団体受検 取組事例(小・中・高 等)
高校
表現力の基礎となる語彙力を身につけさせたい/高校/福岡
九州・沖縄 / 福岡
[私立] 中村学園女子中学校・高等学校
進路指導部 副部長 国語科 神谷 里美 先生
1.本校について
本校では学習を通して培われる知識や知恵という「知性」と、人として正しい道を歩むための道徳的な「徳性」を兼ね備えた知徳円満な女性の育成を目指し、日々教育に邁進しています。
また本校の運営母体である学校法人 中村学園が「中村割烹女学院」という料理学校に端を発していることから、本校においても自立の基本は「食」にあるという考えに基づき、開校当初から食育の取り組みに力を注いできました。平成26年度にはその実績が認められ、福岡で唯一の「スーパー食育スクール(SSS)」に指定されました。さらに平成27年度には『地球規模の課題「食」を通じたグローバルリーダーの育成』をテーマとした取り組みが評価され、「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」にも指定されました。2年後には3年間の取り組みの集大成として、連携する国際機関、大学、企業、海外提携校とともに「食」の諸問題に関する問題提起と解決策を英語で提言・議論す「食のサミット」の開催を予定しています。
2.本校の国語教育について
国語科として、生徒には自分の意見を正確に伝えることの出来る表現力を身につけさせたいと考えています。英語でのコミュニケーションにおいても思考は日本語で行われます。そのため日本語でどのような言葉を用い、どのように表現すれば相手に効果的に伝わるのかが理解出来ていないと、他言語のコミュニケーションに関しても相手に自らの考えを正確に伝えることは出来ません。自分の考えを正確に伝えるコミュニケーション能力の育成は国語科が担う部分が大きいと感じています。
【表現力の育成に向けた国語科での取り組み】
〇作文コンクールへの参加
生徒には夏休みの課題として「食」や「国際社会」に関連する作文を書かせることで、自らの考えを表現する力を身につけさせています。また作文の作成過程において、学術論文などの普段目にすることの少ない専門的な知識に触れさせることで、生徒の知見の拡大に繋げたいと考えています。
3.漢字検定について
表現力の基礎となる語彙力を育成する手法として漢字検定を活用しています。近年はパソコンや、スマートフォンの予測変換機能の普及からか、漢字を記号のように覚えている生徒が増えており、今までではありえないような漢字の間違いを目にする機会が増えたように感じます。日本語の語彙の多くは漢字で構成されているため、「漢字が分からない=意味の理解出来ない語彙の増加」に直結します。しかしながら、漢字などの語彙の学習だけに多くの時間を割くことは出来ません。そこで漢字検定を活用し、日々の漢字学習に目標を設定することで生徒が自主的に学習に取り組める環境を作っています。
【中学校での取り組み】
中学校では夏と冬の年2回、漢字検定を実施しており、夏の検定では全ての生徒が受検しています。また学習の到達度の指標として学年ごとに目標級を設定しています。年々合格率が向上していることもあり、今年度からは各学年、目標級を今までより1段階上の級に設定し、1年生が4級、2年生が3級、3年生が準2級の取得を目指して漢字検定に取り組んでいます。漢字検定に向けた対策として、毎週末の漢字テスト、検定前の模擬試験を行っており、日々の漢字学習と漢字検定をリンクさせることで、漢字学習に対するモチベーションの向上に繋げています。
【高校での取り組み】
高 校ではコースによって学習の進み具合が異なるため、任意での受検という形をとっていますが、日々の漢字テストや長期休暇中の漢字の書き取りプリントなどで、日常的に漢字検定に向けた意識付けを行っており、500名近い生徒が漢字検定を受検しています。漢字力は大学入試において必要になる基礎学力であることは言うまでもありませんが、AO入試や推薦入試で大学進学を目指す生徒にも、小論文や面接の際に自分の考えを適切に表現するために必要になる力です。生徒たちには、どのような進路に進むとしても、準2級相当の語彙は必要最低限の教養として身につけて欲しいと思っています。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。