団体受検 取組事例(小・中・高 等)
中学校
社会に貢献できる知性豊かなリーダーを育むために/中学校/東京
関東 / 東京
[公立] 都立武蔵高等学校附属中学校
東京都立武蔵高等学校附属中学校長 東京都立武蔵高等学 校長 守屋 一幸 先生
輩出したい人物像
都立武蔵高等学校は、本年度に開校70周年を迎える伝統校で、3年前に附属中学校を開校して、併設型の中高一貫教育校となりました。
本校では、中高ともに「向上進取の精神」を教育目標に掲げ、「社会に貢献できる知性豊かなリーダーの育成」を目指しています。
近年の物質的な豊かさや自分だけの満足に価値基準を置く考え方は、生徒たちの中にも浸透しています。しかし一方で、そうした価値自体に疑問を持ち、将来を模索している生徒も数多くいます。
不確実な時代の中で、生徒たちは、自分や社会全体にとって何が大切なのかを今一度見つめ直さなくてはなりません。その際に、「真の豊かさ」を見出し、自分のかかわる分野で、それを社会に実現していくことのできる人物こそ、これからの時代に求められるリーダーであると考えています。
リーダーに問われる資質
「社会に貢献できる知性豊かなリーダー」は、前述のように、自分だけの豊かさや満足を求めるのではなく、社会に「真の豊かさ」を具現化しようとする意欲と能力を持っていなくてはなりません。そのため、本校の生徒たちには、以下のような資質を身に付けてもらいたいと考えています。
1. 社会貢献の意識と意欲を持っていること
どんなに先進的な取組みであろうと、それが利己的で社会と隔絶したり反社会的なものであったりしてはなりません。自分の取組みが社会とどのようにつながり社会に貢献しているのか、または、どうすれば社会に貢献できるのかを常に考え続けることが大切です。
2. 自分の得意分野を持つこと
課題の山積する現代社会にあって、自分は将来、どのような社会的課題の解決に貢献できるのかという見通しを持つことが重要です。また、どれほど社会に貢献したいと願っても、実際に貢献できる能力がなければ実現はできません。中学・高校の6年間を通じて、生徒たちは多くのことを学んでいきますが、その中で「この分野は他の誰にも負けない」「この分野なら社会に貢献できる」という得意分野を築いていってほしいと思っています。
3. 幅広い教養を身に付けること
リーダーは、幅広い教養を身に付ける必要があります。専門的な知識は重要ですが、それを社会に生かすには広い視野が必要です。教養を身に付けることで、はじめて地理的な広がりや歴史的な流れの中で大局的に物事を捉えることができるようになります。また、その際、「知行合一」と言うように、知識と行動とが一体となることが重要です。知は実践を伴って初めて意味のあるものとなり、実践によって知はより広く深くなると考えます。
資質をはぐくむための漢字能力の位置づけ
私たちが物事を考える際や表現したり理解したりする際は言語を用います。特に日本語では、キーワードとなる言葉の多くが漢字やその組合せである熟語で表現されます。したがって、漢字や熟語の理解が不十分であると文章や話のキーワードが分かりにくくなり、逆に十分な知識理解があれば難解な語句や筆者の造語等でも意味を類推することができるようになります。また、漢字や熟語、さらに故事成語等は、それ自体が文化でもあります。漢字とそれから発展する言葉を学び、習得することの意味は、ただの語彙力の獲得だけに止まらず、文化の理解にまでつながるものであると考えます。
つまり漢字は、専門的な知識や幅広い教養を身に付けるために必要な基礎・基本であると同時に、教養そのものとして、日本人にとって必要不可欠なものなのです。
漢検の活用法
生徒たちの漢字能力の習得度を確認するために、年一度生徒全員で漢字検定に取り組んでいます。本校では、特段、検定のための学習を取り入れているわけではありませんが、漢字検定は生徒が日頃の学習で身に付けた実力を客観的に測る際に大変有効だと考えています。中学1年生は3級、2年生は準2級、3年生は2級の取得を目標にしています。成果も現れており、昨年一昨年と多数の生徒が目標級に合格し、協会から2年連続で成績優秀団体の表彰を受けました。日頃の授業の成果が実り、大変うれしく思っております。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。