団体受検 取組事例(小・中・高 等)
教育委員会
「子どもが幸せになるまち」をつくるために/教育委員会/大阪
近畿 / 大阪
大阪市住之江区
住之江区長 髙橋英樹 様
家庭学習の習慣づけと児童の意欲向上施策としての漢検導入
住之江区では、区がもつ豊かな資源を活用し、未来を担う子どもたちの学力向上や住之江のブランド化などに取り組むことにより、まちが活気を取り戻し、若い世代や子どもを含むすべての区民の皆さんが明るい未来に向けての夢を持てるまちをつくりたいと考えています。それは「子どもが幸せになるまち」でもあります。
「子どもが幸せになるまち」をつくるためには、家庭学習の習慣づけと児童・生徒の意欲の向上につながる学力向上施策が必要です。中学生の英語力向上支援を目的として、平成25年度より中学校1~2年生を対象に英語検定の受検機会を提供していましたが、小学校の校長先生方から「家庭学習の習慣づけと児童の意欲の向上のために漢字検定を活用したい」というご要望をいただき、先生方の討議を経て、漢字検定受検の予算化を実現しました。平成26年度は小学校4~6年生のいずれか1学年の全児童を対象に漢字検定の5級~7級を受検できるようにしています。この取り組みは、学校と行政との密な連携が生んだ賜物のひとつです。
「子どもが幸せになるまち」をつくるためには、児童・生徒の努力を認め、褒めることも大切です。区内のある小学校では、校長先生が子どもたちの様々な努力に対して、手書きの賞状を作成し手渡ししていたところ、「校長先生できました!」と報告に来る児童が増え、結果的に小学校全体の学力が向上しました。
漢検に向けての勉強や漢検の合格体験も褒める機会となります。子どもたち、とくに初めて合格証書を受け取る小学生は心から喜びを表現しますし、保護者や祖父母も飛び上がって喜ぶことがあるそうです。漢字検定には、児童の学力向上はもちろんのこと、たくさんの人が幸せになるきっかけとなることを期待しています。
私が子どものころに読んだ児童書のひとつ『かもめのジョナサン』があります。飛ぶことが好きなジョナサンは「食べるために飛ぶのは面白くない。飛ぶために食べるんだ」と思いました。私は子どもながらに「目的の捉え方次第で、幸せの形は変わる」と感じました。子どもたちには漢検受検を目的ではなく手段と考え、主体的に取り組んでほしいと思っています。
漢字検定に着目した3つの理由
漢字検定に着目した理由は3つあります。
第一の理由は、漢字は身近な学習内容であり、お父さんやお母さんが教えられる領域であることです。お母さんが子どもの勉強を見てあげたり、お父さんが子どもと一緒に新聞を読んだり、と様々なコミュニケーションの機会となります。家庭学習の習慣づけには、学校と家庭が連携して、子どもたちが学習しやすい環境づくりに取り組むことが欠かせません。漢検には学校と家庭の連携の促進効果があると考えました。
第二の理由は、広く流通している資格を取得できるということです。漢字検定は努力の証として高校入試の調査書に記載することができますし、社会に出てからも役立つ一生の資格です。小学生のうちからそのような資格を取得できることは、日々の学習に対する意欲の向上に繋がります。
第三の理由は、言葉の力が全ての学習の基礎であることです。漢字力・語彙力を定着させることで、全教科の理解を深めさせることができます。日本語の文章から漢字を取ったら内容が分かりません。ところが、その反対に、漢字だけ並んでいる文章があったとすれば何となく意味を理解することができます。漢字力・語彙力は小さいころからしっかりと身に付けるべき力なのです。
住之江区では、年2回、保護者の皆さんや先生方にアンケートを行い、「家庭学習の習慣づけと児童の意欲向上に役立っているか」「もっと役立つ活用方法はないか」といった観点で効果検証をする予定です。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。