団体受検 取組事例(小・中・高 等)
中学校
「感謝のできる実践力に富んだ逞しい人間の育成」に本気で取り組み続ける/中学校/愛知
中部 / 愛知
[私立] 星城中学校・星城高等学校
中学校校長 石田 孝 先生
写真1:誓いの言葉 「感謝のできる実践力に富んだ逞しい人間の育成」が本校の建学以来の教育目標です。この目標を絵に描いた餅にせず実践し続けるために、次の3つの誓いの言葉を毎朝全生徒に唱和させています(写真1参照)。
・両親に対し、健康に恵まれ勉強に精進できる喜びを感謝致します。
・常に広い視野に立って、学問を積極的に追求するよう努力致します。
・前途に希望を懐き朋友と力を併せ、品行を重んじ明るい学園と致します。
生徒たちにはやや難しい表現ではあるかもしれませんが、各クラスに掲示している額を見つめながら毎日声に出しているうちに、自然に馴染んでくるようです。この唱和は建学から70年間、毎朝欠かさずに行っており、行事や修学旅行先でも例外なく行っています。
写真2:オーケストラ演奏の様子 上記のような人材の育成に取り組む私たち教員は、建学の精神である「彼我一体」という一貫した姿勢で生徒たちの指導にあたっています。「彼我一体」とは、「自分たちと生徒はともにあり、互いに尊敬し合う心を育む」という意味であり、「面倒見のよい先生が多い」という声をいただくのも、そういった姿勢が評価されているからかもしれません。もちろん、この「彼我一体」という姿勢は、教員と生徒の間だけではなく、生徒間においてもその精神の醸成を目指していることは言うまでもありません。全生徒が地道に努力を継続して「漢検」に挑戦する、またひとつの楽器をこつこつ練習し一緒に「オーケストラ演奏」に挑戦する、といったことは、この実践例として挙げられると思います(写真2参照)。そして全教員がこういった挑戦に寄り添い、指導や励ましを行っています。全生徒が「言語リテラシーの土台」や、「国際人としてのクラシックの基礎教養」を身につけていくこと自体に意味がありますが、生徒・教員が一体となって盛り上げ挑戦し成功体験を得ていく、という点にも大きな意味があると思っています。
各学年の行事を通じても「感謝のできる実践力に富んだ逞しい人間の育成」を図っています。基本的な考え方は、「厳しくなければ行事ではない、乗り越えなければ楽しみにはならない」というもので、安易なレクリエーション的行事は行いません。中学1年の夏に行われる『内観体験』は、寺院で1週間自分の心を見つめる研修です。生まれてから小学校6年生までの間に保護者や身の回りの人にどれだけ多くのことをしてきてもらったのか、自分はそれにどの程度感謝を返せているのか、といった点を自問自答、対話等から引き出していくものです。この体験を通じて「感謝の気持ち」を自然に持つようになり、研修終了後に保護者の前で一人ひとり報告をさせる場面では、感動のあまり涙を浮かべる保護者の方もいます。中学2年の『漁村体験』では、朝4時過ぎに起床し、大敷網漁を経験させ、働くことの苦労と喜びを体感できるようにしています。中学3年の『オーストラリア語学研修』は10日間にわたるもので、中学3年間の学びの集大成としてのホームステイを通し、語学力と人格を磨きます。
ある企業の方からは、「星城出身(大卒)の社員は、礼儀正しくバイタリティに溢れていて、明確な目標意識もある」というコメントをいただいたことがあります。また、ある大学教授からは、「星城出身の学生は、礼儀正しく可愛げがあり人間関係をうまく築ける上に、物事を乗り越えていく力もある」というお話を伺ったこともあります。私たちは全生徒に漏れなく「基礎学力」「人間力」を身につけられるように指導を行っていますが、このようなお声を頂戴するのはとてもうれしく教員冥利につきると感じています。
前述した「漢検」への取り組みは、目標設定・継続的努力・(乗り越えた)成功体験といった点において「基礎学力」と「人間力」を同時に鍛えるものであり、生徒全員にとって必要不可欠なものと認識しています。今後も国語科の先生方を中心に積極的に推進していきたい、と考えています。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。