団体受検 取組事例(小・中・高 等)
中学校
漢検受検の目的を明確に示すことと、日常の地道な漢字指導が漢検合格につながる/中学校/愛知
中部 / 愛知
[公立] 碧南市立新川中学校
国語科 山岸 芳樹 先生
漢検の校内実施を始めてから11年目になり、年3回(春・秋・冬)の検定もすっかり定着してきました。昨年度は延べで4割以上の生徒が受検し、3級(中学校修了程度)や準2級(高校在学程度)に合格する生徒も多数出ました。多くの生徒が受検し、同時に全国平均を上回る合格率となっているのは、次の2点が要因ではないかと考えています。1点は、漢検受検の目的を明確に示すこと、もう1点は、日常の漢字指導をきちんと着実に行うことです。
漢検受検の目的は、年度当初の授業ガイダンスや受検募集時に、以下の3つを生徒に説明しています。1つ目は、「生涯にわたって有意な資格を取る」ということです。漢検の資格は高校入試や大学入試、さらには就職時にも役立ちますし、日本で暮らす限り生涯にわたって必要な能力を証明するものですから、今から取り組んでおこうと働きかけているのです。2つ目は、「公立高校の入試問題への対応力を高める」ということです。公立高校の入試においては、国語力、特に語彙や漢字力を重要視するという観点から難しい語彙が出題されています。特に抽象度の高い文章では概念を表す熟語が多数使われますので、3級レベルの漢字力は出題文章を読んだり、問題を解いたりする上で必須です。多くの生徒が公立高校の入試を受けますので、直前になって慌てることがないように指導しているということです。3つ目は、「調査書に書ける何かを身に付ける」ということです。部活動実績や資格取得などにおいて自分のPRポイントを持とうと指導しており、漢検はその1つとして有効であることを説明しているのです。特に3年生には、年度当初に調査書の元になる「個人実績カード」を渡し、「部活動や資格で自分は今何が書けるのか、今書けないなら今後どうするのか、考えてみよう」と繰り返しはたらきかけています。
写真:漢字指導風景 日常の漢字指導は、授業ごとの漢字書き取りや、週ごとの小テスト、毎学期行う漢字コンクールなどを通じて、絶え間なく地道に行っています(写真参照)。漢字書き取りは、授業のはじめに新出漢字を中心にノート1ページ程度書かせており、この確認テストとして毎週小テスト(20問程度)も行っています。また、学校をあげて実施している「漢字コンクール」は全学年・全クラスが同時間に挑戦するもので、以下のような取り組みをしています。1学期はゴールデンウィーク明けに全学年共通の50問(読み25問・書き25問)を解かせて、満点者および満点者数の多かったクラスを表彰、2学期は夏休み明けに学年別問題100問(読み50問・書き50問)を解かせて、満点者および90点以上の人数が多かったクラスを表彰、3学期は冬休み明けに学年別問題50問(読み25問・書き25問)を解かせて、満点者および90点以上の人数が多かったクラスを表彰しています。長期休業中の学習を促し、個人のみならずクラスの表彰も行うことにより参加意識を高めているというわけです。
また、漢字指導と同時に読書活動にも力を入れています。文脈の中で理解し活用できてこそ真の漢字力と考えているからです。読書は文脈の中で語彙に出会う機会であり、こういった機会をなるべく多く経験することが大切と考え、朝の10分間読書を全校で毎日実施しています。「本が机の中に一冊は必ずある」という状態ですので、ちょっとした空き時間に読書にいそしむ生徒を目にすることも増えてきました。
校内での漢検受検募集は、協会から送られてくる受検案内および検定料納入袋を全生徒に配布するというシンプルな形で行っています。これらを全員に配布しているのは、情報伝達の漏れによる機会の不平等を起こさないためです。募集のためのポスターの掲示や合格者名の貼り出しなどはしていませんが、前述したような「漢検受検の目的の明示」や「日常の地道な漢字指導」を行っていれば、特別な盛り上げをしなくとも多くの生徒が参加するようになると感じています。
検定結果は担任から各クラスで返却していますが、結果が気になる多くの生徒は、それよりも前にWEB合否結果(結果通知が届く前に合否結果が分かる協会からのWEBによる情報)を職員室まで聞きにきますので、大半の生徒は結果通知を受け取る前に自分の合否を知っているという状況です。結果を知った生徒は、次の検定でさらなる上位級や目標級の合格をめざしていち早く勉強に取りかかるようです。
今までは年3回の漢検実施を基本としてきましたが、理想は、春・夏・秋・冬の年4回の実施です。生徒が目指している級に1度で合格するとは限りませんので、再挑戦やさらに上位級への挑戦の機会を増やしてあげたいと思うからです。特に3年生は、冬検定の結果を調査書に記載するには時間的に困難なので、それよりも前の春・夏・秋の3回のチャンスを活かすように促しています。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。