公益財団法人 日本漢字能力検定協会

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今、あなたに贈りたい漢字コンテスト

家族部門 受賞作品

絆大賞

お母さんへ仁心より「満」

鈴木 仁心 さん
(東京都・10歳・町田市立小川小学校)

私は運動会や、授業参観の日が終わった後、満点オムライスを作ってもらいます。でも満点オムライスは、本当にがんばった時にしか作ってもらえないので、私もまだ2回しかつくってもらっていません。なので満点オムライスを作ってもらえるように今度の授業参観でいい発言をして、また満点オムライスを作ってもらいたいです。

審査員からのコメント

お母さん、「満点オムライス」とは何といいアイディアなんでしょう。そのオムライスにはさまざまな味、思いが込められているに違いありません。何よりも買ったものではなく、お母さんの手作りなのがいいですね。そして「満点」とはどうもテストの点数ではないようです。だから娘さんは、今度の授業参観では「いい発言」をしようと心に決めているのです。ここには教育とは何かについて、もっとも大切なものがあるような気がします。お母さんが腕によりをかけたオムライスを私も食べたくなりました。(橋本五郎)

日本漢字能力検定協会賞

亡き父(塚元師郎)へ娘(榎田育代)より「瓦」

榎田 育代 さん
(鹿児島県・公務員)

私と同じ年の実家の瓦のふき替えをした。55年もの風雨に耐え、家を守り続けた瓦。大工だった父が、私を背負って建てたという家。瓦の下に父の文字を見つけた。「昭和37年4月18日上棟」。宝が美しく残されていた。この家全てが父の手によるもの。こんなにも私たちを守っていてくれたのかと、古ぼけた瓦一枚に感謝する。そして父の背の温かさを今も感じる。「とうちゃん。私も子どもたちの瓦になろごあっ。」

審査員からのコメント

大工だったお父さん、私を背負って瓦葺をされたお父さん、上棟の日付もそっと瓦の下に書き込まれたお父さんの男の美学を知った育代さんの驚きとうれしさは、どれほどのものであったでしょう。親子の絆を噛みしめ「とうちゃん。私も子どもたちの瓦になろう。」と、親子の繋がりを次の世代に受け継ぐ気持ちが素直に書かれていて心を打たれました。
(髙坂節三)

審査員賞

おばあちゃんへ孫より「朝」

柴田 真伊 さん
(大阪府・16歳・府立港南造形高等学校)

台所に立つおばあちゃんの後ろ姿と「トントントン」と規則正しい包丁の音で目覚める朝が、私はとても好きです。いつもは慌ただしく起きて、朝食も適当に済ませてしまいます。だから、夏休みにおばあちゃんの家で迎える朝に少しだけ甘えたくなります。いつもありがとう、おばあちゃん。

審査員からのコメント

私にはある情景がはっきりと浮かびます。白いかっぽう着姿で一心不乱に包丁を使っているおばあさん。すぐそばではご飯がまもなく炊きあがろうとしています。みそ汁のにおいもしてきます。シャケの焼ける音もかすかですが、聞こえてきます。それはまた私の母の姿でもあります。おばあさんの朝ごはんには、どうか明るく、すくすくと育ってほしいという願いが込められているように思います。そのおばあさんの気持ちはお孫さんにしっかりと伝わっていると感じました。(橋本五郎)

お母さんへ末娘より「牛」

椿 幸枝 さん
(山口県・学校司書)

うし年でもある貴女は、家族の元気の源である美味しい料理を作る(乳を与える)乳牛であり、朝から晩まで働く農耕牛であり、大切な私たちを守るために時には闘牛となり、自身を省みず尽くし身を削る姿は肉牛を彷彿とさせました。うさぎ年の私を、その大きな体の下に守ってくれました。何歳になっても「モォ~!」と怒らせてばかりですが、そろそろ牧場でゆったりとお昼寝するうしちゃんにさせてあげたいです。いつも有難う。

審査員からのコメント

二人の娘の父親としていつも反省していることがあります。父親は外で働いているという一人一役ですが、母親は一人で何役もこなしているということです。そのことを「牛」に例えて見事に表現していただきました。そこには子どもの成長を願い、髪を振り乱して毎日奮闘している母の姿があります。それなのに、実の母親がいたいけなわが子を虐待する事件が後を絶たないのはどうしてなのだろうと思ってしまいます。何から始めればいいのだろうかと考え込まざるを得なくなるのです。(橋本五郎)

