漢字教育サポーター紹介制度
サポーター活動例
丹羽源氏でたどる「系図から読み解く源氏物語」
サポーター情報
登録番号:100189
活動地域:奈良
対象:成人一般
活動場所:公民館
いつ、どのような講座をなさったのですか?
2023年度は生駒郡斑鳩町の公民館で月一回、午前1時間半の源氏講座を11回しました。五年目の今年は6月は大雨警報が出て講座が中止。気象異変、コロナも深刻と今年度も波乱多き日々を踏まえての講義でしたが、体調維持にも気を配り、何とか一年間の講座を終えることができました。
源氏の原文は100万字程度といわれています。私は源氏原文を読みながら、その要約を作り、ほぼ二年がかりでワードに打ち込んでいました。私の要約文は原文の1/3程度(30万5千字)になりました。これが丹羽源氏です。
今年度は、「帖1桐壺」源氏の誕生から出家を暗示する「帖41幻」まで、源氏関連の主要な帖を再構成し丹羽源氏でたどりました。まずその帖の構成、人物の行動を明確に示し、そして紫式部が宮廷人に自身の物語を語るように披露していきます。「若菜上・下(帖34・35)」には三回かけました。全体を通して人物間の大切なコミュニケーションツールである和歌は全て原文で収録し、訳やその解説も丁寧に付しました。丹羽源氏のキイワードはもちろん3K(好色・皇統・後見)です。3K視点から人物の言動を考え、系図から人物を読み解くのは当初からの一貫した方針です。
講座を行う上での指導の工夫やポイントがあればお聞かせください。
A3サイズの150名の登場人物の系図は事前にお配りしてあります。毎回、その帖の丹羽源氏を配布します。人間関係は系図で整理し、帖の出来事、人物の行動は帖名折句にしてまとめています。
「帖41幻」は愛妻紫の上を失った源氏が一年をかけて紫の上との生活を回想し、出家の思いを固める帖です。紫の上に会いたいとの思いは、楊貴妃を失った玄宗皇帝、亡き桐壺更衣を求める桐壺帝と同じです。しかし、どうすることもできません。浮名を流した女性たちからの華麗な文も全部焼きました。
まじであなたの まきがみ破って
ほほえみ見たい ほのおの中へ
ろくどうすべて ろくでもない文
しらべてよ しょぶんする
主催団体や受講者からの反応はいかがでしたか?
丹羽源氏は好評です。皆さんじっくり聞き入って下さいます。めくるめく王朝文学の展開にうっとりとして目を閉じ、そのまま眠りに落ちてもそれはそれで、「夢のような時間」でしょう。各帖を段落に区切り番号を付し(若菜上は74段落、若菜下は73段落、幻は17段落)、段落を一まとまりとして簡潔に、分かりやすく語っていきます。あなたにもお聞かせしたいくらいです(笑)。
一年間の講座のまとめとして、「帖6末摘花」を「沓冠」折句にしました。源氏は女房の口車にまんまと乗せられ、末摘花に会ったけれどびっくり、がっかり。若気の至りでした。「あの源氏が、よりによってあんなアウトの、、、」と陰口をたたかれることは必至でした。それを恐れる冷たい男ならば黙って女を捨てていたでしょう。しかし、源氏にはじっと待って居てくれた女の健気さに応える「寛大さ」がありました。源氏は最初から完成された理想の男だったのではありません。失敗や禍いから学んで、時には寛容、時には非情に自らを律し、「立派な色好み」になっていったのです。折句の冠は「けいずからよみとく」、沓は「げんじものがたり」となっています。
げん滅ばっかり いちずに通った すえつむはなが から振りアウトの らく胆あれども よせいの暮らし みじめにゃさせん とくべつなさけ |
2024年1月NHKの大河ドラマ「光る君へ」が始まりました。これは紫式部の物語ですが、ドラマの中にちりばめられた平安貴族社会のエピソードと源氏物語の関連を考えるのも楽しいですよ。例えば光源氏のモデルは道長と思われがちですが、源氏の長男、夕霧だと考えるとすっきりとするのです。どうしてなの、それは、、、私の講座を聞いてもらいましょうか。
敷居が高いと思われている源氏ですが、工夫を凝らした講義に源氏を身近に感じてもらえたのか、2024年度も6年目の講座を行います。引き続き新たな視点で源氏物語を見つめ、感動を伝える楽しい講座にしたいと思っています。
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