団体受検 取組事例(小・中・高 等)
教育委員会
『葛飾区教育振興ビジョン』にて各種検定の到達目標を設定/教育委員会/東京
関東 / 東京
[教育委員会] 葛飾区教育委員会
本区の教育課題と『葛飾区教育振興ビジョン』
本区の教育課題として、大きく2つの点が挙げられます。ひとつは、「学力の二極化の解消」があります。上位層の子どもたちをさらに伸ばすとともに、低位層の子どもたちの学習意欲を向上させ、いかに中位層以上に引き上げていくかという視点です。もうひとつは、「学習習慣の確立」です。子どもたちの実態を調査すると、家庭ではテレビの視聴やゲームに費やす時間が長く、家庭学習の時間が少ないことが分かりました。保護者と連携し、いかに家庭学習を習慣付けるかも大切な視点です。
本区では『葛飾区教育振興ビジョン(以下、ビジョン)』を策定しています。第1次ビジョンが平成16年~20年の5年間、さらに第2次ビジョンが平成21年~25年度までの5年間を期間とした中期的な方向性や方針を示すものであります。ビジョンは、「確かな学力の定着」「豊かな心の育成」「健やかな体の成長」「良好な教育環境の整備」という4つの大きな柱で構成されています。即ち「知・徳・体・環境整備」という構造になっています。
本区における検定試験の活用法
4つの柱のひとつである「確かな学力の定着」の中に「授業時数と学習機会の確保」という項目があり、そこで「葛飾学習チャレンジ教室(以下、チャレンジ教室)による各種検定試験に向けた受検準備」を行うとしています。学校の勉強だけでなく、検定合格を目標にしながら子ども達の学習意欲を高めるための学習機会を提供する仕組みです。また、その到達目標として、「各種検定受検というわかりやすい目標を立てて、学習意欲を高めるための取組として、引き続き、小学校卒業時に数学検定6級、漢字検定5級のいずれかを、中学校卒業時に英語検定3級、数学検定3級、漢字検定3級のいずれかを合格した者が半数以上になるよう取り組んでいきます」と、ビジョンに明記しています。
第1次ビジョン策定当初は、各校でチャレンジ教室を開催する下地ができていなかったため、まずは区の主催で開催することにしました。平成18年度には、区の総合教育センターに受講を希望する児童・生徒を集め、土曜日の午前中に検定対策の勉強会を行いました。センター在籍の嘱託職員が講師となり、級ごとに教室を分けて、問題演習などを行いました。また、センターを会場とした検定本番の団体受検(準会場受検)も実施しました。
このように、まずは区が中心となってチャレンジ教室を実施し、平成19年度以降は各学校においてチャレンジ教室が開催されました。各校の実情に合わせて、平日のいずれかの曜日の放課後か土曜日に行っています。地元の退職教員や、将来教員を志す教員免許取得者、あるいは学校支援ボランティアや学生ボランティアなど、様々な方が講師となってくれています。また、検定対策に限らず、日頃の授業の補習も行っている学校もあります。数値目標に定めた検定試験を目安に、小学校は年16回(数検・漢検の2教科で各8回)、中学校は年24回(英検・数検・漢検の3教科で各8回)開催しています。
検定試験の活用によって得られた成果
こうした地道な努力の甲斐あって、確実に成果が出始めています。例えば漢字検定で言えば、平成21年度には、区内の全ての小中学校で準会場を実施するに至りました。また、平成20年度には、小学6年生の約47%がいずれかの級を受検して、約33%が5級に合格しました。同じく、中学3年生の約48%がいずれかの級を受検して、約30%が3級に合格しています。協会の方からは、全国と比較しても、かなり高い数値だと伺っています。
この施策によって、子ども達の学習機会が増えていることは間違いありません。子ども達にとって、放課後や土曜日にも学習することが自然になり、その努力が検定合格という形で報われることで、自信や学習意欲の向上に繋がればと願っています。「学力の二極化の解消」や「学習習慣の確立」に向けた、課題解決の突破口のひとつになると感じています。
さらに、平成23年度以降は、葛飾区独自の学習教材の開発を行っていく予定です。検定対策に限らず、子どもたちの実態に合わせて、興味関心を引き出しながらステップアップしていけるような教材開発を目指しています。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。