愛する母へ私より「相」

山川 くるり さん
(福岡県・15歳・那珂川町立那珂川南中学校)

私は貴方の何だと思いますか。
貴方が昔、「くぅちゃんは私の娘だけど、人生で一番の相棒でもあるんだよ」と言ったのを私は今でも覚えています。
それから私は貴方の『相』棒で、『相』愛し、私へのたくさんの愛を『相』承していく存在になりました。
親子という関係性に縛られない貴方の考え方が大好きです。
私に変わらない居場所をくれてありがとう。私にとっても、貴方が人生で一番の『相』棒です。

審査員からのコメント

「母子」というよりは「姉妹」「同志」という感じですね。おそらくお母さんには、あなたを保護する対象としてではなく、一人の人間として接することで独立心を養ってほしいという希望と、自分も一緒に成長していこうという強い意志のようなものがあるのでしょう。親子にはさまざまな姿があり得ると思います。一番大切なことは、母の思いが無理なく子に伝わり、子は母の気持ちを十分にくみ取りながら、自ら信じる道を歩むことだと思います。その姿がここにはあります。(橋本五郎)

佳作

  • 石川 夏子 さん
    (東京都・15歳・女子美術大学付属中学校)
  • 岩中 幹夫 さん
    (岡山県・公務員)
  • 漆畑 渚都美 さん
    (静岡県・12歳・静岡市立清水第八中学校)
  • 木下 惟理 さん
    (大阪府・18歳・府立港南造形高等学校)
  • 佐藤 優樹 さん
    (山梨県・17歳・富士学苑中学・高等学校)
  • 白柿 咲羽 さん
    (鹿児島県・13歳・鹿児島育英館中学校)
  • 末吉 浩子 さん
    (京都府・主婦)
  • 杉村 佳帆里 さん
    (静岡県・教員)
  • 幡上 陸 さん
    (北海道・16歳・駒澤大学附属苫小牧高校)
  • 矢島 拳心 さん
    (岐阜県・11歳・関市立安桜小学校)

夫婦・恋人部門 受賞作品

絆大賞

妻(葉子)へ夫(達也)より「途」

岩﨑 達也 さん
(福岡県・会社員)

私が妻に贈る漢字は「途」です。それぞれに離婚や身内の介護を経験し、人生の折り返しを過ぎて出会い、2年前に48歳で再婚した私達。途という漢字には「細くて険しい長い道のり」という意味があります。又、一途という使い方のように「ひたむき」という意味もあります。二人は、まだ長い「人生の途中」を歩んでいます。一途にお互いを思いやり、ひたむきに生き、共に途を切り開いていきたいという強い思いを込めました。

審査員からのコメント

一人と一人が運命によって出逢った「途」。
さまざまな人生の苦労を味わったのちのお二人だからこそ、この漢字一文字の重みを感じることができるのでしょう。そして、みち、と声に出してみますと「未知」をイメージすることもできました。これもまた、おっしゃるように人生の折り返し地点からの“これから”を大切に進んでいきたいという思いと絶妙に重なります。
手を携え、ひたすらに歩む途の先はきっときらきらと輝きに満ちていることでしょう。(やすみりえ)

日本漢字能力検定協会賞

結婚して39年の妻へ照れ屋の夫より「綾(アヤ)」

山田 幸夫 さん
(大阪府)

僕たち二人が出会った頃、きみのことを「中野さん」と呼び、特別な人になった時、「綾子さん」そして、「綾ちゃん」へと変わったよね。結婚してごく自然な流れで「綾」と呼びました。子どもが誕生して「お母さん」と呼ぶようになり、その子どもたちも独立して二人の生活に戻った今でも「お母さん」と呼んでいます。新婚当時のあの頃のように「綾」と呼んでみたいけど照れます。だから、「綾」を文字にして贈ることにします。

審査員からのコメント

「初めての出会い」。「恋人」から「夫婦」。そして「お父さん、お母さん」。
子どもが独立して「二人の生活」に戻った今、お互いの呼び名が変わってきたことに思いを馳せ、新婚時代の呼び名に戻したい。すこし照れるという言葉に、改めて二人の素晴らしい人生の歩みが想像でき微笑ましく感じました。
(髙坂節三)

