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受験者
日本で育ち、働いた経験を2つの母国の絆を強めるために活かしたい
BJT J2レベル 2010年6月取得BJT J2レベル 2010年6月取得
BJTが実務に相応しい日本語に意識を向けるきっかけに
私は日系ブラジル人で、父母の日本での就労にあわせて幼少期に来日し、中学校までを日本で過ごしました。高校・大学はブラジルで進学しましたが、両親や妹が日本に残っていたことから、日本での就職を希望しました。日本は子供時代を過ごした国であり、日本で就職することは自然な選択肢だったのです。幸運にも、日本語とポルトガル語の能力を買われ、岐阜県庁に採用されて、財団法人岐阜県国際交流センターに勤めることになりました。
実は初めて就職活動をした際にはBJTを知りませんでした。BJTを知ったのは入庁後、外国人の同僚が受験していたことがきっかけです。同僚が受験する姿を見て、自分の日本語能力が実務に耐えるのかテストで試したいと感じて、受験を決めました。想定していたよりもテストは難しく、残念ながら思ったほどのスコアが得られなかったのですが、受験することでその場に相応しい日本語を用いることの大切さを改めて認識することができ、実務でも日本語により注意するようになりました。
日本語能力を活かして日本のNPOで働く
私は現在、日系ブラジル人を支援するNPOでコーディネーターとして働いています。NPOは地元の地方自治体と密接な関係にあり、支援を受けているため、地元自治体の首長や議員とは密接にコミュニケーションをとっています。また、支援活動の一環で県庁、領事館や厚生労働省などの関係機関と協働する事もあります。もちろん、彼らとのコミュニケーションのほとんどは日本語です。どこまで確実にできているか不安な部分もあるのが正直なところですが、日本語で会話する際にはコミュニケーションの相手や内容によって適切な言い回しを使うように注意しています。
私は企業ではなく行政で働いているのでもしかしたら特殊な例として考える方もいるかもしれませんが、行政・企業に関係なく、多くの場合、日本の職場ではコミュニケーションの対象に応じて自然な日本語を使い分けることが求められます。このためには高度な日本語能力が必要であることは間違いありません。私の勤めるNPOでも日本語学習支援のため、外国人住民のBJT受験を奨励・支援していますが、BJTに挑戦することで就職に必要な日本語コミュニケーション能力を身に着けてほしいと考えています。
日本で育ち、働いた経験を活かして日本とブラジルの絆を強くしたい
経済状況が変動するにつれ、日本とブラジルの関係も変わりつつあります。日本経済の急成長が見込めなくなった今、日本企業は海外展開を急拡大させつつあり、ブラジルは中南米市場に進出するための足がかりとして多くの日本企業を引きつけています。最近も新たに自動車メーカーの工場が設置されました。そのため、ブラジルでは日本語能力の高い人材の需要が高まっていると聞いています。その結果、多くの日本在住日系ブラジル人が日本に留まるか、ブラジルで新たに職を探すか、転機を迎えているように思います。
どのような進路を選ぶにせよ、日本で育ち、働いた経験を日本とブラジルの発展のために活かせる機会が増えているのは喜ばしいことです。私自身も日本の公共セクターで長期間にわたり働くという珍しいキャリアをこれまで積んできましたが、この経験を活かして、日本とブラジルという二つの母国に貢献していきたいと思います。その際、日本の組織についての深い理解や日本語を実務で使用した経験が役立つことは間違いありません。
BJTはこれらの知識や経験を土台とした実践的なコミュニケーション能力を問うテストですので、自身の能力確認のツールとして引き続き受験するつもりでいます。次回はJ1レベルのスコアが取得できるよう努力したいと思います。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。