団体受検 取組事例(小・中・高 等)
高校
国語を活用したキャリア教育―社会人としての土台を形成するために―/高校/福島
東北 / 福島
[公立] 福島県立船引高等学校
日出山 亜希子 先生
■社会で通用する人材育成を目指して
本校では「船引高校は“学びの場”であり、“社会に出るための訓練の場”である」を教育理念とし、生徒一人ひとりの希望の進路を100%実現することを目標としています。また、進路実現と同時に、生徒たちに社会で通用する力を身につけさせたいと考えています。
これらの目標を達成するため、キャリア教育の一環として、週に1度、6時間ほど地元企業で働き、その時間を単位として認める「デュアル実習」の実施や、学力向上のための「船高(ふなこう)メソッド」「鵬翼(ほうよく)プラン」に取り組んでいます。
■船高メソッドによる学力向上と漢検のつながり
「船高メソッド」とは、小テストや週末課題等を活用した繰り返し学習によって学習内容の確実な定着を図る手法のことです。
本校では、この船高メソッドによる漢字学習の効果を高めるため、漢字検定の全員受検に取り組んでいます。卒業までに漢検の3級取得を目標とすることで、漢字学習への動機づけを行い、抵抗感なく繰り返し学習に取り組める環境作りをしています。
船高メソッド実践の流れとして、1年次は船高メソッドが目指す「繰り返し学習」の姿勢を身につけることに重点をおいています(具体的には、毎週漢検対応のワークシートに取り組み、提出するというサイクルの徹底)。2・3年次では、1年次で身につけた学習姿勢によって語彙力のさらなる向上を図り、自学自習で漢検等の級取得を目指しています。その結果、卒業までに漢検3級を取得する生徒が年々増えてきています。
■鵬翼プランとしての文章検への取り組み
さらに本校では、生徒たちのキャリアアップにつなげられる進路実現を目指し、進学・就職のどちらにおいても役立つ力を身につけさせるための取り組みを行っています。それは(1)資格取得の奨励、(2)週末課題の充実、(3)生徒それぞれへの進路指導の3つで、これらの取り組みを総称して「鵬翼プラン」と呼んでいます。
その中の(1)資格取得の奨励において、国語科では前述した漢検と併せ、文章読解・作成能力検定(文章検)に取り組んでいます。文章検は平成27年度から、2年生の希望者を対象に導入しました。この検定により、調査書や履歴書の資格欄の充実はもちろん、進学や就職活動における小論文や履歴書に必要な文章力を身につけることができます
■進路実現における国語力向上のために
国語科では生徒たちの「読む・書く・話す」力が、希望する進路を実現していくために必要不可欠だと考えています。そして、これらの力を身につける上で、まずは「読む・話す」力の土台となる「書く力」の育成に力を入れたいと考えています。そのため、船高メソッドや鵬翼プランにおいて漢検や文章検を導入してきたとも言えます。
ここでいう「書く力」とは、読み手に伝わる論理的な文章を書くことであり、そのためには3つの要素が必要だと考えています。1つ目は、自分の意見や考えを適切に表現するための語彙力。2つ目は、情報を整理し、それらを元にした説得力のある文章を作り上げる構成力。3つ目は、自分の意見の根拠を論理的に説明できる力です。そのため、語彙力の向上が可能な漢検と、文章の構成を意識し、根拠を提示しながら意見文を書く力を身にけることができる文章検への取り組みは効果的だと考えています。
このような「書く力」の習得を目指し、指導の効果測定や体系的な学習が可能な漢検・文章検に継続的に取り組んでいきたいと考えています。
生徒たちの「書く力」を育成することで、進学率を上げ、より幅広く、希望進路の実現を目指すと同時に、社会で通用する人材の育成にもつなげていきたいと考えています。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。