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中学校

国語力は基礎学力・基礎教養をつくる土台/中学校/東京

国語科 金井 圭太郎 先生

関東 / 東京

[私立] 共立女子中学校・高等学校

国語科 金井 圭太郎 先生

1.身につけさせたい力とそのための取り組み

 中学、高等学校の役割は、生徒を希望の大学に進学させることだけではありません。生徒には、将来大学を卒業した後、今よりももっと広い世界で多くのことを学べる機会があります。その機会を最大限に生かし、人生を通して様々なことを吸収できるように、基礎学力・基礎教養を身につけさせることも私達の大事な役割だと考えています。

 国語科では特に、「豊富な語彙力」、「確かな教養」、「様々な世界観」を生徒に身につけさせたいと考え、そのために、漢字指導、読書指導、作文指導を徹底して行っています。本校の生徒の入学から卒業までの間の読書量や文章作成量は他校と比較しても圧倒的に多いと思います。生徒たちにとっては厳しく感じる時もあるかもしれません。しかし、ここに注力することにより育まれる力は、生徒たちが将来社会に出てからも学び続けるために必要となる基礎学力や基礎教養をつくる土台になると信じています。どんな学問や仕事をするにせよ、我々は「ことば」を組み立てて思考するのですから、この土台がない人間は伸びないのではないでしょうか。

 具体的な指導内容として、一つには日常的な読書習慣を身につけるために、約100冊あるリストの中から毎月1冊以上書籍を読ませ、その感想文を『読書ノート』に書かせています。このリストは国語科で中学各学年向けに選定した新旧織り交ぜた名作揃いですので、教養を身につけることや読書の楽しさを味わい、読書習慣を身につけられるのはもちろん、その体験を書くことによって感性を磨き、表現力を養うことにも繋がっています。もちろん書かせるからには、教員側もきちんと全員分を読み、1人1人にコメントを書いて翌月までに返却します。大変な作業ですが、生徒や時には保護者の方までコメントを楽しみにしてくれており手は抜けません。
 また、夏休みには各学年3冊ずつの課題図書を全員が読み、校内読書感想文コンクールも行われます。優秀作品は表彰され、作文集『ともだち』に掲載されます。さらに読書感想文とは別の表現指導として、中学校で年3回以上作文の課題を実施し、個々に添削指導をしています。優秀作品はやはり作文集『ともだち』に掲載されます。高等学校では、小論文を意識した実践的な指導が行われ、大学入試にも対応できる高い表現力を目指しています。

 さらに、大学受験向けだけでなく、教養という意味でも古典教育は重要だと考えています。本校では中学3年間用にオリジナルテキストを使用しているのですが、このテキストは「勇気」「愛情」「知恵」などの10のテーマで編集されています。これは文法や暗記に目が行きがちな古典を、教養や楽しみの面でも注目して欲しくて編集したのですが、生徒の授業感想を読むと、同じテーマで時代の違う古文を読んだり、古文と漢文を併せて読むことによって感じることもあるようです。

2.「漢検」導入の背景

 当然、これらの指導と並行して、読書力、表現力の基盤となる漢字力を定着させるための指導にも注力しています。全ての学習の基盤である漢字力がなければ、読書も文章作成も高いレベルに到達しません。そこで、本校では「漢検」を中心に漢字指導を行っています。具体的には、漢検協会発行の『漢字学習ステップ』(3級・準2級)から出題する校内漢字テストを年5回実施しています。合格点をクリアできない生徒は再試験を行い、それでも合格できなかった生徒には、100個前後の熟語を1つにつき20回程度書き取らせ、さらに辞書で意味も調べさせています。合格できない生徒は勉強を怠っているのはもちろんですが、語彙力のない生徒がとても多いのが特徴です。ですから単なる書き取りに止まらず、意味調べによって地道に力を付けるよう工夫しています。一方で、3年間を通して(計15回)満点だった生徒には、終業式に校長先生から金メダルを授与するなど、生徒の学習意欲を喚起する工夫もしています。
 これらの指導の到達確認として、本校では第3回(冬)の「漢検」を実施しています。冬休みにはそれに合わせて、『漢検 過去問題プリント』を独自に作成し、課題としています。冬休み期間中に1日1枚のペースで完結する分量を課し、年始に提出してもらっています。さらに、検定日直前には、『漢検模試』を実施し、万全の体制で検定試験に臨んでいます。生徒には、漢字学習は、「手で書いて覚える」、「音と意味を関連させて語彙を覚える」この二つを意識するように指導しています。

 到達目標としては、中学3年生は最低でも3級、高校在学中には2級まで確実に取得することを掲げています。この目標に全員を到達させるには、先述の木目細かい指導は当然ですが、それと併せて、如何に生徒に目標意識を浸透させられるかが鍵となります。目標意識を浸透させる方法の一つとして、取り組み内容や目標をホームページ上で明示し、生徒・保護者や、入学希望者(その保護者)に伝えています。

 最近は入学説明会に両親そろっていらっしゃる姿も珍しくなくなりました。その影響からか、ホームページなどから事前にしっかりと学校の特色を調べてこられる保護者が多く、「共立では国語力をしっかりつけてくださるんですよね。」と掲載しているカリキュラムに賛同してくださるケースも非常に増えました。また、在校生の保護者もホームページを見て、家庭内で校内漢字テストや「漢検」の話題に触れ、家庭学習を促すなど、家庭の協力が得られています。
 入学とは、学校と保護者との契約です。学校は、「どういう人材を育てることができるか、生徒はどういう教育を受けることができるか」を保護者に分りやすく伝える必要があります。「漢検」の取り組みは、その指標の一つとしても非常に有効と認識しています。


※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。

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