団体受検 取組事例(小・中・高 等)
高校
自学自習に必要な語彙力をつけさせるために、学年全員で漢検を受検/高校/奈良
近畿 / 奈良
[公立] 奈良県立山辺高等学校
堤 乃扶子 先生
本校には、学習習慣や小中学生の内に学んでおくべき基礎学力が十分に身についていない生徒も入学してきます。生徒がこの先就職や進学を目指すにあたり、自学自習に必要な語彙力を身につけさせることがまずは必要だと感じ、平成19年度から国語科主導で漢検に取り組むことにしました。
当初は、生徒に受検を勧めるだけでしたが、翌年からは、1年次の2学期の「国語総合」の授業に漢検対策を組み込み、生徒全員に個々の能力に合った級の『漢検過去問題集』を購入させました。週1,2回授業時間内に1回分の過去問題を解いて、自分で採点し提出させ、教員がチェックしアドバイスをする。これを繰り返した後、10月の漢検を1年生全員で受検させました。その結果、これまでより合格者の割合が増え、生徒たちの学習意欲もとても高まりました。
この成功を活かし、その後も学習を継続させるために、国語科の教員だけでなく担任の先生の協力も得て、終業前のホームルームの10分間を漢検の問題を解く時間に充てました。毎日漢字に触れることにより、急速に語彙力が身についたようで、国語だけでなく他教科の成績もあがった生徒が多く見られました。
そして翌年、2年生になった生徒たちには、授業中の学習に加えて、家庭学習を促すために、新たに『漢検ノート』というものを作成し、間違った問題は必ず辞書を引いて意味を調べ書くように、また間違った漢字は5~10回繰り返し書くように指導しました。さらに、夏休みには過去問題集の5回分を宿題として出しました。このように地道な学習を続けたうえで、1年次に続いて2年次でも秋の漢検を全員に受検させたところ、『卒業までに2級合格』という目標をすでに達成した生徒もでました。
孤独な学習をこつこつ続けるには、強い意志が必要です。本校のように生徒全員に『漢検合格』という共通の目標をもたせることで、生徒たちに一体感が生まれ、意欲の乏しい生徒であっても、まわりの雰囲気に助けられて学習に取り組みやすくなります。これからも、朝読書や漢検の受検など、日本語を読み書きする力をさらに磨いてゆくことで、生徒の進路実現につながる確かな学力を育成していきたいと考えています。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。