団体受検 取組事例(小・中・高 等)
小学校
目標をもって学習に取り組む姿勢をはぐくむために/小学校/東京
関東 / 東京
[公立] 文京区立柳町小学校
副校長 小寺 康裕 先生
さまざまな人間関係の中で「伝え合う力」を育成
本校では、さまざまな人間関係の中で学び合うことが大切であると考え、通常の学級と特別支援学級の児童がともに生活するなど、子ども同士の学び合いを重視してきました。今年度までの3年間、文京区の特別支援教育推進モデル校として、すべての教科等の学習において「伝え合う力」の育成を授業改善の重点と定め、研究に取り組んでいます。最近では、授業に意欲的でなかった児童が手を挙げる、自分の意見を発表するなど、積極的な姿勢が見られるようになりました。さらに多くの児童が、学ぶ楽しさを実感する経験を積み重ねていくことで学習意欲を高め、確かな学力を定着させたいと考えています。
学力の定着と学習意欲向上を狙って漢検導入
漢字検定は平成15年度から学校を準会場として実施しています。本校が漢字検定を導入した目的は2つあります。1つ目は、基礎的・基本的な学力の定着です。そして2つ目は、目標をもって学習に取り組む態度の育成です。漢字検定は出題範囲に応じて級が設定されているため、明確な目標をもって学習に取り組むことができます。また合格することで達成感を得られ、「努力すれば結果が出る」ということを体験するよい機会だと考えています。
漢字検定の実施運営は教員が行います。本校では教育課程外の位置付けにより、年1回夏休みに希望者が受検しています。このことにより、学年の枠にとらわれず児童一人ひとりの学習の定着度に応じて学習範囲を設定し、挑戦することができるのです。
また、夏休みに実施することで、夏休みの家庭学習支援の方策の1つにもなっています。学習の継続という意味で、夏休みをどう有効活用するかは、私たち教員の課題の1つでもあります。本校では、夏休みの水泳授業の前後に「夏休み学習室」を行い、国語や算数のプリント学習や、夏休みの宿題を進める場として提供するなどの工夫をしています。漢字検定もこの夏休みの取り組みの1つとして実施しており、毎年1年生から6年生までの多くの児童が主体的に参加しています。保護者からは、これら夏休みの活動について「実施していただいてありがたい」と好評です。
漢字検定に向けた学習は家庭学習が中心ですが、学校でも問題集をプリントとして事前に配布するなど、漢字に取り組む機会を積極的に提供しています。漢字検定の取り組みを通して、基礎的・基本的な学力の定着には、繰り返し学習の積み重ねが大切だということが改めて明確になりました。
「努力すればできる」自己肯定感を養い、チャレンジする子どもに
検定当日は、検定時間の同じ級ごとに、10級から8級の回とそれ以外の回と、時間帯を分けて実施しています。目標に向かって主体的に参加している児童がほとんどなので、試験にも集中して取り組んでいます。検定終了後には、思ったように問題が解けなく、「しまった!」と悔しがっている姿を目にすることもあります。しかし、勉強が足りなかったことを自覚し、「次回に向けて頑張ろう」という気持ちをもつ経験も大切なことです。
多くの児童は、検定結果を受け取る前に受検の手応えで合否を自覚し、次回に向けて学習を始めているようです。毎年継続して受検する児童が多いのも、積み重ねて学習するという姿勢がしっかり身に付いているのでしょう。また漢字検定を通して、そういう姿勢を身に付けて欲しいとも願っています。
「努力すればできる」という自信をもち、他のさまざまなことにもチャレンジして欲しいです。
学校紹介
校長:秋山 明美 児童数:257名
土の校庭、緑の森、そして、優雅に泳ぐ鯉と池。そのような自然環境の中で生活している柳っこ。地域や保護者に温かく見守られながら、元気に毎日を送っています。
本校はすべての児童が、かかわり合い、学び合う教育を目指し、257名の柳っこがさまざまなかかわりができるように教育活動を工夫しています。また、文京区の特別支援教育推進モデル校として研究を進め、教員一人一人が授業改善をし、そして、授業力を向上させていくことこそ特別支援教育が求める最大の目標であり、それは学校力につながっていくものと思い、日々研究を推進しています。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。