調査・研究活動
日本の漢字を日本文化の側面からつまびらかにする調査研究や、
日本語教育、漢字教育、それぞれの検定・テストの質的向上、および漢検 漢字博物館・図書館の展示企画に資する調査研究を行います。
略歴 1951年大阪府生まれ。 1980年京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。 静岡大学助教授、京都産業大学助教授を経て、京都大学大学院人間・環境学研究科 教授。文化庁文化審議会国語分科会漢字小委員会委員として2010年の常用漢字表 改定に携わる。2017年6月(公財)日本漢字能力検定協会 漢字文化研究所長就任。 専門は中国文化史、中国文字学。人間が何を使って、どのような素材の上に、 どのような内容の文章を書いてきたか、その歩みを中国と日本を舞台に考察する。 著書に「戦後日本漢字史」(新潮選書)「漢字道楽」(講談社学術文庫) 「漢字のはなし」(岩波ジュニア新書)など多数。 ■「漢字カフェ」にコラム連載中。「あつじ所長の漢字漫談」はこちら |
漢字文化研究
漢字は中国文明の伝播とともに日本に伝えられ、「古事記」「日本書紀」等にあるような文字による記録が始まりました。知識階級が教養として漢詩に親しむだけでなく、庶民も仏教経典などを通じて漢字に接するようになり、文化の基盤として広く普及しました。また、漢字から万葉仮名、そして仮名文字を生み出し、日本人の感性や自然観にあわせてこの漢字を昇華させ、日本人独特の「漢字仮名交じり」という日本語の表現世界を育んできました。漢字はまさに日本文化、哲学そのものなのです。
さらに、漢字は中国や韓国、台湾、ベトナムなど、東アジアの主要な国と地域において用いられてきた文字であり、そこには東アジア共有の「知」、「歴史」、そして「文化」が含まれています。
日本の伝統文化や古典を継承するのはもちろんのこと、東アジア共有の知の構築をめざして、日本の漢字とは何かを研究し、東アジア地域に点在する漢字研究をアーカイブ化するための調査研究活動を行います。
- 漢字研究者のネットワーク構築と漢字研究のアーカイブ
- 論文公募による啓発図書の発行
- 漢検漢字文化研究奨励賞
将来一層の発展が期待される若い世代による優れた研究を奨励するため、漢字研究・漢字に関わる日本語研究・漢字教育研究など、広く漢字文化に関わる分野における学術的研究・調査等に対して、その功績をたたえて社会に公表していく制度です。
2006年度に「漢検研究奨励賞」として発足し、2010年度からは「漢検漢字文化研究奨励賞」としてさらに賞の範囲を拡大し、漢字研究を志す若手研究者を支える賞として認知されています。本賞の受賞論文は当協会が『漢字文化研究』として論文集にまとめて大学図書館等へ寄贈するとともに、当協会のホームページでも公表し、さらなる漢字研究の発展に貢献しています。
日本語・漢字教育研究
日本語能力育成活動の一環として実施している「日本漢字能力検定」「BJTビジネス日本語能力テスト」「文章読解・作成能力検定」で得られた結果データを分析し、日本語教育や漢字教育、それぞれの検定、テストの質的向上に資する研究を行います。
- 日本語・漢字語彙に関する調査活動
- 検定・テストの結果データの調査分析
- 漢字・日本語教育研究助成制度
主に学校の教職員が行う漢字・日本語(国語)教育の研究活動に対して、その研究費を助成し、意義ある教育活動を社会に公表していく制度です。漢字教育のみならず、文章指導や外国人等に対する日本語教育など、広く漢字や日本語の教育分野に対する研究を対象としています。学校等での実践研究から、アンケートなどを行う調査研究、学習ツールの開発など、多岐にわたる研究活動が助成対象です。
約1年の研究期間を終えたものは、『漢字・日本語教育研究』として当協会が報告書にまとめるとともに、当協会のホームページでも公表し、さらなる漢字・日本語教育研究の発展に貢献しています。
京都大学×漢検 研究プロジェクト
当協会は、2017年7月に京都大学と2つのテーマに関する研究プロジェクトを立ち上げました。
- ライフサイクルと漢字神経ネットワークの学際研究
- 人工知能(AI)による漢字・日本語学習研究