出は今でもずっと大切な思い出です。
私はあまり強い人間ではないため、これまで多くの人の支えのおかげで様々な壁を乗り越えてきました。また、これからも多くの人に助けられると思います。そういった人たちに感謝をしながら、私も支えることのできる人間に成長していきたいと、このコンテストを終えて感じることができました。
最後になりますが、このような賞をいただけて大変光栄に思います。
自分部門
吉澤 明宏 さん(埼玉県・8歳・自然学園)
しょうをもらったと聞いて、とてもすごくうれしくなりました。
「運」という字はならったばかりのかん字でした。まだうまく書けなかったのでお手本を見ながら書きました。
今のぼくは、お手つだいでのみものやダンボールを運んでいます。のみものは、そうこから自どうはんばいきに運びます。そうこののみものは市場から買ってくるそうです。市場に来る前はどこにあったのかは、おじいちゃんはたぶん知っているけれどぼくは知りません。ぼくもおとなになったらわかるようになりたいなと思います。それに自分でも車を運てんできるようになりたいです。今日もたのまれたお手つだいをがんばります。
日本漢字能力検定協会賞
家族部門
榎田 育代 さん(鹿児島県・公務員)
今回の受賞を機に再び父を想うことができました。ありがとうございます。父も「のさったが。」と喜んでくれていると思います。
父の名は「師郎」。私に様々な事を教えてくれた師である。大工として仕事に専念し、12年前に他界した。父の口癖は「よかたっが。」昔は「何がよかたっがよ。」と反抗していた私も、今では癖になり、悩む子どもたちを前に「よかたっが。」を伝えている。「大丈夫だよ。安心していいよ。私が味方だよ。」そんなことを意としているこの言葉に、私自身も何度も救われてきた。父の残してくれた瓦は今も「よかたっが。」と私を守っている。欲のない父の背中のように温かい。
「まこて、てねんしっもろた。感謝。」
夫婦・恋人部門
山田 幸夫 さん(大阪府)
綾(あや)と、名を呼んだのは、結婚して子どもが誕生するまでの二年間ほどでした。その後は「お母さん」と呼び続けてほぼ三十五年。もう「お母さん」から卒業して、当時のように「綾」と呼んでみたいと思いながら、しかし、呼んだとたんに、妻から、「何? それ」なんて言われそうで、歳月だけが過ぎて今に至っています。
口に出せないので、文字「綾」に託し応募しました。受賞の知らせが届いた時、妻から、「何? その封筒。見せてよ」と迫られたのですが、「何もないよ」と照れ笑いで誤魔化してしまう自分がいます。
今後、名を呼べるようになるのか、まだ自信はないけれど、そのチャンスを頂いた審査員の方々にお礼申し上げます。
友人・恩人部門
清水 彩鼓 さん(愛知県・17歳・デンソー工業学園)
この度はこのような素晴らしい賞を頂き、大変嬉しく思います。
私は中学三年生の頃、進路について悩んでいました。工業系の企業内訓練校に進学して、金属加工の技能を極めるのか、農業高校に進学して、将来バイオテクノロジーの研究に携わるのか。結論を下すことが出来ず、周りの事も手につかない日々を過ごしていました。
そんな私を見かねたクラス担任の先生が、この言葉で励まして下さいました。
そして、私は現在、株式会社デンソーの訓練校で自動車部品製造に関わる技能習得に努めると同時に、社会人として必要な知識を学び、充実した日々を送っています。
これからの人生でも、迷った時には恩師の教えて下さった「正」の意味を思い出し、自分が正しいと思う道を進んでいきたいと思います。
自分部門
中里 達也 さん(青森県・14歳・八戸市立島守中学校)
まず、僕がこのすばらしい賞をとれたことをとても喜ばしいと思いました。また、僕と同じようなことを考えている人たちに少し勇気をあたえられたのかと思うと、このコンテストに応募して良かったと思いました。
僕は親にも姉にも勉強しないとだめだよとよく言われ、自分でも嫌になっていました。でも、このようなすばらしい賞をとり、自分を改めていきたいと強く思いました。勉強ができなかった自分がいたからこそ賞をとれたので、今度は勉強ができる自分になり、賞をとりたいと思いました。
審査員賞
家族部門
