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異なる価値観や文化に触れ、柔軟な思考力を身につけてほしい
言語教育センター 教授
本学の国際学生(留学生)は1学年に約600~700名が在籍しています。その7~8割は初級以下のレベル、4割は日本語学習歴がゼロという状態で入学してきます。そのため、1年生のときに、ひらがな・カタカナから始めて、初級日本語文法や漢字など必修の日本語16単位を集中的に学びます。1学期で12単位、2学期で残りの4単位を履修します。1年目が終わる時点で日本語能力試験(JLPT)のN3レベルに近づいてもらうのが目標です。
2年生から日本語は選択科目で、履修する学生は5、6割になりますが、日本語上級という科目まで履修した学生は、N2レベルに相当するくらいの日本語力を養います。そこまでいけば3年生で「キャリア日本語」という授業を選択することができます。就職面接やエントリーシート作成に必要な日本語能力を養うと同時に、自己分析と企業研究を通じて自分に合う職業・業界について考察するもので、50名の定員がすぐに埋まる人気の科目です。
「キャリア日本語」を受ける学生は日本での就職を真剣に考えているので、JLPTのほかにBJTの受験をすすめています。ただ、試験のためだけの勉強はさせていません。本学では、社会で使える日本語の習得を目指しています。その一環として、必修の日本語中級という科目では、学生たちが地域に出て日本語でインタビューするというプロジェクトを実施しています。興味のある日本の文化や習慣について地元の人たちに街頭で調査を行い、交流を深めながら、結果をまとめて発表するというものです。
国際学生の多くは、卒業後の進路について「日本と母国とをつなぎたい」「国際的に活躍したい」という強い想いを持っています。その想いを実現するためにも、実社会で使える日本語を学ぶことをとおして、異なる価値観や文化に触れ、柔軟な思考力を身につけてほしいと願っています。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。