団体受検 取組事例(小・中・高 等)
高校
「漢検」「文章検」の相乗効果で確かな「漢字・語彙力」「表現力」を育成/高校/東京
関東 / 東京
[私立] 目黒学院高等学校
国語科 森田 由憲 先生
●校訓「明朗・勤勉・礼節」の具現に向けて
本校は「明朗・勤勉・礼節」を校訓としています。「知育・徳育・体育」を三位一体とした調和のとれた教育により、自主的・積極的に学ぶ心や生徒一人一人の個性を育むことを目指しています。例えば、幅広い知識を身につけさせるべく、2年次より始まる「キャリアゼミ」では外部講師や学内の教員によって日ごろの教科の学習とは異なった活動を行っています。
現行の学習指導要領においては、「主体性」「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」の育成が重視されています。「国語」という教科は「言葉を用いて物事を考え、表現する」うえで大切な役割を担うことから、国語科では特に「思考力・判断力・表現力」の育成に注力しています。漢検・文章検の取り組みもその一つです。他にも、大学が主催する俳句コンクール、外部の小論文模試、企業が主催する本のPOPコンテスト等に全校挙げて取り組み、アウトプットに時間を割くようにしています。過去には漢検協会主催の「今年の漢字」や「今、あなたに贈りたい漢字コンテスト」に表現力育成の一環として取り組みました。現行の学習指導要領になってから、アウトプットの機会が従来と比べて1.5~2倍ほどに増えています。
●漢検と文章検の位置付けと狙い
校訓である「明朗・勤勉・礼節」を具現するためには、高校在学時に漢字・語彙力や文章力を含む様々な一般常識を身につける必要があります。漢字・語彙力や文章力は将来どの進路を選択しても必要となる能力であり、この能力を身につけるべく漢検・文章検を導入しました。
<漢検>
漢検は2008年から導入しました。漢検の学習を通じて、どの進路を選択しても通用する漢字・語彙力を身につけてほしいと考え、1、2年生全員で取り組んでいます。全員受検は例年第3回冬に設定しています。漢検の学習を通じて身につけた漢字・語彙力は小論文や志望理由書を書く際に表現の幅を広げることに役立ちます。また漢検は大学入試で評価されることから、指定校推薦および校内推薦の基準の一つとして取得を推奨しています。推薦基準は最低3級以上、志望大学のレベルによっては準2級以上と設定しています。
<文章検>
文章検は2021年度より導入しました。漢検の学習で身につけた漢字・語彙力を土台に、文章検の学習を通じて「他者に論理的かつ正確に伝える力」を育むことが目的です。大学入試の総合型選抜では自分の意見を他者に正確に伝える力を身につけることが必要なため、本校ではスーパープレミアムコースに在籍している生徒全員が受検します。将来的には生徒全員が文章検の学習を通じて、他者に論理的に自分の考えを伝えられるようになってほしいと思っています。
●漢検・文章検の指導・学習方法について
<漢検>
週1回国語の時間に漢字テストを行います。このテストでは高校1年生の時に3級まで、高校2年生の時に準2級・2級までの範囲を取り扱います。それ以外にも年に6回、四字熟語や部首など漢検の各出題分野のまとめテストを実施しています。これらの取り組みにより高校2年生までに2級までの範囲を先取りできるようにしています。
<文章検>
文章検には夏休み前後の補習や夏期講習の時間で取り組んでいます。指導にあたる先生が解説、その後に生徒が過去問題を解きます。記述問題を解いた際に正解とされる根拠は何か、を特に丁寧に解説、指導にあたるようにしています。
●実施後の効果
漢字・語彙力について確実に定着、表現力の土台ができあがってきたと感じています。平仮名だけでなく漢字を用いた文章を書く生徒も増えました。実施当初は漢検2級を受検する生徒はいませんでしたが、現在では既に漢検2級を取得している生徒や漢検2級を受検する生徒が半分近くいるコースもあります。上位級を目指す生徒が増え、受検を通じて次の目標に向かって勉強しようとする意識が浸透してきました。
また、保護者も資格取得に興味を持って積極的に関わるようになり、「どうやって勉強させればよいですか」「どれくらいの級のレベルなのですか」というような問い合わせをいただくことも増えました。
●今後の展望
今後は小論文や志望理由書作成時に必要な力として、漢検で漢字・語彙力を、文章検で論理的に伝える力を育み、より一層の相乗効果を図っていきたいと思っています。
国語科や担任団では高校3年生の受験期に入る前までに生徒全員が漢検準2級を取得し、可能ならばさらに2級取得も目指してほしいと話しています。準2級の取得は、本校の指定校推薦および校内推薦の基準であることや、生徒の志望する数多くの大学で評価されていることが理由です。さらに2級取得により、大学共通テストなどの大学入試に対応できる力も身につくと考えています。
実現に向けて、部活動や課外活動で忙しい生徒が「いつでも・どこでも」勉強できるような仕組みをつくりたいです。現在、生徒全員がiPadを持っており、今後はアプリで各自が勉強できるようにする予定です。既に英語や数学の教科においてはアプリでの学習を実践しているので、国語科でも実現を目指します。今後も生徒の漢字・語彙力や論理的に伝える力の育成のために、取り組みを進めていきます。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。