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小田 萌子
- 業務部 業務課
2016年入職
文学部
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橋向 武士
- 普及企画部 普及企画課
2018年入職
経済学部
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山崎 信夫
- 代表理事理事長
漢検 漢字博物館・図書館
副館長
〜 漢検のこれまでとこれから 〜
教育現場でのさまざまな経験を生かし、組織の発展に貢献してきた代表理事理事長と、フレッシュな熱意と感性で組織のこれからを担う若手職員に聞きました。
- 漢検との出会い・入職のきっかけ
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山崎
- 組織の要ともいえる普及企画課と業務課で活躍する橋向さんと小田さん。まずはふたりの漢検に就職した理由から聞かせてください。
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橋向
- 中学受験に失敗して熱意を失っていた私に、真剣に向き合ってくれた母校の先生に憧れを持ち、自分も将来は教育に携わりたいと思うようになりました。大学生の頃は教員の道も考えていて、教職課程は取ったのですが、教育実習先で教員の多忙さを目の当たりにして、少し考えが変わったんです。忙しい先生方をサポートすることはできないかって。それには、何かしらの解決策となるモノやコトを提案したり、何かを大きく変えていったりする必要があって、それができるのが漢検のような協会ではないかと思いました。
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小田
- 私はもともと読書が好きで、大学では日本文学を専攻していました。好きなことを仕事にしたいという想いで就職活動をしている中で出会ったのがこの協会です。また、高校生の頃には、国語科の先生が私の国語力を褒めてくださって、自分の長所や得意分野を見つけられずにいた私に自信をつけていただいたという経験もありました。こうしたことから、「検定合格という成功体験を通じて、受検者の自己肯定感と学習意欲を高めたい」という協会の理念に共感し、入職を決めました。
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橋向
- 山崎理事長はどんな経歴をお持ちなんですか?
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山崎
- 私ももともと教員志望で、大学卒業後は塾や専門学校で講師をしていました。専門学校のほうでは法人運営も含めて長く働いたんだけど、目の前の学生だけをずっと見ていたんです。けれども、経験を重ねるにつれて、もう少し広く教育そのものを考えたいと思って、学校教育や生涯学習に関わることができる漢検に勤めることにしました。それが2002年だったかな。
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- 仕事内容とそのやりがい
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橋向
- 私は学校や自治体への普及活動を担当した後、現在は、普及企画課でデータの作成・分析やシステムの運用管理など、データマネジメント業務を担当しています。
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小田
- 私は入職以来ずっと業務課で、検定の申込受付、検定問題や合否結果資料の物流管理、学校や塾への検定料請求と、年々仕事の幅を広げてきました。今は、業務委託先の作業管理と、地域ぐるみで漢検に取り組んでくださっている自治体への請求業務を主に担当しています。
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山崎
- ふたりは今、それぞれの業務のどんなところにやりがいを感じていますか?
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橋向
- 自分が作成したデータや分析した結果をもとに、組織が動いていくことですね。データは、普及活動をするメンバーが学校の先生や自治体の担当者と面談をするときに使用することが多いのですが、普及メンバーと意見を出し合って必要なデータを作成したり、時には先回りして私から提案したりもします。データの切り口は自分で考えるのですが、それが上手くいけば、先方の課題を解決したり、受注につながったりするので、やりがいは大きいです。
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山崎
- 橋向くんは、もともと学校の先生をサポートしたいという思いがあって入職したでしょう? そのあたりはどう捉えていますか?
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橋向
- データマネジメント業務を担当するようになって、確かに先生方と直接やり取りする機会は少なくなりました。でも、営業のメンバーをバックアップすることは、結果的に先生の支援につながりますし、自分の果たす役割や与える影響はむしろ大きくなったと感じています。
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山崎
- 広い目で物事を捉えられるようになったんですね。では、小田さんは?
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小田
- 他部署のメンバーから検定運営業務をアウトソースしている業者の方々まで、たくさんの人と関わりながら仕事ができることですね。私の所属する業務部は全体の進行管理の役割を担っているのですが、検定の合否結果発送までの一連の業務を終えるたびに、「やりきった!」という達成感があります。
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山崎
- とはいっても、立場や役職の異なる人と連携して仕事を進めていくのはそう簡単なことではないでしょう?
