今、あなたに贈りたい漢字コンテスト
小学生部門 受賞作品
絆大賞
大恵 貴子 さん
(兵庫県・8歳・西宮市立南甲子園小学校)
3才から毎日つづけているお父さんとの交かん日記。私は朝に日記を書いて、お父さんは夜に書いてくれるね。どんなにつかれて帰ってきても、次の日には日記を開けるとお父さんの字がかかれている。ありがとう。これからも私とお父さんだけの日記だよ。
審査員からのコメント
たかこさんのお父さんへの手紙を読んでいると、二人が日記を書いている姿がくっきりと目にうかび、やがて目が涙でくもってしまいます。おそらくお父さんは、職場でどんなにいやなことがあっても、日記に向かっていると、心が安らいだにちがいありません。娘の日記に「フフフ」と笑うことも何回もあったでしょう。そしてたかこさんは「お父さんは今度なんて書いてあるかな?」と、期待に胸ふくらませて日記帳を開け、元気に学校に向かったことでしょう。芯から心が洗われます。(橋本五郎)
日本漢字能力検定協会賞
鈴木 心晴 さん
(宮城県・12歳・仙台市立小松島小学校)
毎日通学路で見守ってくれたね。始めは手をつないで歩いた道、いつからか、何も言わずに少し離れて歩いてくれるようになったよね。恥ずかしく感じたりもしたけど、やっぱり嬉しかったよ。私の小学校生活もあと少し。6年間、「安心」と「安全」をありがとう。
審査員からのコメント
暖かい家庭の中ですくすくと育った「心晴」さん、「無口なおじいちゃん」と一緒に小学校を通った6年間、おじいちゃんにとっても生きがいであったことでしょう。
上級生になるにつれて、手をつないで通うことに躊躇し始めた「心晴」さん。それは成長の証であり、それと同時に,おじいちゃんの少し離れた背後からの温かい見守りは、貴女にとっての「安心」と「安全」の「お守り」だったことでしょう。(髙坂節三)
審査員賞
迫間 瑠衣 さん
(鹿児島県・7歳・姶良市立重富小学校)
いつもわらわせてくれてありがとうございます。「おかあさん。」とまちがえてよんでしまうほど大すきです。いつも、大きくて元気な声でわらっている先生に「笑」というかん字をおくります。
審査員からのコメント
いい先生ですね。「笑う門には福来たる」という言葉があります。怒っていないで、笑いがいっぱいあるところには、幸せがしぜんにやってくるという意味です。るいさんはおうちと学校にふたりの「おかあさん」がいるのですから、こんな幸せなことはありません。その幸せを大切にして、お友だちや近所のみなさんにもいっぱい笑いをとどけてくださいね。(橋本五郎)
堀部 寅壱 さん
(岐阜県・7歳・関市立金竜小学校)
犬がすきでかいたいけど、お母さんにはんたいされてかえないでいるお父さんに、犬という漢字をおくりたい。いつかかえるといいね。ぼくだったら、しば犬をかいたいです。
審査員からのコメント
おとなの言葉でいうと、家族内の権力関係がよくわかります。お母さんの力が強いようですね。お母さんは不本意かもしれませんが、「お父さんがかわいそう」の気持ちがよく表れています。これもおとなの言葉で、「張り子の虎」というたとえがありますが、とらいち君の「張り子の犬」に、そしてとらいち君のやさしい心に、お父さんは涙を流しているかもしれませんよ。(橋本五郎)
福原 瑠那 さん
(奈良県・9歳・近畿大学附属小学校)
わたしは、今受験生のお姉ちゃんに、「晴」という漢字を贈ります。かみなりや雨になることなくきもちは晴れのように明るく合かくしてほしいです。「晴」の意味は、晴れやかな、晴れ晴れとした、という意味です。お姉ちゃんの受験が受かるように願っています。
審査員からのコメント
