団体受検 取組事例(小・中・高 等)
中学校
高い言語能力を備えて、社会で活躍して欲しい/中学校/大阪
近畿 / 大阪
[私立] 関西大倉中学校・高等学校
木村 季弘 先生
目標級は2級
本校では、平成7年度より日本漢字能力検定(以下:漢検)を導入しました。第1回に全校で受検し、第2回、第3回は希望者を募って実施、高校1年では3級を、高校2年・3年では2級を目標にしています。
2級以上合格のレベルになると、単に漢字を知っているだけではなく、意味も理解し自分の言葉として使うことができると考えています。つまり、入試問題でも出てくるような難解な評論文や、明治大正期の小説なども、漢検2級取得までに培った語彙力を駆使すれば読み解くことができるということです。また、AO入試や推薦入試で漢検取得級を点数化している私立大学や、取得していることを条件に受験を認める大学が多くあります。生徒の受験機会を増やすため、併せて語彙力を高めるためにも最終合格級目標を2級に設定しています。
実際、過去のデータに基づくと国公立大学や難関私立大学に合格している生徒は漢検2級にほぼ合格しています。京都大学文学部に現役で合格した生徒は準1級に合格していました。今後はさらに2級以上の合格者数を増やしていきたいと考えており、対策講座などの設置も検討しています。
自分の「言葉」として使いこなせるように
日頃の取り組みとしては自学自習が基本ですが、漢検の級に準拠した教材を利用して、高校1年は「漢字テスト」、高校2年は「現代文単語テスト」という名目で、週1回小テストを実施しています。単に読み、書きが出来ればいいわけではありません。覚えた語句を自分の「言葉」とし、使いこなせるようになることを心がけて、高校2年は漢字をベースにして慣用句、故事、外来語なども含めた小テストになっています。
教科書や、問題集での文章を読む際、生徒から見れば難しい語句=漢字というイメージになっていると思われます。熟語であればその組み合わせから意味を考える、また文章中で対義関係や類義関係から推測するなどの力を養わなければなりません。そのためには基本的な漢字力が前提となります。漢検に向けて学習し、受検することによって漢字力・語彙力を高め、合格することによってそれが裏付けられると思います。さらに、「見る」ことで覚えようとしている生徒が増えてきている中で、丁寧に何度も書いて自分のものにしていくということは一番効率がよく、また丁寧さ、忍耐力も養われると思います。事実、全校で漢検に取り組んでいると、学年が上がるにつれて文章を書かせた時に平仮名が少なくなっていくことを実感していますし、しっかりと漢字を書いていくことで字形が改善されていく効果も感じています。
「言葉」の蓄積が想像力・発想力に繋がる
すべての科目は「国語」からとも言われます。これは、「国語」という科目に直結している漢字が、「読み、書き、聞く、話す」といった全ての言語活動の根底にあるからだと考えます。さらに、「相手の話を聞き、自分の意見を伝える」といったコミュニケーション能力を養うには、まず「読み、書き」の力が必要です。すべての言語活動を通して漢字力=語彙力となり、コミュニケーション能力が高まるだけでなく、言葉を知っているから故の想像力、発想力につながるでしょう。
漢検を実施することで語彙力を高め、豊かな言語能力、コミュニケーション能力を備えた人材を輩出したいと考えています。そして、将来生徒がその能力を大いに発揮し、リーダーシップをとって活躍してくれることを願っています。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。