団体受検 取組事例(小・中・高 等)
教育委員会
漢検受検料を市が負担し、子どもたち全員に挑戦の機会を/教育委員会/東京
関東 / 東京
[教育委員会] 武蔵村山市教育委員会
武蔵村山市では、平成17年度から市立小学校9校に通う3・4年生全員が漢検を団体受検しています。同市教育委員会の学力向上策の一環として行われているもので、検定料など費用約200万円は市が負担するという画期的な試みです。
チャレンジ精神を高めたい
本市が平成16年7月に実施した生活調査※によると、家庭学習に費やす時間が「30分以下である」小学生は約60%、中学生は約70%でした。こうした傾向を憂慮して、市教委では「学習に関する挑戦および奨励の機会の拡充」を目指し具体策を考えました。漢検の導入はその具体的項目のうちの一つです。チャレンジの機会を増やせば、おのずと学習意欲は高まります。さらに、費用を市が負担すれば、全員にチャンスを与えることができます。
国語は万学の基礎である
市の予算に組み入れるにあたり、いくつかあった検討対象の中から、漢検を選択することにしました。なぜなら、「国語は万学の基礎」だからです。国語がすべての学習の基礎であり、他教科の理解にも国語の力が影響します。そして、国語の力は言葉の力であり、漢字を習得することで言葉の力を育てることにつながります。
我々は漢字を文字単位ではなく、文章の中で使われる言葉としてとらえています。漢検では「漢字能力」つまり漢字を活用、運用する力に重点が置かれており、この点が我々の漢字に対する考え方と一致しているという理由から、漢検の導入を決めたのです。幸い、各校の校長先生からも理解を得ることができ、現場においても意欲的に取り組んでもらえました。
学習への意欲を維持
受検者は、まず小学校3・4年生を対象としました。受検にあたっては、担当するクラスの子どもの力を教師がよく把握し、保護者とも相談して受検級を決めました。教師のきめ細かい指導のおかげで、100%に近い合格率を達成した学級もありました。また、平成17年度の漢検の導入以後、合格率は着実に上昇傾向にあり、教育委員会としては、確かな手ごたえを感じています。
さらに、保護者から非常に高い関心が寄せられ、学校によっては親子受検、他学年の受検も受け入れました(この場合の費用は自己負担)。こうした動きからも、市全体に漢字学習への意欲が見えてきたことが感じられ、うれしいことだと思っています。
漢検の導入は、実力判定のためではなく、教育指導の一環として行うものです。一人ひとりの実力に合った級を受検させ、全員に合格という成功体験を持たせることで、漢字により親しみ、チャレンジ精神を養えると考えています。現に年々、より上位の級を受検する児童が増加しており、着実に効果が出ていると考えています。
不合格であっても、再度機会を与えるなどフォローを十分にし、学習への意欲を維持させるようにすることが重要です。今後は子どもたちの様子を見ながら、小学校の他学年や中学校への導入も検討していく予定です。
※「武蔵村山市児童・生徒の生活および学習に関する調査」、小学校5年生から中学3年生までの児童・生徒3,085人が対象。
※取材時の記事に加筆し、修正を加えたもの。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。