お姉ちゃん思いですね。お姉ちゃんの合格を、手をあわせて神様に祈っている姿が目にうかびます。ふつうなら合格を願う気持ちを「祈」や「合」で言い表そうとするところですが、「晴」の字をえらんだのはとてもすばらしいと思います。お姉ちゃんの合格によって、お父さんもお母さんも家族みんなが晴れやかな気持ちになるのですから。瑠那ちゃんの思いはきっと天にとどいて、「晴」になったに違いないと思いました。(橋本五郎)
佳作
- 東 翔琉 さん
(岐阜県・8歳・関市立金竜小学校) - 天沼 穂奈美 さん
(北海道・11歳・函館市立柏野小学校) - 安東 めぐみ さん
(神奈川県・9歳・捜真小学校) - 伊勢木 美音 さん
(京都府・9歳・精華町立東光小学校) - 榎本 柚稀 さん
(千葉県・7歳・柏市立富勢西小学校) - 小川 史桜 さん
(新潟県・9歳・十日町市立貝野小学校) - 高野 紗帆 さん
(千葉県・10歳・市川市立市川小学校) - 髙橋 咲絵 さん
(大分県・11歳・由布市立挾間小学校) - 谷村 須寿 さん
(大阪府・10歳・高槻市立富田小学校) - 古田 沙絵花 さん
(大阪府・9歳・高槻市立富田小学校)
中学生部門 受賞作品
絆大賞
赤城 優果 さん
(東京都・12歳・洗足学園中学校)
私の祖父の家の柱には、沢山の線と名前が刻まれています。祖父の家を訪れた親せきが刻んでいくのです。その線は私たちの成長の記録です。その線をながめながら「この柱はどれだけながめててもあきないなー」とつぶやいていた祖父の姿が目に焼きついています。
審査員からのコメント
“家を支える太い木”という意味に加えて、“中心として他から寄り頼まれるもの”としても表現されるこの一字。優果さんにとって、おじいちゃんそのもののように感じているということも、しっかりと伝わってきました。
柱に刻まれた数々の線に、たくさんの思い出が温かく宿っている様子も浮かびます。家族や親せきの方々との絆を感じることのできる「柱」は、家屋を支えているだけではなく心も支えてくれているんですね。(やすみりえ)
日本漢字能力検定協会賞
小佐野 円花 さん
(神奈川県・13歳・川崎市立川崎高等学校附属中学校)
弟は障害という不自由さを抱えている。その弟の運動会に行った。弟に集まる先生の直接的な支援、周囲からの間接的な声援を目の当たりにした。これが社会の縮図であって欲しい。今後、誰でも抱える不自由さに支援が集まって欲しいと願い、この一文字を送る。
審査員からのコメント
パラリンピックという言葉を耳にする機会が増えてきました。しかし、障害者への支援、声援はまだ十分でありません。きっと「円花」さんも、障害という不自由さ抱えている弟を不憫に思っていたことでしょう。
運動会に参加した弟が、周りからの支援や声援を受けて、明るく楽しそうにしている様子を目の当たりし、こうした社会が広がって欲しいと「円花」さんは素直に感じたのでしょうね。(髙坂節三)
審査員賞
髙峰 杏莉 さん
(三重県・13歳・松阪市立中部中学校)
いつも私の先を行く姉。何でも姉の方が上手くできた。そんな姉がうらやましかった。でも、わがままをきいてくれる優しい姉が私は大好き。「姿」という字は次女とかく。次女の私は姉ちゃんの姿を見て追かけるよ。いつか姉ちゃんみたいになれるように。
審査員からのコメント
なるほど、確かに「次」と「女」の組み合わせ・・・。次女である自分を表しているかのように感じるとのこと、納得です。同じ女性同士、さまざまな思いで姉という存在を意識してしまうんですね。そんな素直な「姿」は、中学生の女の子らしい等身大の気持ちだと思います。
「姿」には生まれつき持っている性・体質・才能、という意味もあるようです。姉に憧れつつ、きっと、自分らしさを開花されていくことでしょう。(やすみりえ)
