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外国人材の活躍には日本語コミュニケーション能力が重要
総務部
当社は、1995年の阪神・淡路大震災を契機に設立された測量会社です。設立当初は、災害からの復旧・復興を目的に、被災した建造物を建て直すための測量を行っていました。国内初のひび割れ計測システム「KUMONOS(クモノス)」という、インフラ構造物の維持管理のための画期的な測量システムの開発を機に、従来の「造る測量」だけでなく、「守る測量」を行う会社へと変革していきました。ですが、日本では、建造物のひび割れ点検を行う際には、直接見たり触ったりなどして調べる「近接目視」が主流だったため、当社のシステムはなかなか普及しませんでした。
転機となったのは、2012年にKUMONOSが国際協力機構(JICA)のODA案件化調査事業に採用され、マレーシアのインフラ維持管理に活用されたことです。おかげでKUMONOSの評価と認知度が高まり、タイでの事業にも採用されました。国内外において自社製品であるKUMONOSを広げたい、そして、蜘蛛の巣のようなネットワークを国内外に張り巡らせたい、との思いを込め、2015年には現社名へ変更。2019年にはSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが評価され、経済産業省の「持続可能かつ包摂的な成長に貢献する国際ビジネス事例」に選出されました。
当社の外国人社員は2020年11月現在で14人在籍しており、全社員の1割を超えています。中国、ネパール、ベトナム、ラオス、ベラルーシ、パナマと国籍もさまざまです。外国人材を採用した理由は、当社事業のグローバル化を受けてだけではなく、国籍や性別、年齢などに捉われず、やる気のある方を採用しようという代表の中庭の考えによるものでした。中庭は何事もプラスの目で見ることを大切にしており、自分たちの良いところを見よう、やりたいことを叶えようというスタンス。採用選考では、条件や試験で落とすのではなく、入社して何がやりたいかを徹底的に面接で聞き、夢や目標を持っている方を仲間に迎えています。
結果的に、多様で優秀な人材が集まっています。国内の大学を卒業したラオス人の女性社員は、入社して間もなく、自ら手を挙げて在日ラオス大使館に営業活動を行い、さらにラオス現地に出張して、ダム点検などの契約を自力で獲得してきました。現在、当社が外国人を積極採用する企業として認知されるようになり、外国人留学生などの応募者が増えています。
外国人社員に活躍してもらうには、やはり日本語のコミュニケーション能力が重要になります。当社の応募条件は日本語能力試験N2以上としていますが、実際の日本語コミュニケーション能力には大きな個人差があります。そこで、それぞれの日本語能力を把握するため、入社前後にBJTを受験してもらっています。BJTは、合否ではなくスコアで示されるため、一人ひとりの能力を比較したり、伸長度を確認したりするのに最適です。
弊社の経営理念に、「明るく元気に礼儀正しく、和親協力して仕事に取り組む」という一文があります。一言でいえば「コミュニケーション能力」です。外国人・日本人、関わらず、明るく元気に挨拶ができる・お客様に礼儀正しく・社員と和親協力して仕事に取り組む、といったコミュニケーション能力が重要だと思っています。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。