団体受検 取組事例(小・中・高 等)
高校
生徒の進路実現に向け、学科、コースに応じて漢字検定・文章検定を活用しています。/高校/福岡
九州・沖縄 / 福岡
[私立] 筑紫台高等学校
国語科主任 津中泰愛先生/ 総合学科科長 井内一誠先生
1.本校について
本校は1957年に開校した普通科、総合学科、コンピュータ・ビジネス科、工業科の4学科16コースを擁する高等学校です。「心身を鍛錬し創造心に富み人間性豊かな全人教育を目指す」という建学の精神に基づき、社会に貢献することの出来る「志を持った若者」の輩出を目指した教育活動に邁進しています。2017年には60周年の節目を迎え、社会の多方面で活躍する人材を輩出しています。
2.漢字検定の取り組み
本校では総合学科と普通科進学コースの1,2年生全員が漢字検定を受検しています。また他コースに関しても国語科の教員を中心に呼びかけを行い、例年500名を超える多くの生徒が漢字検定に挑戦しています。
■普通科における漢字検定の取り組み
【漢字検定実施の目的】
生徒には漢字検定を通して現代文で必要な思考の基礎となる「語彙力」を身につけさせたいと考えています。本校では生徒一人ひとりの実力に応じた個別指導に力を入れていますが、個別指導を希望する生徒の中には現代文の成績を上げたいという生徒も少なくありません。このような生徒にはまず、「語彙力」を身につけるようにとアドバイスをしています。
漢文、古文であれば文章の内容自体はそれほど難しいものではないため、古文単語や文法を暗記していれば、ある程度は対応することが可能です。しかし現代文に関しては文章の内容自体が難解なものになるため正確に文章を理解し、論理的に解答を導き出すための思考力が必要になります。人の思考は言葉によって行われているため、豊富な語彙を身につけることによって、より高度な思考が可能になります。早期から語彙力を身につけておくことこそ、現代文の成績の向上にとって重要だと考えます。
日本語の語彙の多くは漢字で構成されているため、語彙の習得において漢字学習は必要不可欠なものです。漢字は文字そのものに意味があるため、意味の分かる漢字が増えていくと、それらの漢字を組み合わせることによって理解することの出来る語彙の量が一気に増加します。漢字検定は日々の漢字学習に目標を設定することができ、生徒のモチベーションの向上に繋がるため、語彙の習得において非常に有効な学習方法だと考えています。
【取り組みについて】
普通科は進学コース、特進コース、アドバンスコースの3コースから構成されます。漢字検定に関しては進学コースの1,2年生を中心に受検しています。大学入試で必要になる語彙量を考えると、生徒には最低でも準2級相当の語彙力は身につけさせたいと考えています。
■総合学科における漢字検定の取り組み
【漢字検定実施の目的】
総合学科はスポーツ科学、調理、公務員進学、音楽、美術、福祉保育、ものづくり、外語観光の8系列から構成されています。希望する進路が多岐にわたるため、生徒は進路の実現に向けて、系列ごとに専門知識について学び、様々な専門資格の取得にも挑戦しています。
漢字検定は総合学科の全ての系列で受検の機会を設定している唯一の検定です。基本的な読み・書きの能力はどのような進路に進んでも必要になる基礎的な学力です。保育士を例に挙げるならば、まず初任者研修でまとまった文章の報告書を書かなければなりませんし、働き始めてからも保護者への案内文の作成など、定期的に文章を書く機会があります。この案内文に誤字や脱字があると保育所全体の信用を失いかねません。これは、どの進路に関しても共通することだと思います。このような背景を踏まえ、全ての生徒に基礎的な読み・書きの能力を身につけさせたいという思いから、総合学科では漢字検定に全体で取り組んでいます。
【取り組みについて】
総合学科では無理のない級から挑戦し、検定に合格させることを重視しているため、1年生の目標級をまずは4級に設定しています。検定に合格することができれば、生徒の自信に繋がり、次の級にも挑戦しようという学習意欲の向上にも繋がります。生徒の学習意欲の向上が総合学科全体の学力の底上げにも繋がると考えています。
3.文章検について
今年度から総合学科で開設した「公務員進学系列」では文章検を実施します。公務員試験の資料解釈や小論文の作成には文章や図表の要旨を正確に理解する力や論理的に自らの意見を表現する力が必要になるため、文章検を通じて総合的な文章力を身につけさせたいと考えています。
またこれを機に総合学科全体の文章力を向上させていきたいと考えており、選択授業の中に「進学国語」という文章検に取り組む講座を新たに開講しました。この授業の中ではAO・推薦入試で小論文を書くために必要になる文章力の基礎を生徒に身につけさせたいと考えています。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。