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「日本語で会話できること」と「日本語を使ってビジネス上のやり取りができること」には大きな隔たりがあります
部長
■外国籍社員採用のきっかけと課題意識
当社の海外業務は、自社開発した物流システムを海外に販売すること、及び海外製品を導入し付加価値を付けて国内に販売することです。現在、外国籍社員3名が同業務に携わっています。 外国籍社員採用のきっかけは、海外製品の導入拡大にあたり、IT技術と英語力の両方を兼ね備えた人材を採用する必要があったことです。日本語力についてはあまり重視せず(日本語能力試験N3~N2レベル)、技術力と英語力に長けた外国籍の方を採用しました。 海外製品のシステムの構築が落ち着き、運用段階に移って彼らに保守管理の業務を担ってもらう段階になると、ビジネス上のやり取りは日本のお客様と直接行うことになります。そのタイミングで、彼らの日本語力では企業の日本人に対応しきれないという課題が見えてきました。「日本語で会話できること」と「日本語を使ってビジネス上のやり取りができること」には、大きな乖離があったのです。
■BJTの活用方法
社内の外国籍社員に対して、どのように日本語の指導を行っていくべきかと模索していました。日本語で会話できることと、日本語を使ってビジネス上のやり取りができること、その隔たりを埋めてくれる仕組みとしてBJTは有用だと感じました。 まずは現時点での実力を測定するために、部外も含めた社内の外国籍社員10名全員に、何の対策もしないままにBJTを受けてもらいました。結果は、予想通りの点数が出る者も居れば、最上級のN1を持っているにもかかわらず予想以上に低い点数しか取れなかった者も居ました。彼ら外国籍社員にとって、大きな気付きになったと思います。 また、BJTの結果は、マネジメント側にとっても、大変参考になるものでした。BJTはスコア制で結果が出るため、10名それぞれの日本語力レベルが細かく示されます。全員を比較して相対的に把握することができました。加えて、彼らとコミュニケーションを取る際に、どのようなことに気を付ければ良いのかを知るきっかけにもなりました。
■日本語の指導方法
BJT受験の後は、インターカルト日本語学校から講師を招いて、日本語の指導を行っています。当初は弊社の日本人社員が指導することも検討したのですが、やはり日本語が話せることと、日本語を教えられることには大きな違いがあり、教えるための専門の知恵や経験が必要と判断しました。 受講者を日本語レベルによって2チームに分け、それぞれ週1回、各回1時間30分の指導を行っています。BJT対策も見据えてはいますが、試験対策に拘ることなく、ビジネス日本語全般を広く学ぶ内容になっています。これを1年間続けたあと、1年後に全員でBJTを再受験し、どの程度スコアが伸びたかを把握し、次の日本語教育計画に役立てたいと考えています。 また、社内で行っている資格奨励制度にも、TOEICなどと並んでBJTも組み込みました。 外国籍社員には、将来に渡って長く会社に貢献していただき、将来的には中核社員としてマネジメントにも携わってもらいたいと考えています。それを見据えれば、ビジネス日本語力の向上は、避けては通れない課題です。将来の事業発展のため、人財育成を行っていきたいと思います。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。