団体受検 取組事例(小・中・高 等)
小学校
漢検の実施によって、主体的に生きていく力を養っています/小学校/大阪
近畿 / 大阪
[私立] 四條畷学園小学校
北田 和之 校長 (前列)
田中 明美 先生 | 神村 美喜子 先生 | 赤松 義彰 先生 (後列左から)
1. 本校の教育方針と漢字教室
本校は、主体性を持った人間の育成を教育方針に掲げています。人生の岐路に立った時、自分で選択し、物事を始めることができる人間になってほしいと願っているからです。この教育方針のもと、本校では、多種多様な取り組みの機会を提供し、子どもが挑戦したいこと、体験したいことを自主選択できるようにしています。
具体的には、ATR(英語発音訓練教室)、音楽教室、水泳教室、そろばん教室など、計13の放課後教室を設置しています。その中にある「漢字教室」では、小学4年生以上の子どもを対象に、漢検合格を目標に掲げ、漢字学習に励んでいます。
自主選択を推奨する一方で、読み書き計算といった基礎基本の指導は毎日欠かさず行っています。例えば、終礼時に約10分間、漢字もしくは計算プリントの学習に取り組んでいます。また、国語の授業で漢字を学習する際、書道の教員が担任のサポート役として入り、一人ひとりの字を見て、字のバランスを指導することもあります。このように、全ての子どもが等しく必要とする学習を一斉に行った上で、自主選択の機会として漢字教室(漢検)を実施しています。
2. 漢字教室の取組内容
(1)漢字教室の設置目的
漢字教室を設置した理由は、漢字の読み書きが思考力を鍛えることにつながると考えているからです。漢字の多くは部首とつくりから構成されており、筆順というルールもあります。そのルールに沿って手を動かすには集中しなければなりません。集中力を保ちながら漢字を書き続けるには強い意志も必要です。そのため、漢字の練習を毎日続ける子どもは、思考力の基礎を毎日鍛えているといえるでしょう。
(2)漢字教室での工夫
漢字教室では、学習意欲を喚起するため3つの工夫を凝らしています。
まず、『漢字学習ステップ』の単元を1つやり遂げるごとに1マス塗ることができる「ステップ山」の作成です。ステップ山に取り組むことで、今まで多くのページをこなしてきた子どもは「ここまで頑張ったな」と到達度が視覚的に把握でき、達成感を感じることができます。
次に、座席配置を工夫した「縦割りによる教え合い」です。本校の漢字教室は、1人1つの机がある教室ではなく、美術室のような、1つの机に6人ほどが座れる大きな机がいくつもある教室を使用しています。1つの机に異なる学年の子どもを配置し、わからない部分があれば上級生に教えてもらうやり方にしています。こうすることで、上級生は下級生の質問に答えられるように、頑張って漢字を覚えようとします。教わる側も、「来年は自分が教えなければならない」という気持ちが芽生えます。
また、漢字への興味を高めるために、『ひだまり』(プリント1参照)という漢字教室だよりを年25回ほど発行しています。『ひだまり』では、漢字に関する話や学習方法、漢字クイズ、次回の漢検の検定日などを記載しています。
(3)漢字教室での学習方法
漢字教室で使用している教材は、携帯ゲーム機を使用する漢検対応ソフトと、協会発行の『漢字学習ステップ』の2点です。教室に来た子どもは、まず教室に備え付けの携帯ゲーム機を使って、漢検対応ソフトに10分~15分挑戦します。その後、『漢字学習ステップ』を使って、新たに学ぶ漢字を漢字練習帳に書きます。漢字練習の際、漢字一字一字の意味も一緒に覚えるために、用例を練習します。中には、画数や部首名を書くなど、自分なりの工夫をしながら練習している子どももいます。(プリント2参照)。
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3. 漢検の効果
漢検は自主選択の機会として希望制で実施しており、漢字教室の受講者以外にも多くの子どもが漢検を受検しています。結果返却時は「やったー!次の級にいこう!」という声が各クラスからあがり、次の級に挑戦する意欲が芽生えていると感じます。また、協会の「表彰支援制度」を活用し、学年配当級以上の級の合格者には、校長から賞状や楯を手渡しています。本校は休み時間のたびに校長室へ足を運ぶ子どもがいるぐらい校長と子どもの距離が近いので、校長から表彰されるために、より一層、意欲的に学習に取り組むようになっています。
また、漢検を受検することで、読書量が増えた子どももいます。これは、本校では学年配当級以上の級に挑戦する子どもが多く、上位級の学習をすることで新たに漢字を覚え、今まで読めなかった本を読むことができるようになるからです。絵本をよく読んでいた1・2年生の子どもは、少し分厚い漢字交じりの本が読めるようになったことをうれしそうに話しています。
本校での漢検受検者は年々増加しており、今では年間300名以上の子どもが漢検を受検しています。これからも自主選択の機会として漢検を活用し、子どもの主体性を育んでいきたいと思います。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。