審査員賞

夫へ妻より「水」

打浪 道代 さん
(大阪府・主婦)

年齢とともに髪が薄くなったあなた。特に頭頂部を気にしていますね。まるで河童みたいだと。
でも、わたしは全然気にしてません。髪の毛があろうとなかろうと、あなたは48年わたしを大切にしてくれたかけがえのない旦那さま。元気のないあなたの頭のお皿にはいつも水を贈りましょう。そして元気を取り戻してください。

審査員からのコメント

数多く寄せられた応募作品の中でも、おやっと目を引いたこちら。妻からの、なんともユニークなラブレターとなっています。
ともに歳を重ね、かけがえのない相手のすべてを愛おしく思えるなんて本当に幸せですよね。そう、この「水」は愛なんです。でも「愛」とはせずに「水」にした豊かな表現力はお見事。
そのセンスの良さで、四十八年間の結婚生活も彩りあるものになさってきたのではないかとお察しします。「水」という漢字は“流れている水“の象形なのだそうですね。まさしく、妻から夫への愛が絶え間なく注がれているのでしょう。
(やすみりえ)

あなたへ妻より「解」

大角 輝代 さん
(大阪府・教員)

腫瘍が見つかった。不安なまま検査結果を聞きにいった帰り、「大丈夫だったよ」とメールをしたら、あなたからの返事は「了解」。仕事が終わって帰るコールをしても「了解」。いつもこの2文字しか返信してこないあなたが、いつだって私を思い、家で笑顔で待っていてくれている。無駄に多くは語らないあなたの本当のやさしさを、私は「解」かっているからね。

審査員からのコメント

ちょっぴりぶっきらぼうな「了解」の一言。文字だけを目にすると確かにそんなふうに感じます。でもその向こうにいる夫の表情や声を想像して受け止めると、にわかに素敵な言葉に変わるのですね。この部門にぴったりの、夫婦の繋がりを味わうことができました。
メールでのやりとりは、時に誤解も生じ易いもの。相手の思いを理解しようとする心の余裕がなければなりません。
不安な気持ちや日々の疲れを癒してくれるいつもの言葉・・・。この作品には、夫婦のあたたかな愛が溢れています。(やすみりえ)

妻へ夫より「騙」

小林 憲彦 さん
(京都府・会社員)

結婚する前に付き合っていた彼女が作ってくれたお弁当がとてもとても美味しくて、この彼女と結婚しようと思った瞬間でした。この1年後に結婚しました。結婚した後にあの時のお弁当の話になり、カミングアウトがありました。実は、あのお弁当は彼女のお母さんが作ったものだったのです!「騙された!」あれから20年が経ちましたがあの時のお弁当に勝る美味しいものを作ってくれます。あの時、騙されて幸せになりました。

審査員からのコメント

手作り弁当のエピソードに、「騙」がうまく合わさった作品でした。結婚して二十年経った今、美味しいお料理を作ってくれる妻への感謝の気持ちが込められていますね。
私はそれに加えて、お弁当を代わりに作ってくれたお母様にも興味がわきました。とても優しくて愛情深い人なのでしょう。だって、娘が恋人へ渡すためのお弁当作り。知らん顔しておいたっていいのに、おぼつかない姿を見兼ねて手伝ってくれたわけですから・・・。
とにもかくにも、こんな愛のある「騙」なら微笑ましく感じられます。(やすみりえ)

佳作

  • 奥井 一幾 さん
    (兵庫県・研究者)
  • 工藤 純子 さん
    (北海道・主婦)
  • 小松崎 有美 さん
    (埼玉県・主婦)
  • 髙野 亜衣子 さん
    (神奈川県・会社員)
  • 武市 善明 さん
    (徳島県・公務員)
  • 田島 英和 さん
    (東京都・教員)
  • 西村 美由 さん
    (大阪府・栄養士)
  • 村井 庸佑 さん
    (香川県・教員)
  • 山口 華澄 さん
    (神奈川県・18歳・横浜清陵高等学校)
  • 吉田 和史 さん
    (岐阜県・会社員)

友人・恩人部門 受賞作品

絆大賞

うっちゃんへわたしより「目」

青木 公香 さん
(岐阜県・17歳・県立岐阜総合学園高等学校)

