団体受検 取組事例(小・中・高 等)
中学校
思考力・判断力・表現力の土台である「語彙力」の獲得のために/中学校/神奈川
関東 / 神奈川
[公立] 神奈川県立相模原中等教育学校
校長 田中 均 先生
次世代の担うリーダーを育成する
本校は、開校2年目を迎えた中等教育学校です。生徒一人ひとりの個性を生かしつつ、国際社会に対応する幅広い教養と社会性・独創性を持ち、豊かな人間性とリーダーシップを備え、よりよい社会の構築に貢献できる、いわば、次世代を担うリーダーを育成することを目標にしています。現在320名の生徒が、毎日いきいきと勉学に励んでいます。
リーダーに求められる資質
次世代を担う生徒たちに身につけてもらいたいのは3つの力です。
① 科学・論理的思考力...物事を順序だてて考えることができる力
② 表現コミュニケーション力...相手の主張や状況などを把握し、自己の考えや行動をその場の状況に応じて表現できる力
③ 社会生活実践力...身の回りに起きている社会現象に興味関心を持ち、自らの学習に関連付けていく力
6年間かけてこれらの力をじっくりと育んでいきます。また、勤労観の育成に力を入れているのも、本校の特色のひとつだと思います。「人のために汗をかくことの尊さ」を実感してほしいという思いから、様々な社会貢献活動を教育課程に盛り込んでいます。社会に貢献する強い意志をもっていることも次世代のリーダーには必須の条件です。
特色ある学習指導
これらの力を身につけてもらうために、本校では「読書・暗誦・ドリル」、「発表・質疑応答・レポート」、「探求・ディベート」という3つのメソッドを柱とした授業を展開しています。
「読書・暗誦・ドリル」を通して、基礎的な知識・技能をきちんと習得させます。読書やドリルでの反復練習だけでなく、美しい言語のリズムを体得し、慣用表現に慣れ親しむことを目的として「暗誦」を取り入れています。また「発表・質疑応答・レポート」、「探求・ディベート」を通して、習得した知識・技能を最大限活用し、課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力を育成し、主体的に学ぶ態度を養います。
本校の場合、基礎習得の時間を除いて、基本的に「授業は発表の場」であると位置付けています。生徒は放課後や家庭での時間を活用し、事前準備を入念に行い、授業での発表に備えます。授業では「発表」だけでなく、「質疑応答」も行います。ですから発表する生徒も聞く生徒も緊張感をもって授業に臨むことができます。このように、教室では教員のリードのもと、生徒同士による実践的コミュニケーションが頻繁に行われています。
近年、OECDの学力到達度調査で、子どもたちの読解力不足、記述式問題の解答率の低さなどの問題点が指摘されました。私はこの結果をある種、当然の帰結と考えています。旧来の授業では、生徒は正解を述べることしか許されていなかったように思うからです。そこでは、生徒同士が異なる考えをぶつけ合う機会というのは少なかったのではないでしょうか。これからの社会では、筋道を立てて自分の考えや意見を伝え、異なる意見同士を調整する能力を身に付けた人材への要請が強まっていくことでしょう。そのためにも本校では、実践的コミュニケーション力の向上を意識した学習指導を推進しているのです。
漢検の位置づけ
前述した学習指導を展開していく上で、どうしても欠かすことができないのが「語彙力」です。「語彙力」は基礎的な知識・技能の一部分であり、また、あらゆる知的活動の土台となる能力と言っても過言ではありません。当然、次世代のリーダーに必要な思考力・判断力・表現力をつけるためにも、この「語彙力」は欠かせない要件です。漢字の読み書きなどの学習を通して、熟語や諺を覚えることにより「語彙力」を増強することが、作文や小論文の力を伸ばすことにつながると考え、本校では漢字検定を導入しています。
取り組み
本校では、基礎的な知識・技能の習得という観点から、週に一度漢字小テストを行っています。漢字能力検定は漢字小テストの集大成であり、客観的に学習到達度の確認ができる機会として実施しています。年に2回準会場として受検機会を設け、全生徒が受検しています。中等教育の前期終了までに準2級を取得することを目標に指導しています。
一般的に漢字学習は生徒の動機付けが難しいといわれていますが、漢字検定があることで、生徒が積極的に取り組んでくれているようです。その成果の現れとして、日本漢字能力検定協会から平成21年度の優秀団体として表彰されました。
●平成21年度 奨励賞 受賞●
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。