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「北大フロンティアプログラム」ではBJTの受験を推奨しています
北大フロンティアプログラム推進評価委員長 工学研究院 教授
■「北大フロンティアプログラム」の概要
本学は、2007年から2013年まで、経済産業省と文部科学省によって実施された「アジア人財資金構想」に参画し、優秀なアジアの留学生に対して専門教育や日本語教育など、一貫した就職支援活動を行ってきました。この活動の後継として、2017年から2021年までの5年間、文部科学省の委託事業である「留学生就職促進プログラム」に参画し、北海道大学ならびにその近隣大学の留学生を対象とした「北大フロンティアプログラム」を展開しております。このプログラムでは、ビジネス日本語教育と産学連携科目によるキャリア教育を軸として、留学生の日本企業への就職を支援しています。 少子高齢化が進み、労働人口が減少する現代日本において、外国人材の受け入れによる労働力の確保は喫緊の課題です。本学には、北海道全体の留学生数の約半数に当たる約2,000人の留学生が在籍しております。高度な専門知識と国際性を有する彼らを、単なる労働力としてではなく、日本の社会の中枢で活躍できる人材に育てていくことは、本学に課せられた使命のひとつです。そのため、「北大フロンティアプログラム」では、日本企業で活躍する優秀な外国人材を一人でも増やすことにより、大学の活性化はもとより、地域経済の活性化、ひいては日本経済の活性化に繋げることを目的としています。 日本企業を牽引できるほどの高度専門能力をもつ外国人材の育成という目的のため、本プログラムでは大学院修士課程の学生のみをプログラム生として採択しています。毎年30名を超える応募がある中、書類審査と面接により各学年10名ずつ、計20名を本プログラム生に採択し、最大で月額78,000円の奨学金を2年間の養成期間の間支給しています。応募条件としてJLPTのN2以上を取得していることを課してはおりますが、修了時には全員がN1を取得するだけの日本語能力を獲得し、プログラムを終えた全ての留学生が日本を代表する企業に就職しております。
■「北大フロンティアプログラム」のカリキュラム
本プログラムのカリキュラムは、大きく以下の2つで構成されています。① ビジネス日本語講座 週2コマを通年かけて行う、年30回、計60コマの授業で、本プログラムにおいて最も時間をかけているカリキュラムです。働く場面で使う実践的な日本語の習得はもちろん、日本で働くために必要なビジネスマナーや日本企業独特の考え方、日本での就職活動の方法についても学んでいきます。修了基準として、JLPTのN1取得を義務付けています。② キャリア教育関連科目 日本で働くとはどういうことか?について深く学んでいく科目です。これらの科目には、「企業と仕事特論」「グローバルマネジメント特論」「創造的人材育成特別講義」があり、修士課程の2年間でこれらすべての科目の単位を取得することが義務付けられています。また、企業への長期インターンシップ参加も必須となっています。プログラムを修了するには、1か月以上のインターンシップ、または各2週間以上のインターンシップを2回参加しなければなりません。 これら以外にも、学内外で様々な留学生就職関連セミナーを開催しており、留学生への多面的な学びの機会を提供しています。これらのカリキュラムを通じて、日本企業の国際競争力強化に資するグローバル人材の育成を目指しています。
■BJTの受験を推奨
本プログラムを4年間継続してきて感じたことは、たとえJLPTのN1・N2を取得していても、その日本語力は、個人によって大きな開きがあるということでした。話す・聞く能力に関しては、N1の学生よりもN2の学生の方が得意な場合があることなども散見されました。 そこで、最終年度である2021年度には、従来の修了基準であるN1取得に加えて、BJTのJ2以上の取得を併せて推奨することにしました。先述した各種セミナーの一環として、協会の方を講師に招き、留学生にBJTを正しく理解してもらうセミナーも開催しました。本学では、外国人若手研究者のキャリア形成支援の一環として、本学在籍の留学生を対象に、BJTの受験料を全額補助する取り組みを人材育成本部が2020年度から行っています。この制度を活用することで、一人でも多くの本プログラム生がBJTを受験するよう働きかけております。 これらの試みの効果もあり、プログラム2年生のほぼ全員がBJT受験を希望し、1年生も数名が受験を希望しています。また、本プログラムではBJTのテキスト『公式模擬テスト&ガイド』の貸し出しも行っておりますが、プログラム生以外からも貸し出しを希望されるなど、非常に好評です。 日本企業に就職を目指す留学生がBJTを武器に加え、目標を実現することを楽しみにしています。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。