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小田
- はい。お客様に満足していただける検定を提供したいという思いは同じでも、相手によって職場の風土や価値観は異なりますし、些細な一言や伝達不足が誤解を生んで、トラブルに発展してしまうケースもあります。ですから、丁寧に関係者と信頼関係を築き、相手の力を借りながら検定運営を進めていくことが難しく、また面白いなとも思っています。
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- 漢検で学んだこと、成長したこと
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山崎
- 仕事を通じて学んだことや成長したことを教えてください。
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小田
- 協会では、年次や役職に関わらず、積極的な発言や案出しが求められます。仕事を通じて、私自身も自分の考えを能動的に発信できるようになりました。「こんなことをしてみたい」「ここを改善したらもっと効率が上がると思う」と、遠慮なく意見を上げることができ、すぐ実行に移せるのは、上司や先輩方があたたかく支援してくださる協会ならではの長所だと思います。
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橋向
- 協会が扱っているコンテンツは、一見すると、漢字や日本語など、国語分野にフォーカスしたものですが、先生の考えていることを上手に引き出し、それに合った提案を行えば、国語力を上げること以上の効果が得られるということを学びました。検定を通して勉強する習慣や本を読む習慣が身につけば、国語以外の学力も上がるでしょうし、子どもたちの自信にもつながりますから。
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山崎
- 私はね、我々の仕事は、選択格差を縮小するためにあるんじゃないかなとも思うんですよ。今、高校を卒業した人の6割近くが大学に進学し、2割が専門学校等に進学、2割が就職です。そうした背景の中で、不本意な進路となってしまった人は、なかなか思うような職業選択ができないような雰囲気があります。でも、世の中や企業からしたら、学歴よりもっと大切なことってあるんです。たとえば、コミュニケーション能力とか想像力とか、もっと基礎的な力。学歴とは関係なく、そういうベースの部分で光るものを持っている人を採用したい企業はたくさんあると思う。協会のサービスによって、そのベースとなる力を身につけることができれば、少しでも選択格差は埋まるんじゃないかと思うんですよね。
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橋向・小田
- そうですね。
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山崎
- 協会の中期計画でも策定しているけれど、生涯学習として、皆さんの土台となるような学びを届けたい。そして、そのベースの底上げに既存の商品が合わなくなったら、新しく合うものを次々と生み出していく。そういう組織にならなければ、我々に存在価値はないでしょうね。
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小田
- 実際、「もう高齢だけど、漢検を通してまた目標に向かって勉強したいと思うようになりました」といった嬉しいお声をいただくこともあります。そういう人を一人でも増やしていきたいですね。そのためには、受検者が何人に到達したから成功だとかそういうことではなく、自分の仕事の先にいる人のことを想像し、より良いサービスを追求していくことが大切なのだと思います。
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山崎
- 今は、あらゆることに答えがない時代。何かを発信することでその先にいる人がどう動くのか、想像しなければなりません。正解だけを求めて成長してきた若い人にとっては厳しい時代かもしれませんが、想像する力がある人、さまざまなことに思いをめぐらせることができる人でないと、この先の世の中では通用しないと思います。ですから、小田さんや橋向くんをはじめ、若いみなさんには、正解があると信じて生きていくのではなく、正解がないことを楽しめるようになってほしいと思っています。
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橋向(写真:右) 先の見えないこれからの世の中を生きていかなければならない子どもたちに対して、将来の希望を持たせてあげることも協会の役目。漢字力、国語力以外にも、協会が提供できるものはたくさんあります。漢字や日本語の奥深さ、自分の考えを的確に伝えることができる喜び、小さな成功体験など、それらが子どもたちの未来を変えるきっかけになればいいなと思います。私自身の未来としては、学生時代に学んだマーケティングの知識と、最新のシステムやアプリを駆使して、協会のデジタルシフトに貢献したいと思っています。
小田(写真:左) これからは、協会のサービスを時代に即したスタイルに変えていくことが必要だと思います。コロナをきっかけに、教育の現場も大きく変わってきています。そんな先の見えない時代だからこそ、数年後に求められることを想像し、今あるものをどう進化させていくか考えておくべきだと思います。私自身も想像力を働かせて、「この仕事の先にいる人」のことを常に考えながら、協会に貢献していくつもりです。
山崎(写真:中央) 今の協会には、ビッグデータを預かっていながらそれを生かしきれていないという課題があります。ですから、これからは、蓄積された膨大なデータを世の中にどう役立てていくかをしっかり考えなければならない。将来的には、そういう研究機関のような役割も担っていけるようになりたいし、職員から研究を極めるような人も出てきてほしいですね。意欲の高い人たちが、個々の能力を高めるような働きができる組織でありたいと思っています。