団体受検 取組事例(小・中・高 等)
中学校
漢検は学習のキッカケとなり、実力を客観的に測る機会にもなります/中学校/愛知
中部 / 愛知
[公立] 豊川市立東部中学校
国語科 加藤 弘也 先生
本校で漢検に取り組み始めてから10年目となり、多くの生徒が挑戦する検定として定着しています。今では、年間で延べ2割ぐらいの生徒が参加し、中学校卒業程度の3級に合格する生徒も多くいます。
漢検対策の特別な指導はしていませんが、日常の漢字指導は、全ての生徒が楽しみながら集中して取り組めるように工夫しています。具体的には、「漢字丸め込みテスト」と称するテストを、国語の授業時間を使って実施しています。これは、新出漢字問題やその復習問題を協会発行の書籍などを参考に50問作成し、「10問ごとに3分間練習させて、直後に10問をテストする」というパターンを5回繰り返し、最後に50問全部のテストを行うというものです。この方式であれば、集中力を保ちながらゲーム感覚で取り組めますので、必ずしも漢字が得意ではない生徒も確実に覚えられるようです。「先生、今日は良くできたよ」と言ってくる生徒も少なくありません。このテストが終わった直後、生徒が「漢字はやればできる」という感覚を持ったところで、「漢字の大切さ」と「漢検に関すること」を話しています。「漢字の大切さ」では、「漢字を知らないと、知っている人から笑われるよ。巨人を臣人と書いたり、専門家の専に点を付けたりしたら、恥をかくよ」などと話し、漢字学習への動機を高めています。また、「漢検に関すること」では、漢検の検定日・申込期日や自習の方法などを案内しています。
漢検受検の強制はしませんが、検定の実施や内容に関する情報提供には工夫をしています。漢検実施に関する連絡は、朝の教員打合せの時に全教員で共有し、全ての学級に伝わるようにしています。協会から送られてくるポスターを各階の廊下に貼り、学校で作成している「漢字検定のお知らせ」を各教室に貼っています。このお知らせの中では、学年ごとの受検の目安を「1年生で漢字が得意な生徒は4級、まあまあは5級、苦手は6級」「2年生で得意は3級、まあまあは4級、苦手は5級」「3年生で得意は準2級、まあまあは3級、苦手は4級」と案内しています。全ての生徒に検定に関する情報を漏れなく伝えるとともに、各級の程度について知らせることが目的です。
検定は夏・秋・冬の年3回実施しています。春は、学校行事が多く検定日を設定しにくいからです。また、部活動の大会の多くは夏にありますので、春はその練習試合などと検定日が重なってしまうこともあり、「せっかく受検料を払ったのに受けられなかった」というような気の毒な状況になることもないとは言えません。受検の機会を減らしたくありませんので、春に実施していないことを考え、夏休み中に実施しています。
検定結果の返却は、協会の「結果資料配布用封筒」を活用しています。封入の手間は若干かかりますが、検定結果通知と合格証書を同封できますので、とても重宝しています。生徒もきちんとした封筒に入った形で受け取ることにより、「社会的に通用する資格の検定結果を受け取った」という感覚を持ち、気持ちが引き締まるようです。
漢検は、次の3つの点で生徒にとって役に立つものだと考えています。1点目は、「学習のきっかけになる」ということです。前任校や本校での指導経験を通じて、これは確実に言えると感じています。2点目は、「自分の実力を客観的に測れる」ということです。例えば、健康管理をしようとする時、客観データを測るヘルスメーターが欠かせないように、客観的に自分の実力や状況を測る指標はとても大切です。漢検に合格してもしなくても、このような客観的な指標を得られることに大きな意味があります。3点目は、「調査書の特技欄に書ける資格を校内受検のみで獲得できる」ということです。漢検は、資格を取るために校内試験と校外試験の双方を受ける必要がなく、校内試験のみで合格できますので、生徒にとって負担が少ないのではないでしょうか。
このように、漢検受検は生徒にとって様々な面で役に立ちますので、今後も生徒の受検しやすさを考慮しながら、定期的に受検の機会を提供していきたいと考えています。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。