団体受検 取組事例(小・中・高 等)
中学校
学習コンクールと検定を通して、漢字力などの基礎学力の向上と定着を図る/中学校/愛知
中部 / 愛知
[公立] 刈谷市立刈谷東中学校
国語科 村瀬 雅仁 先生
本校では伝統的に学習コンクールを通して基礎学力の向上と定着を図っています。本校における学習コンクールとは、定期テストの約1週間前に実施しているテストのことで、刈谷市内の他の中学校でもこれは実施されており、全生徒が挑戦します。コンクールには、「漢字コンクール」「計算コンクール」「英単語コンクール」「理科・社会の用語コンクール」などがあります。このコンクールは学年ごとにクラス対抗で実施しており、ポイントを競い合い、優勝クラスにはトロフィーと賞状を授与しています。生徒個々のポイントの計算は、満点で10ポイント、1失点で7ポイント、3失点で5ポイント、合格ライン越えで3ポイントといった具合に行います。クラスのポイントは生徒個々の獲得ポイントの平均点となっており、クラスのポイントを上げようと、生徒同士が協力しあう姿もよく見かけます。例えば、地理の得意な生徒がクラスの仲間に県名・国名の覚え方を披露したり、漢字を得意とする生徒が四字熟語の構成の法則を説明したりしています。漢字力・計算力・英語語彙力などの基礎基本は、反復訓練・反復学習が欠かせない領域ですが、ただ単に「繰り返し練習しよう」では、学習意欲が湧きにくいものです。コンクールを活用することによって、楽しく協力しあいながら繰り返し学習することが自然に習慣化されているようです。また、このコンクールの後に漢検・英検・数検・歴検などの検定も受検させていますので、基礎学力が定着した上での受検となり、合格する生徒が多くなってきています。
「漢字コンクール」では、漢検の級に対応した副教材からあらかじめ範囲を指定して、50問から100問程度出題しています。年5回のコンクールを通して、学年相当級の漢字が身に付けられるように、問題の配分を行っています。教科書の新出漢字に即した漢字指導だけですと、学年配当の漢字を習得させる時期が遅れがちになりますので、漢検の級に対応して、先行して学ばせるように工夫しています。このコンクールに向けて積極的に漢字学習をした上で漢検を受けるので、結果的に合格率も高まり、多くの生徒が「中学3年生の秋までには確実に3級に合格する」という意識を持つようになっています。中学3年の春に3級に挑戦する生徒が多いのは、万一不合格だった場合に秋に再挑戦したい、という意識の表れではないかと考えています。漢検は、「やればやっただけ成果につながる」「高校入試において評価される」「英検と並んで知名度が高い」ということもあり、校内での年間受検者数が最も多い検定となっています。学習指導要領の中学生の範囲(3級)を超えて、準2級や2級に挑戦する生徒も増え、準2級においても多数合格者が出ています。(昨年度の3級合格率は75%を超えており、準2級でも65%となっています。)
漢字力向上のための指導のひとつとして、週1回、200字詰めの「漢字ノート」に自主学習をさせています。この時、社会科や理科の用語で練習してもよい、という形にしていますので、生徒たちは興味を持って取り組みやすいようです。また、「全ての教科学習を通じて言語活動の充実を図る」という新学習指導要領の方向性にも合っているのではと感じています。
写真:学校の様子 漢検は、保護者や地域の方からも「受検してみたい」という声をいただくほどの人気がありますし、漢字力は全ての学習や社会生活の基盤となるものです。今後は、さらに多くの生徒が漢検3級に合格できるように、情報提供や指導に力を入れていきたいと考えています。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。