柴田 真伊 さん(大阪府・16歳・府立港南造形高等学校)
この度は審査員賞という素晴らしい賞を頂けて大変光栄です。ありがとうございます。
私は【朝】という字を選びました。機械の目覚ましの音ではなく、おばあちゃんが朝食を作る際の包丁のリズムで目が覚める朝は私にはとても心地良いものでした。
一人暮らしの祖母はとても元気で今も毎朝台所に立ち続けていますが、私が大人になるにつれて会える機会が少なくなってきました。なので、次に帰省する時は頑張っておばあちゃんより早く起きて、私がおばあちゃんにあの朝を贈りたいと思います。
椿 幸枝 さん(山口県・学校司書)
私は奇しくも、祖母が亡くなった同日、この世に生を受けました。
母は、母親を失った哀しみを背負いながら、新しい命を授かった喜びを胸に抱き、慈しみ育ててくれました。
母親の深い愛情にかなう言葉はありませんが、感謝の思いをちょっぴり照れて茶化し、贈りました。
現在、私は学校図書館に勤務しています。活字離れが進んでいると言われる昨今です。未来ある子ども達に、漢字の奥深さやことばの持つ力について伝えることが出来るよう、受け継がれた命を「モー」レツに燃やし日々を過ごしています。
この様な素晴らしい賞をいただき大変光栄です。有難うございました。
山川 くるり さん(福岡県・15歳・那珂川町立那珂川南中学校)
この度は「今、あなたに贈りたい漢字コンテスト」にて家族部門の審査員賞をいただき、本当にありがとうございます。
偶然見つけて何気なく書いたものでしたが、賞をとることで母にも見てもらう機会ができました。
親子の形が型にはまらず、少し変わった形をしている私たちですが、大切なことはお互いの信頼と幸せだという考えを元に、これからも母娘楽しく生きていきます。
なかなか理解されにくい関係性を素直に書いたもので賞をいただけたのはとても嬉しく、誇らしいことだと感じています。
つたない文章でしたが、評価して下さり、ありがとうございました。
夫婦・恋人部門
打浪 道代 さん(大阪府・主婦)
思いがけない賞をいただき大変驚きました。日常の何気ない夫とのやりとりから、髪の毛が少なくなるにつれ夫がどこか元気を失っているように感じていました。間もなく金婚式を迎える私たち夫婦はもう立派な「老人」ですが、夫は頭頂部が薄くなるのを特に気にしているようで、河童みたいになるのはいやだなと常々口にしていました。
私にとっては、夫の髪の毛があろうとなかろうと、長年連れ添った生涯大切な人であることには変わりありません。そんな時にこのコンテストを目にし、万一入選したら元気をとり戻してくれるかも、と半ば遊び心で応募しました。入選の知らせを夫も大変喜んでくれ、「いっそ、丸坊主にするか」と言っていますが、どうなりますやら・・・・・・。
ともかく、私たち夫婦に、楽しい時間をお与えいただき深く感謝しております。
大角 輝代 さん(大阪府・教員)
この度はすばらしい賞をいただき、ありがとうございます。
昨今は手紙ではなく、メールを使う事が多く、非難されがちです。もちろん手書きの温かさはありませんが、その場で瞬時にやりとりができることに助かることもあります。
病院へ行くその日はさすがに不安で、結果を受けての帰り道に、家にたどり着くまでにメールをしました。いつも何気なく返ってくる、短い「了解」の文字が、言葉を尽くすことよりも普段通りの愛情で応えてくれたやさしさに、安心したことを覚えています。
この受賞を機に一層互いを理解しあえる関係を築いていきたいと思います。
小林 憲彦 さん(京都府・会社員)
妻との思い出を応募させていただきましたところ、大変すばらしい賞をいただき、感謝申し上げます。また、授賞式には所用により参加できないこと、お詫び申し上げます。
受賞の通知が届いた時のエピソードをお伝えさせていただきます。
受賞の通知が届いたときに、早速、妻に報告しましたところ、受賞報告に対しましては大変喜んでくれました。ただ、応募内容を伝えた後には嫌な顔という、半分半分のリアクションがもらえました。
この受賞により、応募内容の続きに受賞という事実が加わり、今後も仲良くやっていくための大切な思い出が、また一つできました。ありがとうございました。