中学の頃のわたしは人付き合いがうまくできず、人と接するのが少し怖かった。そこに、うっちゃんが「目合わせるの怖い?でも合わせてくれないとさみしいよ」と声をかけてくれた。当然のことだけど、遠慮せず優しくそう言ってもらえて、とても嬉しかった。うっちゃんの一言で私の苦手意識が和らいだよ。別々の高校になったけど、次あったら目を合わせて「ありがとう」と言わせてね。

審査員からのコメント

祝!大賞おめでとうございます。人が生きていく中で「目」からたくさんの景色が飛び込んできます。色や情報、人の姿、良いこと、嫌なこと、目に焼き付きます。そして、内なる心も目を通して外に現れます。「目」は口ほどにモノを言う。目にはその時の心模様が正直に出るんですね。
あの日のうっちゃんが「目を合わせるの怖い?でも合わせてくれないとさみしいよ」と優しく声をかけてくれた事が、一人の少女の「心の目」を開かせてくれたんですね。優しさには、何かを変える「力」があることを改めて感じました。「目を澄ます」「目を覚ます」「目を肥やす」「目が合う」。二人の姿が目に浮かびます。命(ゴルゴ松本)

日本漢字能力検定協会賞

恩師へ自分より「正」

清水 彩鼓 さん
(愛知県・17歳・デンソー工業学園)

何が正しくて何が正しくないかで悩んでいた中学の頃、当時の担任に「正という字は、一旦止まると書く。悩んだ時は、一旦止まってゆっくり考えて、正しいものを見つけると良い」と言われたのが印象的だった。

審査員からのコメント

多感な中学時代。何が正しく、何が正しくないか、悩むことも多かったことと思います。
先を急ぎ勝気な君への適切な指導、「正という字は、”一”旦 ”止”まると書く。悩んだ時は、一旦止まってゆっくり考え、正しいものを見つけると良い。」
素晴らしい先生の指導、いつまでもこの言葉を大事にして、焦らず一歩一歩進んでください。(髙坂節三)

審査員賞

小学一年時の担任の先生へ私より「丸」

久保田 洋二 さん
(茨城県)

私が小学一年生の時でした。まだ作文が書けなかったのです。文章になっていない作文でしたが、先生は一箇所だけに三重丸をしてくれたのです。誉めるところを探してくれたのです。その三重丸を付けてくれた箇所は『な』の文字だったのです。その後、もっと多く三重丸をもらおうと勉強をしました。その三重丸は何事においても、私の励みになりました。人を見る時も、いい面を探そうとする人間になりました。

審査員からのコメント

六十年前の出来事をつい最近の事のように想い出され、この文面から小さな一年生が三重丸をつけてもらったことで俄然やる気を出して勉強している姿が目に写ります。小さな子供をやる気、元気にさせたのは、先生の人間味ある本物の優しさではないでしょうか。誉めるところを探し、この方の人生の励みになり、人のいい面を探し出す大人に成長させたのは、人と人との縁ですね。
「丸」は「円」、円満、満月、望月のことです。誉めるの「ほ」は穂(秀)、傑出して秀れていると認める意味。この話を知って、人生丸もうけです。命(ゴルゴ松本)

友達の〇〇へ高田朱夏より「傘」

高田 朱夏 さん
(鹿児島県・14歳・鹿児島市立鴨池中学校)

雨の日、「傘、忘れた!!」と私の傘に入る○○。逆に、私が忘れたときは「おいでよ。」と入れてくれる。相合傘をしてると、2人とも体の半分がぬれてしまう。でも、私はイヤじゃない。いつもより近くで話すこの時が、ちょっぴり楽しかったりもする…かもしれない。

審査員からのコメント

「傘」の字は、人屋根、人頭の中に四人の人がいます。昔の傘はたくさんの人を守ってくれたのではと思いたくなる漢字ですね。「傘忘れた!」「おいでよ!」友達と相合い傘。ちょっぴり楽しかったり。雨が降るからこその傘。雨にもありがとうですね。雨降って地固まることもあります。人生の中で傘を差したり、差されたり、誰かが困っていたら「どうぞ!」と傘を差し出せる人々がいっぱいの星になることを祈ります。雨上がりには素晴らしい虹がかかるでしょう。命(ゴルゴ松本)

