団体受検 取組事例(小・中・高 等)
教育委員会
学力向上プログラムの一環として、市全体で漢検に取り組んでいます/教育委員会/滋賀
近畿 / 滋賀
[教育委員会] 草津市教育委員会
学校教育課 学校教育グループ 専門員 上原 忠士 様
1.草津市の教育における検定事業の位置づけ
平成22年3月に「草津市教育振興基本計画」を策定し、本市の教育施策の基本的な考え方と目指すべき方向性を定めました。本計画は、本市のこれからの10年を展望し、学校、家庭、地域、行政が互いに協働して「子どもの輝く教育のまち 出会いと学びのまち くさつ」を実現していくためのものです。この計画では、「子どもの生きる力を育む」「学校の教育力を高める」「地域に豊かな学びを創る」という3つの基本方向を設定し、特に、学校教育の分野では「草津市子どもが輝く学力向上プログラム」構想を掲げて、様々な取り組みの有機的な展開を図っています。
この構想では【学校教育モデルプラン推進事業】【ICT授業の推進】【各種検定事業】をリーディングプロジェクト(LP:プログラムを牽引していく三本柱)に位置付けており、【各種検定事業】では、基礎学力の育成と学習習慣の確立、および学習意欲の向上を目的として、漢検、英検、そして市独自のピタゴラス(計算)検定を市全体で実施しています。
2.漢検の取り組み内容
(1)漢検導入にあたって
漢検の導入にあたり、教員・保護者双方の理解と協力を得ることに重きを置きました。教員については、導入する1年前(平成21年度)から校長会・教頭研修会・教務主任会において協議を重ねました。保護者に対しては、教育長名で案内文書を配布しました。このように、教員と保護者とが一丸となって検定に取り組む風土の醸成に努めたのです。
(2)漢検実施概要
漢検は、市内の全公立小学校に在籍する4年生から6年生までの児童約3600名と、全公立中学校の生徒約3100名を対象に実施しています。実施時期については、中学生は高校受験を控えている3年生に配慮するため秋に、小学生は1年間の漢字学習の成果を測るため冬に設定しています。
草津市全体で漢検に取り組むためには、必要な家庭に対し市から補助金を交付し、検定料の保護者負担額を軽減する措置も取っています。
(3)漢検受検に向けた学習方法
各級の設定は学習指導要領の学年別配当漢字に準拠しています。そのため、現場の先生方は基本的に教科書に則った普段の漢字学習に注力しています。具体的な学習方法については各学校に任せており、問題集を利用した学校や、朝学習で漢字学習に取り組んだ学校、夏休みに漢字学習の課題を出した学校など、それぞれ独自の取り組みを行っています。
なお、教育委員会としては、携帯ゲーム機の本体および漢検対応ソフトを、学校の規模に応じて5~40セット提供しています。これらは、児童・生徒が受検級を決める際の手段の一つとして活用されています。
3.漢検導入の成果
初年度(平成22年度)の一番の成果は、国語(漢字)に対して子どもたちが意欲的に学習するようになったことだと思います。具体的には、学校アンケートで「漢字だけでなく国語の学習が好きになった」と回答する児童・生徒の割合が増加となって表れています。また、平成22年度「日本漢字能力検定 成績優秀者表彰 団体の部」で一部の小学校が奨励賞や特別賞を受賞したのも、成果の表れの一つだと思います。
漢検の導入による効果は、児童・生徒だけにとどまらず、保護者にも好影響を及ぼしています。一部の小学校では、子どもが漢検に真剣に取り組む姿勢に感化され、保護者からも「一緒に受検したい」という声が寄せられていると聞いています。また、別の保護者からも今まで以上に子育てによりよくかかわろうとされるという声が教育委員会に入っています。保護者から漢検に対する理解が得られていることは、市全体で漢検に取り組んでいく上で大きな支えになっています。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。