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企業・教育機関
日本語を大切にする3つの理由 日本語が会社を強くする
総務部 副部長
今、日本語を大切にする理由
今、我が社では、社員が日本語を学ぶことを非常に大事なことととらえています。社内の共通語も日本語で、会議で使う言葉や資料、普段のメールでは日本語を使っています。これには、3つの理由があります。
ひとつは、日本人と中国人お互いが相手のことを知り、コミュニケーションをとる必要があるということです。国が違えば文化の違いもありますが、まずは言葉を知り交流することでお互いの気持ちが分かるようになります。気持ちを知れば、モチベーションも上がり仕事の能率も上がります。もちろん、我々は日系企業ですから企業文化を知るという意味でも日本語は重要です。
ふたつめは、人材育成の観点です。日本語ができれば、社員にとっては例え別の会社に転職したとしても強みになります。また、日本人駐在員や日本本社の人間からいろいろ学ぶことができ、語学以外のスキルも習得する機会が増えます。語学により成長のチャンスが増えるのです。
もうひとつはもっと実利的な話なのですが、仕事の生産性に関わるからです。我が社は通訳専門の人材を置かず、社員全員が日本語でやり取りしています。直接コミュニケーションをとることで、通訳を介す時間も節約できますし、意思疎通がうまくいっていないときもすぐに気づけます。
日本本社と遠隔でやり取りする機会も多いので、特にマネージャー以上の人間には日本語能力を高め、日中をつなぐ役割を担ってもらうことを期待しています。
制度面での工夫
今、経済は厳しい状況にありますが、教育は長期的に考え、ある程度のコストや労力を割くべきだと考えています。また、会社として重視している能力を明確に示し、社員のやる気を高めるため、人事制度の設計も工夫しています。
前述の日本語に関して言えば、ビジネス場面での日本語によるコミュニケーション能力を客観的に評価するための指標として、BJTを用いています。弊社では2005年からBJTを活用していますが、BJTで出題される問題は実際の仕事上の場面と非常に近く、実践的で指標として使いやすいと考えています。
現在、①規定以上のスコアであれば受験料は会社が負担②スコアに応じて日本語手当を支給③昇格の基準として一定レベルを要求(例:係長-J3以上が必要、など)という形で制度に組み込んでいますが、制度化以降、実際に社員のモチベーション、日本語能力も上がり、一定の成果が得られたと考えています。
我が社は今年で15周年を迎えます。その間さまざまな試行錯誤を行ってきましたが、我々が日本企業である限り、日本語を大事にし、長期的な視野で人材育成を行うというポリシーは揺るぎません。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。