団体受検 取組事例(小・中・高 等)
高校
生徒の進路実現のために漢検と文章検の相乗効果で学習へのモチベーションを醸成/高校/兵庫
近畿 / 兵庫
[私立] 神戸村野工業高等学校(※2023年度より彩星工科高等学校)
玉田 聖子 先生・山田 樹生 先生
●生徒の進路実現に向けて様々な資格取得を促進
本校は「社会で通用する学びを。豊富な経験が、未来を創る。」という教育ビジョンのもと、5つの学科(機械科、電気科、情報技術科、機械電子科、普通科)を設置しています。生徒ひとりひとりが様々な分野に取り組み、高校卒業後には自分の夢を追求して社会に貢献できる人材になってほしいと考えています。本校は卒業後に就職を希望する生徒が多いため、高校在学時には社会で活躍するために様々な国家資格・民間資格の取得を促しています。
●漢字検定の受検を経て、次の学習へのステップへ繋げる
<取組目的>
漢字検定に取り組む目的は大きく2点あります。
1点目は成功体験を積むためです。本校は工業高校であるため、生徒は高学年次に漢字検定以外にも様々な国家資格・民間資格に挑戦します。その中でも漢字検定は勉強した分結果につながりやすい検定だと感じています。合格して生徒が成功体験を積むことで、その先の学習へのモチベーションに繋げたいと考えています。
2点目は日本語・漢字能力の定着のためです。日本語・漢字能力はどの進路を選択したとしても必要な力です。社会で活躍するためには「自分を信じてやり遂げる力」や「他者と協力しながら物事を進めていく力」など、様々な力が必要となります。そのような力の土台となるのは日本語・漢字能力だと考えます。
<対策書籍について>
漢検協会の発行する「漢検 実力完成ドリルステージ」と「漢検 10日間でできる練習問題」を採用しています。
「漢検 実力完成ドリルステージ」は普通科の生徒全員分を購入しています。小学校のドリル学習のような形式で、読み書きや書き順等様々な問題パターンで学習することができます。5分程度の短時間で取り組めるようになっているため、漢字に苦手意識がある生徒でも集中的に取り組めると感じています。
「漢検 10日間でできる練習問題」は主に漢字が得意な生徒や勉強する習慣が定着している生徒用として購入しています。短期集中的に取り組める分量であるため、本校の生徒に適していると感じました。このように用途によって採用する書籍を分けています。
<具体的な取り組みについて>
漢字検定は1年生全員と希望者を対象に実施しています。1年生全員を対象とした理由は、低学年の内から漢字検定合格によって成功体験を積み、学習意欲の促進に繋げたいと考えたためです。1年生全員が漢字検定4級に合格することを目標にしています。
具体的な指導方法としては、まず国語科教員内で年度当初に「漢検 実力完成ドリルステージ」の学期間での出題範囲を協議し、各担任にも協力を仰いで朝学習の時間や国語の時間に定期的に小テストを行います。また、漢字検定に向けての学習意欲を醸成・維持させるために、小テストだけでなく提出物や遅刻指導時の提出課題として漢字学習を課すこともあります。このように、常に漢字検定を生徒に意識させるようにしています。また、今年度の1年生は学校からタブレットを貸与しているため、タブレットを使って漢字の意味を調べるように促しています。タブレットは紙辞書と比較して生徒が調べるハードルが下がったように感じます。
昨年度については教員間で協議して漢字検定5級を受検するように促しました。理由としてはまず合格させることで達成感を味わってほしいと考えたからです。結果的に5級以上の受検級を選択した生徒を含めて全体の合格率が大幅に向上しました。生徒も合格証書を受け取り、自信となって次の学習へのモチベーションにつながったようでした。漢字検定の結果については、国語科の教員間で共有し、その後に次年度の学習計画についても検討します。今年度については、例え難しい目標だったとしても目標に向かってやり遂げる姿勢や達成感を大事にしたいという思いから、漢字検定4級の受検を生徒に促す予定です。
●コミュニケーション能力や文章読解能力の向上を目的に今年度から文章検を導入
今年度から文章検についても導入を決定しました。日本語・漢字能力だけでなく、社会に出るうえでコミュニケーション能力や文章読解能力も生徒に定着させるためです。このような力は国語の分野だけでなくその他分野にも関連する力です。本校については実業系の分野を学びたいと入学する生徒が多いので、こういった力も身につけさせたいと前々から教員間で考えていました。また、文章検は指導と学習の成果が比例しやすく合格率が高い検定と聞いていたため、漢字検定の実施目的であった“合格による次の学習へのモチベーション醸成”にも資すると考えたためです。
今年度は1年生の普通科の生徒を対象に受検予定です。現在、担当教員にて毎週1時間ずつティーム・ティーチングで指導しています。生徒がしっかりと構造的な文章を書き、合格することができるように努めています。
●今後に向けて
生徒全員が高校在学時に社会に求められる能力を育成し、将来はばたくための手法として漢検と文章検を今後も継続的に行いたいと考えています。全員が合格して、更に次の学習へのモチベーションにつながる仕組みをこれからも作っていきたいと思います。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。