団体受検 取組事例(小・中・高 等)
教育委員会
子どもが自分のよさや可能性を発見し、夢に向かう力を育む ~学ぶ楽しさと成長を実感する「チャレンジ学習」を推奨~/教育委員会/福島
東北 / 福島
[教育委員会] 本宮市教育委員会
教育長 松井 義孝 様
〇『笑顔あふれる共育のまち もとみや』
~夢・生きがいを持ち、共に育み、共に育つ教育を目指して~
本市では、上記の基本理念に基づいて教育を推進しています。東日本大震災・原子力災害後、私たちは、社会基盤を支える人と人とのつながりの重要性を再認識しました。そして、保育所・幼稚園、小・中学校などの教育関係機関同士、家庭、PTA、各種団体などの地域社会、さらには市民がつながり、共に子どもを育てる取り組みを進めることが、子どもの夢や大人の生きがいにつながり、幸せや喜びを感じて、笑顔になれることも実感しました。
本市教育振興基本計画(2019年度~2023年度)では、子ども一人一人が育っていく過程の中で人とのつながりや協働のプロセスが大切であることを確認するとともに、本市のよさである「温かい人間性」や「支え合う地域社会の絆」、「後世に伝えたい伝統文化」などを生かしていくことを目指しています。
≪全体イメージ図≫ 『本宮市教育振興基本計画(2019年度~2023年度)』より引用
また、大人が地域に果たす自分の役割を自覚して生き生きと励む背中を見せることで、子どもは自分のよさや可能性を発見して、夢に向かって力強く育つと考えています。そのような考えから、下記の「目指す子ども像」と「目指す大人像」を定めています。
目指す子ども像 | 自分のよさや可能性を発見し、夢に向かう力が強い子ども |
実現に向けた方向性 | 子どもは大人へと成長していく過程において、家族や教師、地域の人々など、多くの人々と出会い、支えられ、さまざまな影響を受けて、人として成長し社会性を身に付けていきます。 そこで、子どもたちの視野を広げ、夢に向かって自ら未来を創造する態度や行動力を育み、笑顔があふれるようにするために、家庭・学校・地域のつながりを強める施策(コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的推進など)を展開します。 |
目指す大人像 | 地域に果たす自分の役割を自覚して、生き生きと励む大人 |
実現に向けた方向性 | 地域の大人がその豊かな経験や知識・技能を生かし、子どもたちの育ちに積極的にかかわる機会を充実させることは、子どもたちが豊かに育っていく地域社会をつくるために重要であると考えます。 さらに、子どもたちが未来を創造する上で、生き生きと生活する大人の姿はまさに生きた手本であり、そのためにも、大人自身が生涯現役でがんばろうという生きがいと笑顔を持って生活ができるような施策を展開します。 |
『本宮市教育振興基本計画(2019年度~2023年度)』より引用
〇子どもたちが主体的に学ぶ「チャレンジ学習」の奨励
予測困難な社会の変化に主体的に関わり、どのような未来を創っていくのか、どのように社会や人生をよりよいものにしていくのかという目的を自ら考え、自らの可能性を発揮し、よりよい社会と幸福な人生の創り手となる力、すなわち、未来を切り拓く資質・能力の育成に向けて、生きる力を育む教育を推進しています。その取り組みの1つとして、「チャレンジ学習」の奨励を行っています。具体的には、基礎学力や学習意欲の向上を図り、自己実現を目指す意欲を高めることを目的に、平成26年度から本市内の小・中学校に在籍する児童・生徒に対して、各種検定の受検を奨励し、受検料の助成を開始しました。
令和4年度までは、児童・生徒が「日本漢字能力検定」(漢検)、「実用英語技能検定」(英検)、「実用数学技能検定」(算数・数学検定)を受検する際に、年度内1回に限り小学生には1,500円、中学生には2,000円を限度とし、受検料の助成を行ってきました。令和5年度からは、助成対象の検定に「文章読解・作成能力検定」(文章検)を加え、年度内1回に限り、いずれかの検定の受検料を全額助成することにしました。助成する対象検定と金額を拡充することにより、さらに検定にチャレンジする意欲を高め、学力向上を図りたいと考えています。
また、毎年3月には教育委員会として、「チャレンジ学習」の最優秀者(「漢検」・「数検」・「英検」で、上位級かつ最高得点の成績をおさめた児童・生徒)を表彰しています。
○「漢検」・「文章検」に取り組むことで期待する効果
児童・生徒が「漢検」・「文章検」に取り組むことで特に期待する効果は、「読解力」と「表現力」の向上です。さまざまな学力調査や学校での様子などから、本市の児童・生徒の「読解力・表現力」の課題として次の2点があげられます。1つ目は、「国語の読解問題、算数・数学の文章問題」、2つ目は「自分の考えを相手に伝わるように発表・説明すること」です。
「読解力」と「表現力」を育むためには、「語彙力」は欠かせません。当然、「語彙力」をつけるためには「漢字を読み書き、活用する力」が必要になります。その力を段階的かつ包括的に測ることができるとともに、「語彙力」を育む有効な手段の1つが「漢検」に取り組むことだと捉えています。
また、「文章検」は複数の情報を比較・統合し正しく情報を読み取ったり、自分の考えを文章で論理的に伝えたりする力を測定する検定です。検定に向けた学習を通じて、「読解力」と「表現力」の向上だけでなく、「コミュニケーション能力」の向上にもつながると期待しています。
そして、子どもたちがいろいろな場面でたくさんの言葉やその使い方を習得し、より多くのことが分かるようになったり、自分が伝えたいことを適切な形で伝えられるようになったりすれば、自然とよい人間関係を構築することができるでしょう。
○子どもたちの「楽しい」を第一に
常に新しい世界を知ることや「学ぶことが楽しい」という気持ちを子どもたちがもてることを大事にしたいと考えています。大人が「楽しい」という気持ちを子どもにもたせることができないと、子どもは学校に行くことも、学ぶことも嫌になってしまいます。そのようなことにならないように、まずは教員や保護者、地域の大人が、子どもを「ほめて、認めること」が大切だと思います。そのことが子どもの「楽しい」につながり、子どもが自分のよさや可能性に気づき、自己実現に向けて歩みを進めることになると考えます。そのきっかけの1つとして、「漢検」や「文章検」などへの「チャレンジ学習」を推奨し、子どもと大人が学習の成功体験を共有する機会をつくっています。これからも子どもたちが未来への歩みを一歩一歩力強く進められるように、子どもたちの実態に即した「楽しい」を応援していきます。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。