団体受検 取組事例(小・中・高 等)
小学校
「卒業までに漢検5級以上」~明確な目標を掲げることで学校は変わる~/小学校/東京
関東 / 東京
[公立] 葛飾区立金町小学校
土屋 先生 | 竹花 先生
学力定着と学習意欲向上を狙って漢検を導入
本校は、明治7年の創立以降、向学の精神と愛校心を受け継ぎながら、地域社会との連携により子どもの育成にあたってきました。現在は、葛飾区の掲げる教育振興ビジョンも踏まえ、「安全安心な教育活動」「確かな学力の定着と個性を生かす教育」「豊かな心の育成」「特色ある学校づくりの推進」を学校経営の柱に掲げています。
漢検は、「確かな学力の定着と個性を生かす教育」の一施策として平成16年度に導入しました。目標が明確で児童の学習意欲を喚起しやすく、また全国的な指標で成果をはかりやすいということが決め手となりました。
現在、人口構造の変化や情報技術の進化などの影響により、子どもを取りまく言語環境は大きく変化しています。そのようななかで、児童一人一人の言葉の力を意識して伸ばしていきたいということはもちろんですが、児童自らが努力できるように適切な目標を与えたいという思いもありました。
目標を掲げ全校で取り組むことで相乗効果が生まれた
葛飾区では、「小学校卒業時に漢検5級、数検6級のいずれかを合格した者が半数以上になるようにする」という目標を掲げていますが、本校では、2年間の取り組みを通じて一定の手ごたえを得たこともあり、「卒業時に85%以上の児童が漢検5級を合格」という目標を全教員で確認しました。漢検受検を教育課程に位置づけるとともに、校務分掌組織でも責任の所在を明らかにしています。
小学校段階において、漢字学習や読書を通じて言葉への感覚を磨くことは、誰にとっても欠くことのできない重要な課題です。しかし、誰もが自然に取り組むかといえば必ずしもそうではありません。漢検を学力向上の一施策と位置づけ、3年生以上の全員を対象とすること、併せて、試験日を平日に設定したことや、『Eタイム』という15分間の学習時間を設け学級単位で基礎的な学習に取り組んだことも、児童や教員の参加意識を高めることにつながりました。今では「能力がありながらもきっかけがなかった子」や「関心が薄かった子」も、友達どうし励まし合いながら一生懸命に取り組んでいます。その結果、平成17年度には団体奨励賞も受賞することができました。
信頼できる学校づくりのためにできること
地域社会や保護者の学校に対する期待は、今後ますます高まっていくでしょう。それはいいかえれば、学校が行政・地域社会・他校との連携を深めて、共に子どもの成長を見守っていくことが求められるということだと思います。教育の価値は、すべてを目に見える形に置き換えられるものではありません。しかし、明らかにできるところは明らかにし、それぞれの責任を果たしながら共に児童を育んでいくという姿勢が、信頼できる学校づくりにつながると考えています。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。