団体受検 取組事例(小・中・高 等)
中学校
学習意欲の向上と自学自習の習慣づけを目標に/中学校/大阪
近畿 / 大阪
[公立] 大阪市立阪南中学校
校長 山崎英志先生|漢検ご担当者 米沢秀典先生
地域コーディネーター 伊藤久実子様・瀧川政子様
授業外の学習サポートを「地域コーディネーター」で
山崎 大阪市が市内の全中学校で行っている「学校元気アップ地域本部事業 地域コーディネーター」(以下:地域コーディネーター)では、地域のボランティアの方がさまざまな形で学校教育の支援を行っています。取り組みの内容は学校により異なりますが、本校では生徒の学力向上に注力し、学習指導を中心に行っています。もともと本校の所在地域である阿倍野区は教育熱心な家庭が多い地域であるためか、通塾率が高く、漢検を塾で受検するケースも多いようです。一方で、塾に通っていない生徒にも授業外での学習機会を与えてあげたいという想いから、地域コーディネーターの皆さんが中心となって、校内で漢検に取り組んでいます。
瀧川 これまでは地域コーディネーターの学習支援活動として、漢字プリントを作成し、希望者に配布
していました。しかし、率先してプリントを取りに来るような生徒はほとんどいませんでした。本校は家庭学習の習慣が身についている生徒は少なくない印象ですが、一方でひとつの目標に向かって取り組むという積極性が低いのではないかと感じていました。生徒の主体性を引き出す取り組みについて検討していたとき、自分で目標を決めて取り組める漢検ならば、生徒の学習意欲を高めることができるのではないかと考えました。
目標設定が学習意欲の向上につながる
瀧川 生徒たちの学習意欲を高め、さらに自学自習を促進するためには、生徒たちが学校内で気軽に受検できる仕組みを作る必要があることから、学校側にも承諾を得て、団体受検を導入することにしました。事前準備では、校内に告知用のポスターを貼り出したほか、受付専用のスペースを設け、生徒が登校する時間帯に地域コーディネーターが直接受け付けを行いました。その結果、初年度にもかかわらず130人の申し込みがありました。
米沢 本校の生徒にとって、読み書きを中心とした漢検の勉強は取り組みやすく感じたのか、初年度に続き翌年も受検を希望する生徒が多く見られました。受検時期についても、3年生の高校受験に配慮して内申書の記載に間に合う11月に実施しました。
瀧川 検定結果資料は私たち地域コーディネーターが直接、生徒に渡しています。放課後に検定結果資料の配付をアナウンスすると、一目散に駆けつけて、緊張した面持ちで封筒を開けようとする様子や、友達同士で楽しそうに検定結果資料を見せ合う姿を見ると、それだけ生徒たちが真剣に漢検に向き合い勉強していたことを実感します。
米沢 目標に向かって努力した結果が、次のやる気につながっていくという好循環が生徒たちの中に生まれています。漢検の勉強は取り組みやすく、自己採点も可能です。努力した結果が表れやすいことも、自学自習に向いているポイントではないかと思います。
伊藤 このような取り組みは1年や2年で終わることなく、地域コーディネーター担当者の交代や先生の転任があったとしても続けていくことに意味があると思います。継続性がなければ、生徒たちはステップアップする機会を逃してしまうことになります。
伊藤 地域コーディネーターのメンバーはPTA活動などでこれまで学校にかかわってきた方々も多く、学校の先生方や生徒たちとの距離感も近いため、これからも継続してお手伝いをしていきたいと考えています。
米沢 漢検はひとつの目標として学習意欲の向上につながり、自学自習の習慣づけにも役立ちます。生徒たちがこれからも目標に向かって頑張れるように、継続的に受検できるシステムを作っていきたいと考えています。今後も地域と学校が一体となって、目標に向かって努力する生徒を応援していきたいと思います。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。