王さんへ羅より「珍」

羅 皓潔 さん
(長崎県・22歳・長崎外国語大学)

大学で知ってからもう三年になりました。王雅は私の心の中でもう一番大切な人になりました。いつも仲良しで、ケンカもあまりなくて、ずっとずっと毎日一緒に楽しく過ごしました。「珍」は「珍しい」の意味だけではなく、中国語では「大切にする」の意味もあります。いつも私を大切にしてありがとう。私もこれからもっと王雅を大切にします。いつも側にいってくれて、ありがとう。これからもよろしくね。愛してる。

審査員からのコメント

今まで単純に「めずらしい」という言葉を使ってきました。今回改めて調べてみたところ、たくさんの意味がありました。「貴重」「類がない」「すぐれている物」ゆえに「たっとぶ」「重んずる」「愛する物」「美しい」。「珍」とは、容易く手に入らない玉のことなんです。密度が高く満ちたりている玉のこと。珍品、珍重、珍事、珍客、珍妙、珍獣、珍味、すべて愛すべきコトやモノなんですね。
文章の最後に「愛してる」。ズドーンと伝わってきます。美しい!!この漢字は私にとって「珍発見」でした。命
(ゴルゴ松本)

佳作

  • 神山 樟翔 さん
    (栃木県・8歳・鹿沼市立西小学校)
  • 小池 由記 さん
    (大阪府・17歳・大阪教育大学附属高等学校池田校舎)
  • 佐野 美音 さん
    (静岡県・14歳・三島市立錦田中学校)
  • 椎野 美香 さん
    (神奈川県・主婦)
  • 田岡 大和 さん
    (京都府・14歳・京都市立蜂ケ岡中学校)
  • 龍田 優 さん
    (三重県・教員)
  • 百々 進祐 さん
    (愛知県・教員)
  • 長谷川 充生 さん
    (東京都・13歳・武蔵野中学校)
  • 林田 真也 さん
    (福岡県・13歳・宇美町立宇美南中学校)
  • 松岡 蒼真 さん
    (三重県・9歳・松阪市立射和小学校)

自分部門 受賞作品

絆大賞

20さいのぼくへ8さいのぼくより「運」

吉澤 明宏 さん
(埼玉県・8歳・自然学園)

8さいのぼくは、おとなになったらはこぶしごとをしたいと思います。コーラやオレンジジュースを、トラックにのってしらない人にはこびます。おもいほうがやりがいがありそうだから、おもいものをもちたいです。おもくってもきょう力すればやるきがでます。あせをかいても、休まずがんばろうね。

審査員からのコメント

吉澤さんの「おとなになったらはこぶしごとをしたいと思います」という一節がとても深く印象に残りました。
「運」の字のなりたちは、大昔の中国で将軍の車の上に旗がたなびく様子を表す「軍」と道をあらわす「しんにょう」が組み合わさることで、できあがりました。将軍の車の旗がすべてを指揮していたのです。運ぶということは、大昔の中国では、ただものを運ぶだけでなく、さまざまなことを指揮する役割でもありました。
吉澤さんは、きっとこの先、重いものを持って、みんなと協力し、いろんなことに思いがめぐるすてきな”はこぶひと”になられるだろうと思います。これからこの「運」という字を傍らにいろんなことをがんばってください。(華雪)

日本漢字能力検定協会賞

小学6年の自分へ中学2年の自分より「勉」

中里 達也 さん
(青森県・14歳・八戸市立島守中学校)

小学6年の自分なぜ君は勉強しないのだ。君が勉強しないから中学の勉強が分からなくなってしまったじゃないか。何てことをしてくれた。君は、今からすぐに勉強しなさい。あと先生の言うことを聞きなさい。

審査員からのコメント

中学生になった今、小学生時代の自分を振り返って、勉強しなかったことを悔いるとともに、「今からすぐに勉強しなさい。先生の言うことを聞きなさい。」の忠言。
自らを振り返る「反省」も長い人生において必要なことです。「今からでも遅い」ということはありません。
(髙坂節三)

審査員賞

私へ私より「負」

宇都宮 渓吾 さん
(大阪府・15歳・柏原市立柏原中学校)