丹野 愛華 さん
(宮城県・13歳・宮城県仙台二華中学校)
入学前に震災があって、約百人から二十三人にまで減ってしまった当時の私たち一年生。辛いことや、悲しいことがあったけれど、心の手は決して離さなかった二十三人。今、皆と離れてしまったから言える本当の気持ち。こんな私と出会ってくれて、ありがとう。
審査員からのコメント
当時小学一年生だった愛華さん。幼い胸に、あの震災の光景はどのように映っていたでしょうか。
困難を乗り越え成長した彼女の選んだ漢字は「会」。共に歩んだ二十三人の仲間への“ありがとう”が詰まっているんですね。それを含めた「私と出会ってくれてありがとう」という言葉には謙虚な思いが感じられました。ひたむきさや前向きさのもたらす清々しさが、この作品にあふれています。(やすみりえ)
堤 愛富 さん
(福岡県・14歳・東福岡自彊館中学校)
マサキくん元気ですか。僕は君に一つ謝らなければならないことがあります。インコに「人間に戻して」を教えたのは僕です。しきりに怖がっていましたね。人間を鳥にする呪いなんてないから安心して大丈夫です。
審査員からのコメント
思わず笑ってしまうエピソード。審査員一同の印象に残りました。ちょっとしたイタズラなのですが、やはり謝っておきましょう(笑)。
言葉でお詫びやお礼を表すこと、そしてそれによって心の緊張をとくのが「謝」ということですから、しきりに怖がっていたマサキくんの感じた“呪いの恐ろしさ”もこれで消え去ると思います。小学校時代の出来事、二人の楽しい思い出ですね。(やすみりえ)
佳作
- 尾﨑 いろは さん
(奈良県・12歳・香芝市立香芝東中学校) - 小田 千桜 さん
(群馬県・13歳・白鴎大学足利中学校) - 白濵 美咲 さん
(福岡県・14歳・福岡市立三筑中学校) - 住永 大地 さん
(長崎県・13歳・諫早市立喜々津中学校) - 竹下 渚 さん
(長崎県・15歳・諫早市立喜々津中学校) - 辻川 友結 さん
(群馬県・13歳・前橋市立元総社中学校) - 沼 柊慈 さん
(福岡県・12歳・宇美町立宇美南中学校) - 橋本 快成 さん
(鹿児島県・13歳・鹿児島市立鴨池中学校) - 林田 満天 さん
(長崎県・15歳・諫早市立喜々津中学校) - 皆川 直花 さん
(茨城県・14歳・常総学院中学校)
高校生部門 受賞作品
絆大賞
須原 英香 さん
(長野県・18歳・長野県塩尻志学館高校)
私のお父さんは毎朝私と妹のお弁当を作って家を出ていく。普段は不器用ですぐ怒るお父さんだけれど、一切冷凍食品を使わず、朝早くからこしらえてくれる。お父さんのお弁当を食べる頃には温かくはないけど、暖かい。そんな毎日に感謝して私は今日も家を出る。
審査員からのコメント
お父さんが毎朝「一切冷凍食品を使わず、朝早くからこしらえてくれる」お弁当。それはことばにはせずとも、英香さんと妹さんへのお父さんの深い思いそのものだと感じられます。そんな毎日のやりとりへの感謝の想いを『暖』の字で表されたことに、審査員一同も気持ちを暖められました。
漢字は、いまから約3300年前の古代中国で用いられてから現在に至るまで、その発展の流れが途絶えていない、世界でもまれに見る文字体系です。その意味は、漢字を用いる人々の生きる社会が成熟するにつれて、徐々に展開してきました。さらに古代日本に漢字がもたらされると、日本語の中でさらなる意味を得てきました。
現在、日本語における『暖』の字には、あたたか・あたためる・やさしい・ぬくもり・やわらか、などといった意味があります。『暖』の字の意味そのもののようなお父さんのお弁当。その記憶を持つ英香さんがここからまた誰かを暖めるようなひとになっていかれることを願って、絆大賞を贈ります。(華雪)
