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企業・教育機関
現場で活躍できる人財を育てるにはレベルの高い実践的なビジネス日本語教育が必要
広報・IR室長
当社は、『焼肉きんぐ』や『丸源ラーメン』などを全国に展開している外食企業です。中国にも出店しています。
経営理念は”Smile & Sexy”です。”Sexy”には、「自己表現することを恐れずに自分らしく生きよう」という意味が込められ、”Smile”には、「自分の意見を主張しても周りから愛され、応援される人間力、マナーを身につけよう」という意味が込められています。つまり、自己表現する強さと周りから愛される人間力を両立させようということです。
さらに、ダイバーシティとイノベーションを大切にし、創業当時から全社員が活発に意見をぶつけ合える企業文化・風土を目指してきました。日本人には自分の意見を主張するよりも、周囲の空気を読んでそれに合わせてしまう控えめな一面があります。その点、外国籍の人には自分の意見をはっきりと主張できる人が多い傾向にあります。そこで、私達の目指すダイバーシティを推進するために、2007年から外国籍社員の新卒採用を開始しました。
当初は年間に1、2名程度の採用に留まっていたので、外国籍社員の孤独感を解消することができずに、早期離職してしまうケースが見受けられました。経営理念の体現とダイバーシティ推進のためには、外国籍人財とのイノベーションが重要であると考えていましたので、2014年より外国籍人財の採用人数を新卒社員の約2割と設定し、外国籍社員の人数を大幅に増やすことで孤独感の低減をはかりました。そのかいあって、近年では定着率も高まり、最前線で活躍してくれる外国籍人財も増えています。
当社にはおよそ10カ国100名の外国籍社員が在籍しています。今では外国籍社員がみせる自己表現の姿勢が日本人社員の模範となり、良い刺激を与えています。 このような企業文化に日本人の優秀な人財が魅力を感じ、入社に繋がるケースも出てきています。
外国籍社員の入社時の日本語能力は、日本語能力試験N1もしくはN2レベルですが、リーダーとして活躍するためにはそれだけでは不十分です。とくに店舗で働く際、お客様や上司に対してはきちんとした敬語を使い、バックヤードで大学生などのアルバイトスタッフと話す際には親しみを込めて多少くだけた言葉で話すなど、場面によって日本語のモードを切り替えなければなりません。現場で活躍できる人財を育てるためには、レベルの高い実践的なビジネス日本語教育が必要になります。
当社の日本語教育は現在、入社6年目の中国籍社員が責任者をつとめています。現場の店舗で起きる様々なシチュエーションを想定して会話のキャッチボールを行うことで、実践的な日本語を、文化の違いを踏まえながら学んでもらうことに注力しています。
BJTは、入社直後の6月に受験し、翌年秋に再度受けてもらいます。それにより、ビジネス日本語能力がどれだけ向上したか変化を測定します。やはり「将来は店長になりたい」といった仕事への意欲が高い人ほど、スコアが大きく伸びる傾向が見受けられ、ビジネス日本語能力が向上することで、実際により上位の役職に就くことになります。
外国籍社員には、一日も早く店長になってほしいですし、役員として経営ボードを担ってくれることも期待しています。将来的には、中国以外のアジア諸国にも海外展開をしていきたいと考えており、ますます外国籍人財が大きな力になってくれることを望みます。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。