団体受検 取組事例(小・中・高 等)
小学校
教育目標「学力向上」の施策として漢検を活用/小学校/大阪
近畿 / 大阪
[公立] 大阪市立大国小学校
学校長 岡田 治美 先生
■教育目標について
本校では、「社会に出た時に自分の未来を拓いていける力を子どもたちに身につけさせること」を目標としています。そのためには小学校教育において、読み書き計算の基礎学力と主体性を伸ばすことが大切です。学校生活全体を通して主体的に学べる仕掛けづくりをしています。低学年の積み残しを解消できないまま学年が進んでいくと、4年生ぐらいから教科書が読めない子どもたちがでてきます。文字情報が理解できないということは、学習面にとどまらず、子どもたちの日常生活や将来の社会生活にまで影響を及ぼします。そのようなことがないように、教育目標を設定しています。
■学校づくりに「漢検」を位置づける理由
教育目標を実現するには、児童・教員・保護者に大きく働きかけていく必要があります。当校に着任した4年前、学校の運営計画を検討し、学力向上に向けた起点かつ中心となる取り組みとして漢検を受検できるように浪速区に相談をしました。①学校運営計画の客観的指標となる、②成功体験の創出が主体的な学びにつながるという2点が学校改革に効果的だと思ったためです。本校では全児童が漢検を受検しています。当該学年相当級への合格を目標としながら、最終的な受検級は担任と子どもたちの面談を通して、子どもたち自らが決めています。校内研修を行って全学年の漢字指導方法や教材を統一し、該当学年の6月までに全ての新出漢字を学ぶ先取り学習を行っています。その後、一人一冊国語辞典を持たせる辞書引き学習や反復学習で知識の定着に励んでいます。教育目標達成のため、全体合格率および当該学年相当級の合格率の向上を数値目標としています。
全校で漢検に取り組むことで、学力に課題のある子どもたちも公的に努力を認めてもらい、表彰状をもらうという成功体験を得ることができます。自分で決めたことをやるのは楽しいという気づきを得て、成功体験を積むことが主体性の育成につながると考えています。
■漢字検定を導入したことによる効果
<指導における課題・成果の明確化>
漢検協会から「大阪市内の小学校平均」、「浪速区内の小学校平均」のデータをもらい、自校と比較しています。そうすることで、取り組みによる成果と課題が客観的に把握できるようになります。具体的には、「学年配当級以上の級にすすんで受検をしている子どもたちの割合が大阪市平均を上回っている点から、学習意欲の向上や主体的な学びに一定の効果がでていること」、「積み残しのある子どもたちがつまずくのはどこかということ」、「特定の学年については漢字学習にあたって支援強化を検討する必要があること」等が明らかになりました。指導した成果がデータとして表れることは、教員にとって努力が報われたと思う瞬間です。保護者にとっても子どもと学校が何に注力をしているのかが一目でわかるようになりました。
<目標設定の経験による新たな分野への主体的挑戦>
取り組み初年度は消極的な子どもたちが多かったのですが、次第に自分で目標を設定するようになり、「この級に受かったらかっこいい」「満点賞を取りたい」「不合格だったから再挑戦したい」と、学習に対して主体的になりました。このような自分で目標を設定するという経験が、漢検以外の学校生活の色々な場面でも主体性を発揮していくきっかけになっています。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。