日本漢字能力検定協会賞
須藤 羽奈香 さん
(北海道・17歳・北海道美唄聖華高等学校)
私が小さい頃、家で高そうな指輪を見つけた。「お母さんの宝物?」ときいたら、「私の宝はあなた。」と答えてくれた。私は今親元を離れ看護師の勉強をしている。ここまで育ててくれ相談に乗ってくれた母。看護師になったら私は自分の宝物に、恩返しがしたい。
審査員からのコメント
古く万葉の時代から、お母さんにとっては、子どもが一番の宝です。何も欲しいものは要らないから、子どもがすくすく育ってくれることを望んでいるのです。なによりも貴女が望んでいる看護婦になって、弱い人を助けてあげることが、お母さんに対する恩返しなのです。
「銀(しろかね)も金(くがね)も玉も何せむに勝(まさ)れる宝子に及(し)かめやも」と山上憶良(やまのうえおくら)は「万葉集」の中で歌っているのです。(髙坂節三)
審査員賞
木村 朱里 さん
(大阪府・15歳・四天王寺高等学校)
三姉妹に囲まれた九つ上のたった一人の兄。そんな兄に去年がんが見つかりました。でも兄は辛い顔一つ見せず一人で病を乗り超えた。でも神様はまた兄を頑張らせたいらしい。大切な私のお兄ちゃん、今度は一人で頑張らないで。妹はいつでも傍にいます。
審査員からのコメント
『傍』の字は、にんべんに「旁」の字の組み合わせから成ります。「旁」は、残るところなく行き渡っている様子をあらわしています。そこに「にんべん」がつくことで、誰かの近くにいること、寄り添うことをより強調して表す字としてつくられました。
『傍』の字には、現在、かたわる・そば・ちかく・よりそう・たよる、などといった意味があります。“妹”さんのお兄さんを思う気持ちを通じて『傍』の字を見ると、「近くにいる」ということはいったいどういうことかと、深く考えさせられます。
今回、『傍』の字を見出されたこと、そしてそんな“妹”さんの想いがお兄さんに伝わることを願い、審査員賞を贈ります。(華雪)
周 大晃 さん
(大阪府・17歳・大阪朝鮮高級学校)
毎日往復20キロの道のりご苦労様です。5日間で100キロ。高校三年間通しては日本を縦断できるほどの距離です。その間に多くの困難や故障、時には蹴られたり色々とありましたね。残りの4ヵ月もどうぞよろしくお願いします。
審査員からのコメント
学校までの往復20キロをともに過ごした自転車のことが、なくてはならない相棒のように「多くの困難や故障、時には蹴られたり色々とあった」と労われていることに、審査員一同、深くうなずかされました。
『労』の字は、本来『勞』であり、農具を表す「力」と儀礼の中のかがり火を表す「熒」を組み合わせた、農耕のはじめと終わりに農具を火で清める儀礼を指す文字としてつくられました。そこから、つとめる・はたらく・しごと・農具をつかう・つかれる・くるしむ・ねぎらう・はげます・たすける・なぐさめる・いたわる、などといった意味が長い時間をかけて現れます。『労』の字の意味を書き連ねてみると、毎日“私”が自転車に乗り、通学路を行き来している姿が目に浮かんでくるような気がしました。
そんな景色を、身近な自転車に映し出した“私”の感性に審査員賞を贈ります。(華雪)
藤井 美友 さん
(奈良県・17歳・県立吉野高等学校)
「お母さんの方行き。」と言われたあの時。どっちかなんて選びたくなかった。お父さんとの結び目がほどけた気がして寂しかった。でもきっとお父さんが一番寂しかったよね。そこで私からお願いです。いつか、私の結婚式で、一緒にバージンロードを歩いて下さい。
審査員からのコメント
