団体受検 取組事例(小・中・高 等)
中学校
基礎基本を定着させるために ~「漢字ノート」の活用による漢字学習の実践例~/中学校/大阪
近畿 / 大阪
[公立] 池田市立渋谷中学校
大坪 泰子 先生
1.教育方針
本校では、「人権の尊重を基盤とし、創造性豊かな、調和のある人間形成を目指す」を教育目標に掲げています。この目標の下、12項目に及ぶ努力目標を設定しています。その中にある「各教科での基礎基本の定着を一層進めると共に、自ら学び考える意欲と態度を育成する」ことを達成するための手段のひとつとして、入学時から卒業するまで一貫して「漢字ノート」作りに力を入れています。
2.本校独自の漢字学習方法
漢字ノートを作る目的は2つあります。生徒に3年間継続して家庭で漢字学習させるため、そして「とめ」「はね」を意識して丁寧に漢字を覚えさせるためです。これらの目的を達成するために、入学後にまず漢字ノートの作り方を教えます(写真1参照)。具体的には、漢検に準拠した市販の級別問題集を活用し、10級レベル(小学校1年生修了程度)から順に書き取り練習を行います。なぜなら、日常生活の中で必要となる漢字の大部分は小学校で学習するため、中学の早い段階で基礎固めをしたいと考えているからです。2年生に進級する頃には、小学校の学習漢字をすべて復習し終えることができるように、問題集から毎週1~2ページずつ書き取りを進めていきます。
漢字ノートで自学自習した後は、学習内容の定着を図るため、週1回国語の授業の冒頭5分間に漢字テストを実施します。その内容は書き取り問題が中心です。間違えた漢字があった場合、1・2年生については3回ずつ漢字ノートに復習させます。また、テストの際にはノートを提出させて、漢字の「とめ」「はね」を教員が細かくチェックし、それらを評価した上で生徒に返却します。いいかげんな字では高い評価はもらえないので、生徒は3年間でかなり丁寧に字を書くようになります(写真2参照)。このように、本校では漢字ノートを作って生徒が家庭で自学自習し、それを教員がしっかりチェックすることで、基礎基本の定着を図っています。
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3.漢検受検とその効果
漢検は、漢字ノートの取り組みとの相乗効果で基礎基本の定着をより一層確実なものとするために、毎年秋に全校生徒から希望者を募って実施しています。国語の時間に協会発行の「受検案内」を生徒全員に配布し、希望者には過去問題を貸し出しています。このように、年1回は必ず検定を実施しているので、生徒は漢検を身近に感じているようです。そのため、受検すること自体にそれほど抵抗がなく、毎回チャレンジする生徒もいます。継続的に漢検を実施することが、生徒の学習意欲の向上に役立っているといえるでしょう。
漢検の実施は、教員にとってもメリットがあります。漢検は漢字の活用能力を問う出題内容なので、熟語の構成や四字熟語など、普段の読み書きを中心とした学習だけでは顕在化しない生徒の苦手分野の把握に有用です。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。