団体受検 取組事例(小・中・高 等)
小学校
子どもたちの変化を実感しています/小学校/愛知
中部 / 愛知
[公立] 名古屋市立神宮寺小学校
漢検担当者
■主体的に学ぶ力を身につけたい
名古屋市は全国学力学習状況調査の結果を踏まえ、言葉の力の育成に注力しています。本校でも、対話的で主体的な学びの基礎となる「言葉の力」を身に付けることができる取り組みを推進しています。特に平成26年度から平成28度の3年間は国語を中心とした言葉の力の育成を行っていました。その取り組みの一つとして『神宮寺漢字検定』(以下『神宮寺漢検』)と「日本漢字能力検定」(以下漢検)を導入しました。明確な目標を設定することで、国語力の要素の一つである漢字や言葉の学習を、主体的な学びのスタートに位置付けました。
■取り組み方法
学校独自の『神宮寺漢検』は学期ごとに実施し、在籍学年のその学期までに習った漢字を出題します。毎学期、漢字をしっかりと定着させた上で、全国的な指標のもと自分の能力を測定するために漢検を受検できる仕組みにしました。『神宮寺漢検』と漢検の告知、双方の結果報告は「学校便り」で行っています。漢検の受検者を募集する際には、オリジナルの受検案内を用意して早めに申し込みの声掛けを行っています。受検級の設定は、基本的には学年相当級を勧めていますが、『神宮寺漢検』の結果を参考にしながら教員が相談に乗るようにしています。実施日には、授業時間で受検ができるように特別授業を組んでおり、漢検を受検しない児童には『なごやっ子漢字検定プリント』という名古屋市教育委員会独自の学習教材を配付し、同じ実施時間内で取り組ませています。保護者に結果をお知らせする際は、必ず、合格率をデータ化することで取り組みの成果が誰にでも分かりやすいようにしています。
■子どもたちの変化を実感しています
読む力や書く力と比べて、漢字は頑張った分だけ成果が出るので、児童や保護者、教員にとって結果が分かりやすい取り組みです。「合格に向けて頑張るぞ」という教員の積極的な声掛けもあり、『神宮寺漢検』と漢検の合格率は毎年上昇し続け、今年の漢検の合格率は86.78%という嬉しい結果になりました。さらに、今年は2名の児童が当該学年以上の級に挑戦しました。また、保護者から「低学年でも、わからない言葉があれば辞書を引いたりするようになった」というお話をいただくなど、数字以外の部分でも子どもたちの変化を実感しました。漢字学習によって、主体的に学ぶ姿勢を身に付けるための良いスタートが切れたのではないかと思います。
導入初年度は市の補助で全員受検をしていましたが、その後は希望者での受検に変わってしまったため、「受検者が減少するのではないか」という懸念もありました。しかし、実際には全校児童の7割から申し込みが来ており、児童や保護者のニーズの高さを実感しています。
■将来のビジョン
小学校で国語ができる児童は他の主要教科の成績も良い、という傾向があります。つまり、小学生にとって国語は最も基礎学力を培うことができる重要な教科と言えます。漢字学習によって主体的な学びのスタートを切れたからこそ、今後は国語力を総合的に高める取り組みが重要になります。例えば、作文の授業の時、子どもたちは文章を書くことに集中します。すると、漢字を書くのが面倒という理由から平仮名ばかりの文章を書いてしまう児童、間違った漢字に気付かないまま書き進めてしまう児童などが出てきてしまいます。学校では、子どもたちが漢検で学んだことを文章中に生かせるような指導をしていく必要があると感じています。
また子どもたちには、国語で身に付けた「主体的な学び」を様々な教科に広げられるように、多くのことにチャレンジしてほしいと思っています。そのきっかけの一つとして、漢字検定を活用していきたいです。

※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。