団体受検 取組事例(小・中・高 等)
高校
“言葉の力”で生徒の世界が広がる/高校/埼玉
関東 / 埼玉
[公立] 埼玉県立川越初雁高等学校
上田 祥子 先生
埼玉県立川越初雁高校の国語科の先生(前列中央が上田先生)
●将来どの進路を選択しても必要となる“言葉の力”を定着させたい
本校は「一人一人の生徒を、教職員総がかりで、社会に貢献し活躍できる人材に育て上げる学校」という教育目標を掲げています。主要5教科に限らず、一人一人が活躍できる分野を自ら発見して、社会に進出してほしいと考えています。実現にあたって、令和4年度から高等学校で始まった「総合的な探究の時間」を活用しており、ビブリオピッチトーク、学年横断型のジグソー学習、スコラ手帳を用いたキャリアパスポートの取り組み等、本校では様々な取り組みを教科横断的に行っています。こうした取り組みを通じて自律的に学び、他者とともに育ち、社会に貢献・活躍できる「初雁生」になってほしいと思っています。
これらの取り組みを実行するにあたり、対話力、合意形成力、課題発見力など様々な力が必要となりますが、その力の土台となるのが“言葉の力”だと考えています。日頃から“言葉の力”を高校生のうちに身につけることは自分の将来につながるよ、と声かけを行い、学習の意識醸成を図っています。この“言葉の力”を定着させる手法の一つとして漢字検定に取り組んでいます。
●たくさんの言葉に「出会う」ためのツールとして辞書を活用
本校の生徒は高校入学前に読書等を通じて言葉に触れる機会があまり多くない傾向にありました。そのような中で、楽しみながら言葉に「出会う」ための手法として、新明解の紙辞書を授業内で活用しています。生徒は紙辞書で適当に開いたページの中から、初めて出会った言葉にサイドラインを引き、付箋に日付と出会った言葉を記入して当該ページに貼ります。この活動を繰り返し行います。実践してみるとかなり楽しく取り組めるため、週に1回行われる漢字テストの日を「素敵な言葉と出会う日・シェアする日」として、漢字テストの残り時間はこの取り組みに充てています。(※) この取り組みをきっかけに、辞書を使って「調べる」ようになった生徒も増えました。漢字検定の学習においてもこの取り組みが活きていると感じます。
※本実践事例の詳細については、TEAChannelでご覧いただけます。
●“出会った言葉”を定着させるための手法の一つとして漢字検定を実施
こうした日々の授業内での取り組みや、漢字検定の学習を通じて獲得した“言葉の力”をベースに3年生に進んでほしいと思っています。生徒が言葉に触れる機会を多く提供すべく、漢字検定は年3回実施、2年生は国語一般の選択者全員を対象に取り組んでいます。漢字検定の到達目標級や合格率を学校として設定している訳ではありませんが、資格取得のための学習を通して、自身の人生に資する日本語力・漢字能力を身につけさせたいと考えています。
受検に向けた学習については基本的に自学自習をメインとして取り組ませていますが、辞書を通じて多くの言葉に触れながら漢字検定に取り組むことによって、勉強があまり好きでなかった生徒が積極的に自習したり、漢字検定以外の学習においても目標に向けた学習習慣が身につくきっかけの一つになっていると感じます。生徒にとって、合格という目標を持って学習することや、合格を通じて成功体験を積むことは良い刺激になっていると感じています。
●語彙を獲得することで、世の中を深く知り、世界の見え方を変える
今後ますます世の中の変化は加速していくと考えられますが、どんなに世界が変容しようとも、自身の母語である日本語の重要性は変わらないと思います。今後も本校の生徒が在学中により多くの言葉にふれて語彙を獲得することで、世の中をより深く知り、世界を広く見ることができるように取り組んでいきたいと思います。
※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。