『結』の字は、いとへんに「吉」の字の組み合わせから成ります。「吉」には、器の中に収めている祈りを守るため、しっかりとじ込める様子をかたどります。ここから結ぶということもまた、祈りの行為に繋がるものとされました。
『結』の字には、現在、むすぶ・まじえる・つなぐ・やくそくする・しめる・つらなる・固める、などといった意味があります。“娘”さんがご自身の寂しさから、かつてのお父さんの寂しさに思い至られたこと、そして一度は解けた『結』を経て、結婚の中に『結』をまた見出されたこと。それらの気づきが、『結』の字が抱える様々な意味と行き来するようで、改めて漢字の意味の奥深さについても気づかせられました。
『結』の字を通じて表された“娘”さんの想いに審査員賞を贈ります。(華雪)
佳作
- アカボ エンジェル ロイロイ さん
(広島県・18歳・県立豊田高等学校) - 石川 優月 さん
(静岡県・16歳・県立吉原高等学校) - 大友 政和 さん
(群馬県・16歳・明和県央高等学校) - 黒野 葵衣 さん
(東京都・18歳・武蔵野高等学校) - 小林 伶音 さん
(北海道・17歳・駒澤大学附属苫小牧高等学校) - 笹本 剛平 さん
(福島県・16歳・県立会津支援学校) - 南部 有優香 さん
(東京都・18歳・武蔵野高等学校) - 西村 成未 さん
(北海道・18歳・駒澤大学附属苫小牧高等学校) - 星山 若菜 さん
(山口県・17歳・県立田部高等学校) - 松永 帆風 さん
(福岡県・16歳・博多女子高等学校)
大学生・一般部門 受賞作品
絆大賞
松山 勇吉 さん
(埼玉県・公務員)
中学の頃、ゲームを買おうと貯金したけど、思い直して母さんに化粧品を買った。毎日すっぴん同然だったから。二十年後、俺の結婚の時に、母さんは錆びた化粧品の缶を出してくれた。胸が詰まった。裕福ではなかったけど、この家に産まれて幸せだったよ。
審査員からのコメント
「祝」!!絆大賞おめでとうございます。
「錆」この漢字に辿り着くまでに、二十年という月日が流れました。時間と空間、そして世間という時空を超えた未来に、このような母と子の物語が待っていたのですね。
母の呼吸・息の子、息子。その息子さんが結婚の時「あの時の」錆びついた缶を見て胸が詰まった。と、それを読んだ私も胸が詰まり目頭が熱くなりました・・・。なぜでしょう!?母にプレゼントした化粧品の缶の中には、二十年分の母と子の絆と思いやりと歴史がいっぱいに詰まっていて、またその外側には、母と子の「わび」「さび」の物語がいっぱい付着していて、だから感動感激したのだと思いました。
母にプレゼントした缶に「缶謝」ですね。命(ゴルゴ松本)
日本漢字能力検定協会賞
新川 絢音 さん
(沖縄県・18歳・専門学校日経ビジネス)
亀は構造上、後ろに歩くことができないそうです。私の弟はADHDで、よくいじめられたりしていました。けど、どんなときでも笑って、前を向いて、すごくかっこいいと思いました。私は、がんばっている弟に、尊敬の意を込めて、亀という漢字を贈ります。
審査員からのコメント
人は、気の毒な人や不幸な人に、幸せになって欲しいと思うものです。ただ、言葉だけであったり、実際に何か役に立つ行動を取れなかったりする人が多いものです。しかし、常に寄り添って声援すること、尊敬の気持ちで見守り続けることは、そう簡単にできるものではありません。
ゆっくりと、しかし確実に前を向いて歩く弟の姿に、「亀」の歩みを重ねながら暖かく声援してくれる「絢音」さんに弟も感謝していることでしょう。遅い歩みでも「亀」は「兎」に勝てるのです。(髙坂節三)
審査員賞
鍵山 彩 さん
(広島県・教員)
