団体受検 取組事例(小・中・高 等)
小学校
漢検がつなぐ地域と学校~子どもたちの学びと成長を支援~/小学校/大阪
近畿 / 大阪
[公立] 泉大津市立 浜小学校
教頭 沖本 光代 先生
■教育目標~育てたい力~
本校に通う子どもたちのことを「はまっこ」と呼び、その頭文字をとって以下の3つを教育目標としています:
- は:はきはきした挨拶ができるこ
- ま:まわりを思いやることができるこ
- つ:伝え合うことができるこ
「誰にでも挨拶ができ、まわりを思いやれる子どもたちを育てること」を目指し、「つながりあえるコミュニケーション」を軸に教育を進めています。
■漢検受検のきっかけと現状~漢字の意味を理解し、正しく使いこなせる力を養う~
本校では、子どもたちが自主的に学習に取り組むための活動があります。例えば、高学年では朝学習の時間に漢字学習を取り入れているクラスがあります。当番の子どもたちが漢字の書き順や読み方などを皆の前で発表したり、全員で一斉に空書きを練習したりする活動が行われています。どの漢字に取り組むかも子どもたちが決めており、このような自主性は、低学年の頃からの積み重ねの結果だと感じています。
また、学校づくりの一環としてプレゼン学習を取り入れ、「自分の言いたいことを伝え、相手の言っていることも受け止める」つながりあえるコミュニケーションを育むことを目指しています。毎年2月には、小学3年生から6年生が体育館に集まり、クラス内で投票して選ばれた代表1名がプレゼン大会で発表します。
プレゼン資料はタブレットで作成しますので、漢字の意味を正しく理解して言葉を選ぶ必要があります。しかし、子どもたちが漢字変換で誤った漢字を選んでしまい、文章の意味が通らないことが多々ありました。「全国学力・学習状況調査」などの結果からも漢字で点数が取れないという課題点が浮き彫りになっていたこともあり、基礎学力の向上を目指して漢検を導入しました。漢検を通じて、漢字の意味を理解し、正しく使いこなせる力を養うことを目指しています。
■期待する効果
漢検に望む効果は、子どもたちが漢検合格を通して自信をつけることです。実施初年度の今年は、夏と冬の年2回検定を実施しました。8月の受検では現在の学年より一つ下の級を目標とし、2月の受検ではその学年の振り返りとして学年相当級の受検を一つの目安にしています。また子どもたちが合格して自信をつけるためにも、本校で漢検を開催する際には、検定前に勉強会も実施したいと考えていました。そこで地域の方にも協力を仰ぎました。
■地域と共に育む漢字勉強会
泉大津市では、地域学校協働活動に参加してくれる方々を「みらい応援隊」と呼んでおり、本校でもコミュニティ・スクールとして、「みらい応援隊」の皆さんが家庭科の裁縫や調理実習、町探検の付き添いや九九チャレンジなど多岐にわたり協力してくださっています。「漢検勉強会」も、本校職員と「みらい応援隊」の方のご協力を得て、漢検の実施前の長期休暇中に、2回行いました。長期休暇中を選んだ理由は、放課後は習い事がある生徒や、帰宅時間が遅くなることを心配されるご家庭も多いのですが、長期休暇中であれば午前中など子どもたちが集まりやすい時間帯に勉強会を実施しやすいためです。何種類かのプリントを用意し、「みらい応援隊」の方が丸付けをしてくださっています。
子どもたちは学習を進めていくのが楽しいようで、合格を目指して1時間飽きることなく集中して取り組んでいました。目の前で丸付けをしてもらえると、すぐに次のプリントに取り掛かることができるため、自分の力でどんどん先に進めます。その結果、普段の教室では感じられないような達成感を味わえたようです。「みらい応援隊」の方も「自分自身の脳トレになるわ」「勉強になる、楽しいわ」と楽しんで取り組んでくださっています。このように、勉強会は児童と地域の方々の双方にとって非常に有意義なものとなっています。
中には漢検に興味を持ってくださった地域の方もいらっしゃったので、来年度はコミュニティ・スクールの人々にも声をかけて、みんなで楽しく取り組むことができたら面白そうだなと思っています。校内の勉強会を通じて地域の人々とも密接に連携できており、漢検が地域と学校をつなぐ良い架け橋になっていると感じています。
■漢検を通じた子どもたちの成長と学び
児童は通い慣れた環境で安心して学習し、受検することができ、自信を持って挑戦しています。漢検を実施したことで、子どもたちの漢字への意識が高まり、自ら学びたいという気持ちが芽生えてきました。これまでは「漢字は教えられて覚えなければならないもの」と感じていた子どもたちも、漢検を通じて「漢字が好き、自分から進んで学びたい」という意欲がうまれています。今後の「全国学力・学習状況調査」でも良い結果が表れることを期待しています。
漢字が好きな子と嫌いな子の間には大きな差があり、嫌いな子は漢字の勉強に対して強いストレスを感じることもあります。しかし、漢字が苦手な子どもたちも、クラスのお友達が漢検に合格して合格証書をもらっている姿を見て、「漢字って楽しく勉強できるんだな」「自分も受けてみたいな」と感じているようで、まだ受検したことのない子どもたちにも良い影響が広がっています。
漢検では、普段の国語のテストでは問われない形式の問題も出題されるため、子どもたちが検定問題に取り組むことで苦手分野や得意分野が明確になります。「読みはできるが書くのが迷う」「同音異義で悩んでしまう」といったパターンも見えてきました。今後は、こうした点を強みにできるように支援していきたいと考えています。また将来的には、当該年度の受検者全員が学年相当級の級に合格することを目指しています。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。