団体受検 取組事例(小・中・高 等)
小学校
児童の将来にとって価値のある体験を大切に/小学校/愛知
中部 / 愛知
[公立] 名古屋市立高蔵小学校 トワイライトルーム
専門員 森上章様
学校の授業ではできない学びをトワイライトルームで
トワイライトルームは、”児童への豊かな放課後の時間の提供”を通して、自主性・社会性・創造性を育む教育的な役割と、留守家庭等の児童が安心やくつろぎを感じて過ごすことができる就労支援の役割を併せもつ事業です。校内の空き教室を使って、放課後に自習や体験学習などを行っています。
また、トワイライトルームでは、学校の授業ではできない体験を積み重ねることで、人間的な成長を促すことを目的のひとつとしています。学校と違って1年生から6年生まで異なる学年の児童が一緒に過ごすため、上の学年の児童が年下の児童に教えるといった縦の交流がしやすいのもトワイライトルームの特長です。ですから私たちから一方的に教えるだけではなく、児童同士が助言し合えるよう促しています。
さまざまな価値のある体験のひとつとして漢字検定を導入
ここで過ごす児童たちには、将来に役立つような何か価値のあることを体験させたいと思っています。ジャンルは幅広く、スポーツや音楽、編み物といったものから、小噺や読み聞かせ、芸人を招いたお笑い教室や高校生との合同コンサートなど、さまざまな活動を実施しています。DVDを観て過ごすことを極力避け、質の高いもの、意味のあるものを選び、ライブで感じ取ることを大切に考えています。
本ルームでは教室に来てから皆が揃うまでの間、児童は勉強にとりかかります。学習内容は児童に任せているので、宿題をする児童もいれば、問題集やドリルを持ってくる児童もいます。自分自身で、あるいは保護者と相談して決めた学習に15分間じっくりと集中して向き合えるようになることをめざしています。
漢字検定を取り入れることで、そうした日々の学習の中での目標が明確になりました。児童は漢字学習をすると、書いたノートやプリントを見てほしくて私のところへ持ってきます。その時に「力強く、しっかり書けているね」とか「この字は上手だね」と、あえて大きな声でまわりに聞こえるように褒めてあげます。漢字の練習をすると、良いところを皆の前で褒めてもらえる…と思うことで、書くことが好きになり学習意欲が高まりますし、その様子を見て周囲の児童も負けまいと努力します。
また、夏休みに漢字検定を受けた1年生の一人が満点合格をもらいました。「まだ学校で習っていない範囲なのに、1年生で習う漢字を全部書けて全部読めるんだね。満点おめでとう。すごいね!」と褒めてあげたところ、まわりの児童たちがその言葉を聞いて、「僕も満点を取りたい」「今度いつ漢字検定をやるの?」「よし今度は僕も挑戦しよう」と学習に意欲をみせていました。改めて、漢字検定を実施して良かった、漢字検定は児童に価値のある活動のひとつだ、と実感しました。
児童の主体性に任せて生活に根ざした漢字学習を
漢字学習に関しては単なる暗記ではなく、生活に根ざした漢字として身につけてほしいと考えています。例えば危険の「危」という字は、大学入試でもよく出る問題ですが、多くの受験生が間違いやすい箇所があります。「どこか分かるかい?横線の留めのところだよ、町を走るタンクローリーなどの後ろに『危』という字が貼ってあるから、気をつけて見てごらん」と話します。つまずきやすいところは小学生のうちから気をつけておくと、将来きっと役に立つはずです。
その他に、「今年の漢字」にも参加しました。児童一人ひとりが今年の世相を表す漢字一字を考えることで、身の回りにあふれる漢字に関心を持つようになりました。今後もさまざまな生活の場面で漢字が使われていることを児童なりに発見してほしいと願っています。
またその一方で、知識をつけることも大事ですが、本当に生きてはたらく力というものを身につけさせてあげたいと思います。トワイライトルームでは、学習面でも技能面でも、そして生活習慣についても、児童たちが自立して自分で考えトライしていけるように漢検等の活動で児童の個性や知的好奇心を引き出しながら、これからもサポートしていきたいと考えています。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。