- 山内 彩
- 業務部 業務課
共感できる理念を重視
生涯学んでいくために
幼い頃から、日本語や言葉に関わり、その魅力を多くの人に発信していきたいという夢を持っていました。特に興味を持っていたのは、言葉がもたらす「思考の再現性」について。感情や思想、周囲の状況や客観的事実を伝えるとき、私たち日本人は母語である日本語を使用します。ですから、語彙が豊かになれば表現の幅も豊かになり、表現が豊かになれば思考のバリエーションも豊かになります。言葉の力があれば、自分の考えたことを他人の頭の中に再現させることができ、イメージを細部まで共有できる…そんな果てのない世界に面白さを感じ、大学では日本文学を専攻しました。
就職活動では、出版社や新聞社、国語教育関連の事業を行う会社に絞って説明会に参加していました。その中でも当協会を選んだのは、「言葉が豊かになれば、生活も豊かになる」という理念に共感したから。日本語はすべての学びの底にあり、この土台がなければ何も積み上げていくことはできません。日本語や語彙の充実が豊かな学び、延いては豊かな生活を形成する、このような理念を掲げる組織の中でなら、私自身も成長でき、生涯学んでいけると思いました。
検定を支える裏方的役割
3年目の今も毎日が勉強
現在は、漢検や文章検を安定的に運営するための裏方である業務部で、学校や塾といった組織(団体)における検定運営を担当するチームに所属しています。検定日までの主な業務は、申込内容に不備や不足がないかの確認や検定問題の配送コントロール、検定料の徴収・管理など。検定日以降は、答案の確認や採点準備、検定結果資料の発送を行い、他にも、各種制度に関連する業務や資材の在庫管理など、多岐にわたる業務を担っています。検定前業務を担当した2年目のときには、国内外合わせて数万もの団体からいただく膨大な申込をミスなく処理するため、マニュアルを充実させたり、チェックリストを作成したりするなど、自分なりに工夫をしながら業務に取り組んでいました。
業務部では各業務を年に何度かローテーションしており、新たな業務を徐々にインプットしていく形で仕事の幅を広げていきます。3年目となった今でも、まだ担当したことのない業務、知らない知識は数多くあり、毎日が勉強だと思って仕事に臨んでいます。
業務部は、検定運営における「心臓部」。自分の作業が団体の検定実施に直結しているという自覚と緊張感を持ち、日々の業務にあたることを常に意識しています。
もっと自由で、もっと平等な
学べる仕組みを作っていきたい
この仕事をするようになって、全国の隅々まで漢検を届けたいと思うようになりました。私は都市部から遠く離れた地方の出身です。子どもの頃は、何かを学びたい、新しいことに取り組みたいと思ったときにでも、一人の力ではどうすることもできず諦めてしまうことがよくありました。でも、それはとても残念でもったいないこと。本来、学びたいという気持ちが平等にあるなら学べる環境も平等であるべきで、環境の壁に学びを阻まれるようなことがあってはなりません。これは地方の問題だけでなく、家庭の経済状況や障がいの有無などでも同じことが言えると思います。
公益財団法人である当協会には、「一人でも多くの人に漢検を受けていただき、全国の漢字・日本語能力の底上げに貢献する」という絶対的使命があります。ですから、これからは生まれ持った環境や素質に左右されず、漢字・日本語を学びたいと思ったすべての人たちが自由に学び、検定を受けられるような仕組みを考えていかなければなりません。そのために何ができるのか、何をしなければならないのか、公益財団法人に属する者としての視点で物事を考えるようになりました。
変わらないもの、変えていくもの
日本語が好きだという気持ちを忘れないこと。目の前の仕事でいっぱいになることもありますが、そんなときこそ初心に立ち返り、自分が何のためにここで働いているかを思い出すようにしています。
私たちのなすべき根本は、内容の充実した検定を提供するということ。しかし、働き方改革や諸試験のあり方など、教育を取り巻く状況は時代とともに変化していますから、私たち協会もそれに合わせて柔軟に変化していく必要があります。今後は協会自体が重要な転換期に入っていくため、まずは私自身がなすべきことを堅実に行ったうえで、変化に挑む協会に貢献したいと考えています。
オフショット
学生時代にバンドを組んでベースを担当していました。音楽に触れることが一番の息抜きです。
自分を表す漢字
そうでありたいという願いも込めて。忠という字にはまごころという意味があります。私も顧客や同僚、家族など、縁のある人たちに真面目に尽くしていきます。
1日のスケジュール
- 9:00
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出社
メールをチェックし、その日のスケジュールを確認します。
- 9:10
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申込確認
申し込み団体の件数抽出と申込内容の確認を行います。
- 11:00
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請求書発行
各団体への請求書を発行。国内はもちろん、海外の団体もいらっしゃいます。
- 12:30
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昼休憩
お昼はお弁当。休憩室を利用します。
- 13:30
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ミーティング
チームのメンバーと互いの進捗を確認し、必要な情報を共有します。
- 15:00
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個人作業
部内で使用するマニュアルの更新や決裁資料の作成など。
- 18:00
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退勤
※所属部署や仕事内容は取材当時のものです