友人・恩人部門
久保田 洋二 さん(茨城県)
『丸』を選んでいただき、ありがとうございます。
先生からの、たった一つの文字『な』への三重丸が、出来の悪かった小学一年生の私に元気を与え、やる気を起こさせて、生き抜くことができたことを、世の中の先生方に知ってもらいたい。
先生だけでなく、世の中の多くの人の目に触れればいいと思っています。
人と接するときは、できる限り、相手のいい面を見つけることを心がけるようにしています。
その根底には、小学一年生での『丸』が頭のどこかで、常に動めいているからだと思います。
人と人が顔を合わせて暮らす社会ではいろんな場面で『丸』が必要になってくるのです。
『丸』を付けたり、付けられたりして、これからも生きていきたい。
高田 朱夏 さん(鹿児島県・14歳・鹿児島市立鴨池中学校)
このたびは、素晴らしい賞をありがとうございます。まさかこんな賞を頂けるとは思いもしませんでした。喜びで胸がいっぱいです。
私が漢字一文字を贈る相手を考えているとき、自然と頭に浮かんできた光景がありました。背の高い彼女に合わせ、いつもより傘の高さをあげる私。傘を持ってくれようとする彼女。そんな雨の日の光景です。傘の下、一緒に話せることは幸せだと思い、「太陽」のような彼女に、あえて「傘」という字を贈りました。
このたび、賞を頂けたことで雨の日が一段と好きになれそうです。
本当にありがとうございました。
羅 皓潔 さん(長崎県・22歳・長崎外国語大学)
このたびは、第五回審査員賞に選出していただき、本当にありがとうございました。指導してくださった先生や親友のお蔭で、初めてこのような素晴らしい賞を頂いて、とても感激しております。留学生活の中で良い経験になりました。漢字は日本語でも中国語でも重要な存在です。一文字でも大切な人に自分の気持ちを伝えることができると思います。また、今回の受賞をきっかけに親友との絆も深めることができました。今後、この経験を活かして日本語をもっと頑張って勉強しようと思います。
自分部門
宇都宮 渓吾 さん(大阪府・15歳・柏原市立柏原中学校)
この度は、審査員賞を受賞することができ大変嬉しく思います。
僕はバドミントン部に所属し、一年生の頃から何度も試合に出ました。でも最初の方に先輩と試合してもなかなか勝てずに負けることも多く、そのときの思いをこの漢字で表しました。誰もが負けることがあり、悔しい思いをしていると思います。しかし「負」という漢字はマイナスの意味の漢字ではなく、たくさんのよい意味もあります。だからこそ頑張ってこれたんだと思います。これからも先いろいろな事があり、時には負けることもあると思いますが、頑張ろうと思います。
永井 沙彩 さん(大阪府・17歳・大阪教育大学附属高等学校池田校舎)
この度は審査員賞を頂きありがとうございます。言葉を通してたくさんの人に思いを届けられたことを嬉しく思います。
今年私は受験生になります。自分は何がしたいのか、何を目指すのか、大人になるにつれ自分で決めるべきことが大きくなっていきます。助けを借りるにしても、自分で突き進むにしても、自分の思いを伝えることで人を納得させていかなければなりません。これから先その勇気が出ない時には、この「届」という漢字を書いた時の前向きな気持ちを思い出して進んでいきたいです。自分の思いに自信を持てるようになりたい、堂々と語れるようになりたい、そして将来は「言葉」で人と繋がる仕事をしたいと思います。
渡邊 稜也 さん(群馬県・17歳・県立中央中等教育学校)
私は高校3年間、野球部に所属していました。そこで顧問の先生がよくおっしゃっていた言葉が「凡事徹底」です。今回はこの言葉の一文字を選びました。この言葉は社会のあらゆる組織やチームのモットーとなることはしばしばありますが、先生からいただいたその言葉は野球をやっていた自分に強く響きました。野球が終わってからは受験勉強に入りましたが、その期間中もその言葉の精神を常に持ち続け、一つ一つの問題を丁寧に解き自分のものにしていく努力をしました。これからも、何事にも「凡事徹底」の精神で取り組んでいければよいと思っています。
※ 受賞者の都道府県、学校名、年齢、職業は応募当時のものです。