団体受検 取組事例(小・中・高 等)
中学校
基礎学力・基礎教養のベースとして漢字能力の向上は必須/中学校/東京
関東 / 東京
[私立] 大妻中野中学高等学校
櫻井 辰男 先生
漢字能力の習得は最重要課題の一つ
現代は変化の速度が速く、昨日学んだことが今日には陳腐化してしまう時代です。この変化の激しい21世紀に生徒の夢と希望を実現するため、本校は「自立(自律)した女性を育てる」ことを教育方針としています。また、国語科では「他者と有用な情報・意見の交換ができ、社会貢献することのできる女性の育成」をテーマとしています。他者との対話では、基本的には言葉を駆使します。特に日本語の語彙の中心は漢字ですので、漢字能力の習得は最重要課題の一つと位置づけています。一方で現在、社会問題化しているように生徒の語彙力をはじめとした言語力低下は、本校においても例外ではありません。自分の意見や思いを正確に表現できない、授業で説明が理解できない、教師からの指示が全体に行き渡らない、といったことも過去よりも多くなったように思います。
中1~高2の全員で受検
このような生徒の変化の中で、語彙力定着という具体的な目標を掲げ、毎年、指導効果の検証と工夫を重ねています。漢検に関してもその効果を検証し、年々取り組みの内容を変更してきました。導入当初は希望者を募って実施していましたが、17年度の取り組みを検証した結果、18年度からは中学1年生~高校2年生までの生徒全員で受検することにしました。最終到達目標級である2級の取得率があまり良くなかったことと、本来、漢字学習を促したい漢字の苦手な生徒が漢検に積極的に取り組んでくれなかったことがその理由です。今の生徒は目前にはっきりとした目標があると勉強をしますが、逆に、明確な目標がないと勉強するモチベーションを保ちにくいようです。漢検は生徒の学習の動機づけとして有効であると認識しています。
インターネットの普及により生徒は豊富な情報に触れることができます。しかし、その情報に触れただけでは意味がありません。生徒が自分自身で情報を体系化したり、智恵として有効に活用することができるようになってはじめて先述した国語科としてのテーマをクリアしたと言えます。インターネット上に氾濫している膨大な情報の価値や真贋を見極めるためにも、生徒に基礎学力、基礎教養を身につけさせることは非常に重要です。漢字能力の向上は、そのベースであると考えています。
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