子どもの学力向上のために、漢検に取り組んでいます／教育委員会／大阪

１．能勢町の教育の特色

２．漢検の取組内容

（１）漢検導入の経緯
　上記プロジェクトによって各学校が授業内容に創意工夫を凝らし、子どもの学習意欲の喚起につながりました。しかし一方で、学校内での学習には積極的に取り組むものの、家庭に帰ってからの自学自習の習慣には結びついていませんでした。子どもに自学自習を促すためには、簡単な課題を繰り返し与えていくことが有効です。そこで、個々に目標級が設定でき、家庭でも取り組みやすい漢検を、教育イノベーションプロジェクトの一環として、2011年から3年計画で町内の全小中学校で実施することにしました。

（２）漢検の実施概要
　漢検は、町内の小中学校に通う子ども全員が毎年1回、自分の受検したい級を受検します。検定料は全額、町費で負担しています。全員に受検を強制することについて、保護者から「不合格の子どもは自信をなくしたり、いじめにつながるのではないか」との声がありました。そこで、我々教育委員会は、「残念ながら不合格になってしまった子どもがいれば、それをどのように捉えるかが教育であると考えています。先生方には、不合格の子どもをサポートし、共に頑張ろうとする質の高い学級集団の育成に努めるよう指導します」と返答しました。全員で受検することによって、お互いの能力を認め合い、友達同士で高め合う空気が醸成されることを目指しています。

（３）漢検受検に向けた学習方法
　漢検に向けての学習は、自由に学習できる雰囲気を作るように依頼し、指導内容や方法は各学校に任せています。多くの学校では、漢字プリントを校内自習教室等に置いておいて自由に学習できる環境を作ったり、家庭学習用にプリントを持ち帰らせたりしています。なかには、教員が独自に問題を作成し、校内検定という形式で練習をしている学校もあります。また、学校支援地域本部を活用し、地域の方々に放課後の漢字学習のお手伝いを依頼している学校もあります。

３．漢検導入の成果

　学校現場からは、漢検を実施して良かったとの声が多くありました。公的に認められている資格を取得したことで、子どもたちの喜ぶ姿が印象的だったようです。一方で、不合格になってしまった子どもも、次回こそは頑張ろうという姿も見られ、ひとつの経験になっています。資格検定に挑戦しないまま学校生活を送っていると、初めて合否の分岐点に立つのは高校入試になります。小学校の頃から合格・不合格という経験をしておくことで、今後迎える高校入試、大学入試に向けた学習意欲の促進にもつながるはずです。
　漢検は2011年からの3年計画で、まだ1年しか経っていませんが、継続して実施することで、子どもの漢字能力の向上や、自ら学習に向かう姿勢が育まれることを期待しています。

※掲載内容（所属団体、役職名等）は取材時のものです。

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