負という漢字は負けてしまったなど良いことではない時に使いますが、それかきっかけに、「誇負」や「自負」、「抱負」など良い意味もあります。自分の「負」がこれから歩むきっかけになるかもしれません。

審査員からのコメント

宇都宮さんは、現在勝ち負けといった意味合いが通用している「負」の字を、改めて深く考えることで肯定的な側面を見つけられたのですね。
「負」の漢字の成り立ちを調べると、人が貝を背負うかたちを象っているとあります。古代中国の社会では貝は貴重品でした。そうした貝を背負うということは、荷物を負い担ぐだけでなく、貴重品を運ぶということから責任を引き受けるという意味へ展開していきました。
宇都宮さんの気づかれた「負」の字の奥にあるものを、これからどんなふうに担っていくのかを見定め、ぜひこれからも一歩一歩、ゆっくりと歩んでください。(華雪)

弱い自分へ沙彩より「届」

永井 沙彩 さん
(大阪府・17歳・大阪教育大学附属高等学校池田校舎)

「ぼそぼそ喋るから何言ってるかわからない。」と母に言われます。小さい頃から内気で、1対1で話すのはいまだに苦手です。だけど相手に届けなければ思いは伝わりません。聞き返してくれるのは、考えを知りたいと思ってくれているからこそ。だからもっと自信を持とう。届けよう。その思いに応えるためにも。

審査員からのコメント

「届」の漢字を字典で調べると、その成り立ちは古代中国の葬礼の儀式に遡ります。
日本語としての漢字「届」はひとつの点から他のひとつの点に至る、到着するという意味で用いられています。
つまり、中国語としての「届」からは人が祈る姿が、日本語としての「届」からは放たれた矢が目的地に到達するような印象が、それぞれから伝わります。
人は祈るとき、自分の思いに自信があるからこそ、まっすぐに祈ることができるような気がします。また矢を放つ時、目的地をはっきり思い描いていなければ、思わぬところに落ちてしまうかもしれません。
永井さんが、今回たどり着いた「届」。ここからまた、たくさんの人にその思いを伝えていってください。(華雪)

自分へ自分より「凡」

渡邊 稜也 さん
(群馬県・17歳・県立中央中等教育学校)

あなたは今までずっと野球を続けてきて最終的には8年間続けました。そのときに一番大事にしていたのは「凡時徹底」という精神でしたね。誰でもできることを誰もできないくらい練習してきましたね。これからは受験勉強できつい時期になってきますが、どんな問題でもたくさん量をこなして自分のものにしていってください。

審査員からのコメント

「凡」の漢字の成り立ちは、平たくて大きな器である”盤”のかたちがもとになっていると字典にはあります。
いまでこそ、「並の」という意味合いで用いられる字ですが、古代中国では「すべて」という意味で用いられていました。
渡邊さんが8年間、野球を続ける中で大切にされていた『凡事徹底』ということばの「凡」もまた、こうした字の成り立ちを知ると、「誰でもできること」という意味合いばかりではないのかもしれません。
これからは受験勉強の時期に入られるとのこと。「凡」の字とともに歩んでこられた渡邊さんだからこそ、ここからまたこの字の意味合いを深く知り、ますます豊かな時間を過ごしていっていただけたらと願っています。(華雪)

佳作

  • 青山 瑠菜 さん
    (愛知県・12歳・小牧市立北里中学校)
  • 浅野 萌 さん
    (埼玉県・会社員)
  • 諏訪 麻美 さん
    (岡山県・主婦)
  • 戸田 涼子 さん
    (大阪府・16歳・府立港南造形高等学校)
  • 中井 朗 さん
    (福岡県・教員)
  • 長嶋 柚奈 さん
    (静岡県・12歳・沼津市立第四小学校)
  • 東口 修樹 さん
    (大阪府・14歳・柏原市立柏原中学校)
  • 日野 詩音 さん
    (大阪府・17歳・大阪教育大学附属高等学校池田校舎)
  • 平澤 泰造 さん
    (静岡県・12歳・静岡市立清水興津中学校)
  • 福田 健 さん
    (東京都・16歳・武蔵野高等学校)

※ 受賞者の都道府県、学校名、年齢、職業は応募当時のものです。

※ 基本的には応募作品の原文をそのまま掲載しておりますが、一部修正を加えている箇所がございます。ご了承ください。

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