紗那ちゃんの「紗」の字には、絹織物という意味があります。紗那ちゃんのお父さんの国カンボジアには、昔から伝統的に受け継がれている美しいシルクがあり、日本にも絹があります。二つの国を母国にもつあなたには、二つの国の架橋になってほしいと思っています。
審査員からのコメント
審査員賞!!おめでとうございます。
「糸」へんの漢字には、小さなモノ、コトを縒(よ)って紡いでいく。という意味があります。「糸」へんの漢字は、私の好きな漢字でもあり、奥が深いと感じます。
もともと、蚕のはく一筋を「忽」(コツ)、五忽を「糸」(ベキ)、十忽を「絲」(シ)と言いました。小さな子供は、まだしっかりとした糸になる前なので、「幺」いとがしらに「力」で「幼」(おさない。いとけない。)と表現します。そんな幼い子供たちも大人がしっかりと縒って紡いで見守って行けば、立派な経緯になり素敵な織物に成長します。
繭から生まれた絹糸、お母さんから生まれた紗那ちゃん。カンボジアと日本をその糸で縁どり結び、その絆を未来に継ぎ続けて下さいね。命(ゴルゴ松本)
田中 園子 さん
(福岡県)
共に10代からうつ病を患う私達が社会に出ることは本当に厳しい道のりで、一進一退を繰り返す体調と焦燥感との戦いですね。しかし歩むという漢字は「止」に「少」とかきます。止まってもいいし、すこしずつでいいんだよ。だから、共に歩んで、生きましょう。
審査員からのコメント
審査員賞!!おめでとうございます。
「はじめの一歩」
人間の足は、未来に向かって一歩一歩、右足、左足を順番に運びます。ハイハイからヨチヨチ歩き、トコトコ、テクテク歩いて、大人に近づき、さらに一歩ずつ一歩ずつ未来に命を運びます。
そう、運命は歩くところから始まるのです。誰でも「はじめの一歩」から二歩、三歩、百歩、千歩、万歩と進むのです。「マイペース!」「オリジナルスピード!」自分の速さで、明日に!未来に!向けて運び出す「あんよ」。地のぬくもりを足裏で感じながら、ボチボチゆっくり!ゆったり!のんびり!!楽しく笑顔で「歩」もうね!命(ゴルゴ松本)
西園 多佳子 さん
(栃木県・教員)
退職して百坪の土地を買い、畑を作って耕した両親。私はたくさんの野菜と元気をもらってきた。八十九と八十五になった今年、百坪の畑を手放したが、家の庭を耕し、また小さな畑を作った。耕の字は働き者の二人が縦に横に鍬を入れた姿に見える。
審査員からのコメント
審査員賞!!おめでとうございます。
「耕」の左側の字は、すきへん、らいすき、農具のすきです。耕作に関する文字です。
「たがやす」は「田を返す」からきています。大地に鍬鋤を入れる。そこからたくさんの命を育てていくのですね。
娘さんは、お父さんとお母さんのそういう姿を見てきて「心」を耕してもらっていたのですね。立派に育った娘さんの目に映るご両親の耕す姿こそ、日本の未来のあるべき姿ではないでしょうか。人間の基本は、土であり根であり大地と向き合う姿勢ですね。農ある人は、心を未来を耕す。命(ゴルゴ松本)
佳作
- 大前 みどり さん
(埼玉県・自営業) - 押切 浩 さん
(埼玉県・会社員) - 片岡 葉子 さん
(東京都・塾講師) - 佐藤 美春 さん
(新潟県・教員) - 澤浦 千秋 さん
(東京都・会社員) - 塩﨑 千広 さん
(大分県・教員) - 鳥原 真由香 さん
(熊本県・英会話講師) - 西川 貴子 さん
(奈良県・公務員) - 根間 裕夢 さん
(東京都・会社員) - 林 美央 さん
(兵庫県・病院職員)
※ 受賞者の都道府県、学校名、年齢、職業は応募当時のものです。
※ 基本的には応募作品の原文をそのまま掲載しておりますが、一部修正を加えている箇所がございます。ご了承ください。